拭きすぎもNG? 痔になる人に共通する注意すべきやりがちな習慣とは? 【医師解説】

痔とひと口にいっても、その原因は実に多様です。便秘や下痢による切れ痔、出産や長時間の座りっぱなしによるいぼ痔、さらには細菌感染から生じる痔ろうまで。私たちの日常生活に潜む肛門トラブルの引き金とは?今回は、それぞれの痔のタイプと背景要因について、「田島外科」の田島先生に解説していただきました。

監修医師:
田島 雄介(田島外科)
編集部
痔には、どのような要因が反映されるのでしょうか?
田島先生
痔の中でも切れ痔には、わかりやすい印象がありますよね。便の通過時に肛門が切れてしまう症状で、間接的な原因に便秘も含まれます。便秘により便が太くなってしまうからですね。また、下痢でも切れ痔は起こりえます。下痢の勢いで、同じく肛門が切れてしまうのです。
編集部
痔というと、いぼ痔のイメージがあります。
田島先生
いぼ痔の原因は様々で、肛門の括約筋の緩み、出血・うっ血などがきっかけとなります。とくに、「排便時の力み」は、肛門を締める動きと逆に働きますので要注意です。また、なにかのきっかけで出血した箇所が、血栓を経て大きく膨らむこともあります。女性に顕著なのは、出産と前後したいぼ痔でしょうか。胎児や膨らんだ子宮が肛門を内側から圧迫するため、うっ血しやすくなります。
編集部
排便後の処理が雑ってことは考えられますか?
田島先生
雑な場合もそうですし、逆に拭きすぎでも起こりえます。肛門の粘膜ごと拭き取ってしまうと、刺激がじかに伝わるので、炎症や出血を生じさせてしまう可能性があります。なお、温水洗浄便座の多用も同様です。
編集部
ほか、できものを伴う“痔ろう”がありますよね?
田島先生
痔ろうは細菌感染の結果です。下痢の方に多く、下痢に含まれる菌が肛門部の奥まで入り込み、流されないまま化のうしてしまうのです。また、運転手さんなど、座る時間が長い方に顕著なようです。おそらく肛門部が刺激され続け、菌を多方向へ押し広げているのではないでしょうか。座って温かくなっていることによる発汗も、菌の拡散に関係していると思われます。
※この記事はメディカルドックにて【痔になりやすい人ってどんな特徴があるの?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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