便の異常はがんの前兆かも? 排便トラブルの裏にある病気の可能性を医師に聞く

便の軟らかさは大腸の通過時間や腸内環境に深く関係しており、便通の状態は痔だけでなく、消化器系の健康全般にも影響を及ぼします。日常の便の変化は、がんなどの重大な病気のサインである可能性も。今回は、便の質と痔、そして健康リスクについて、「田島外科」の田島先生にお聞きしました。

監修医師:
田島 雄介(田島外科)
編集部
便の軟らかさって、なにで決まるのですか?
田島先生
消化管、とくに大腸の通過時間です。ですから、便秘をするほど「硬い便になる」と考えていただいていいでしょう。便が硬くなると、肛門からスムーズに出にくくなりますので、悪循環を起こします。また、最近では、消化器官内にいる菌が注目されてきました。便は「不要なモノ、排出すべきモノ」ですから、大量に抱えることで腸内フローラが乱されます。
編集部
そして、便が硬すぎても軟らかすぎても、痔の原因になりえるのですね?
田島先生
そうですね。肛門は狭いので、便が軟らかく縮んでくれないと、スムーズに通過しません。力み、そして、痔の原因になりえます。他方で、下痢が切れ痔を起こしてしまうのは、前述のとおりです。
編集部
自己対策を取るとして、すぐに便の状態へ反映されるものでしょうか?
田島先生
難しいのは、心因要因が大きく関係していることです。例えば、便秘対策として、新しい食習慣をはじめたとしますよね。ところが、自分自身で疑心暗鬼となり、便秘が一向に解消しないようなケースもあります。
編集部
便の異常の放置と素人診断は避けるべきでしょうか?
田島先生
便の異常に、もう少し、「病的な意識」をもっていただいてもいいと思います。やはり怖いのは、消化器系のがんではないでしょうか。そして痔が、がんのサインとして発症している可能性もあります。ぜひ、恥ずかしがらずに受診してください。
※この記事はメディカルドックにて【痔になりやすい人ってどんな特徴があるの?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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