「タンパク質は腎臓に悪い」は本当? 年齢と健康状態で異なる正しい摂り方【医師解説】

「塩分控えめ」が腎臓にやさしいのは有名ですが、実はタンパク質の摂り方にも注意が必要なことをご存じですか? 腎臓に負担をかける一方で、筋力維持に不可欠な栄養素でもあるタンパク質は、年齢や体の状態に合わせて摂取量を調整することが大切です。腎臓の健康を守るためのタンパク質との付き合い方について、森先生に解説していただきました。

監修医師:
森 維久郎(赤羽もり内科・腎臓内科)
編集部
塩分以外で食生活の観点があればお願いします。
森先生
腎臓病の全症例ではありませんが、タンパク質の制限を治療としておこなうことがあります。その理由は、タンパク質を過剰にとることで、腎臓に負担をかけるからです。その一方で、「腎臓病の人はそうでない人と比較して、身体機能が7割程度になっている」と言われています。筋肉のもととなる栄養がタンパク質のため、制限しない方がいい患者さんも一定数いらっしゃいます。
編集部
高齢になったら、「タンパク質を意識してとれ」とも言われています。
森先生
はい。高齢の腎臓病の患者さんでは「腎機能低下のリスク」と「筋力低下のリスク」を天秤にかけて治療法を組み立てる必要があります。腎機能にまだ余力がある場合や筋力低下がある場合は、タンパク質の制限をしない方がいいこともあります。仮にタンパクの制限をおこなう場合は、ほかの栄養素でしっかりとカロリーを補うなどの注意が必要です。
編集部
今回は、まだ腎臓病になっていない「健常な人」想定ですよね?
森先生
健常な人では、腎臓病の治療として有名なタンパク質やカリウムの制限の優先度は高くありません。シンプルにバランスのとれた食事を心掛けるとよいでしょう。個人的には食事よりも運動が大切だと思っています。
※この記事はメディカルドックにて【腎臓病を食事で予防しよう! 大切なことは「塩分」と「摂取カロリー」のコントロール】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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