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日帰り手術も可能に! 「腰椎椎間板ヘルニア」の最新の治療方法を医師に聞く

 公開日:2025/06/19
腰椎椎間板ヘルニアの治療法は?

腰椎椎間板ヘルニアの症状といえば、腰痛が真っ先に思い浮かぶと思いますが、そのほかの症状やそのメカニズムについてご存知ですか? 腰椎椎間板ヘルニアになりやすい人はどんな人でしょうか? そこで「腰椎椎間板ヘルニア」の初期症状やなりやすい人の特徴、新しい治療法などについて、整形外科医の石井 賢先生(New Spine クリニック東京総院長)に解説してもらいました。

石井 賢先生

医師
石井 賢(New Spine クリニック東京)

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慶應義塾大学医学部卒業。アメリカ ジョージタウン大学とハーバード大学に留学後、慶應義塾大学整形外科専任講師と国際医療福祉大学整形外科初代主任教授、同大三田病院・成田病院副院長・脊椎センター長、慶應義塾大学整形外科特任教授を経て、2023年より現職。日本専門医機構整形外科専門医、日本整形外科学会(JOA) 日本整形外科専門医・脊椎脊髄病医・脊椎内視鏡下手術・技術認定医・リウマチ専門医、日本脊椎脊髄病学会(JSSR)脊椎脊髄外科専門医・脊椎脊髄外科指導医、臨床修練指導医、難病指定医。

石井賢オフィシャルページ
脊椎・脊髄(せぼね)の病気について(総論)
FESS(全内視鏡下椎間板切除術)

編集部編集部

腰椎椎間板ヘルニアの治療にはどんなものがありますか?

石井 賢先生石井先生

飛び出した髄核は異物と認識され、免疫系の細胞によって次第に縮小することがあるため、初めは手術以外の方法である保存療法で経過観察します。具体的には薬物療法や装具療法、ブロック注射、物理療法や運動療法などのリハビリテーションが多く用いられています。さらに生活指導・環境調整などもおこなって症状の軽減を図ります。なお「ベッドマットは高反発(硬め)」を推奨します。

編集部編集部

それでも改善しない場合はどのように治療するのですか?

石井 賢先生石井先生

保存療法で改善しない場合や重度の神経障害を伴う場合、または生活に著しく影響が出ているケースには、手術治療が選択肢となります。とくに下肢の運動麻痺や排尿・排便障害が急激に進む場合などは、放置していると症状の回復が見込めなくなるため、早急に手術をおこなうことが必要です。

編集部編集部

どんな手術法がありますか?

石井 賢先生石井先生

20年ほど前は、全身麻酔で皮膚を大きく切開するような手術が主流でしたが、現在は負担の少ない局所麻酔下での低侵襲の手術が多く取り入れられています。例えば全内視鏡下椎間板切除術(FESS)や内視鏡下椎間板摘出術(MED)、顕微鏡下椎間板ヘルニア摘出術などがその例で、FESSは約7mmの切開、MEDは約2cmの切開かつ、手術時間が約1時間と短いため、基本的に日帰り(外来)でおこなえます。さらに、現在最も体の負担が少ない新しい手術法として経仙骨的脊柱管形成術(TSCP)があり、こちらの切開は約3〜4mmです。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあればお願いします。

石井 賢先生石井先生

腰椎椎間板ヘルニアは、一般に腰痛あるいは神経痛を来たします。先述のベッドマットなどの日常生活上の環境調整や内服加療などで、症状が自然に軽減する場合もあります。一方、時に進行性の運動神経麻痺や排尿障害なども起こします。症状が継続的あるいは進行性の場合は、専門医を受診することをお勧めします。以前とは違い、日帰りでできる負担の少ない手術がありますので、どういった治療法がよいのか、専門医と相談しながら決めましょう。

※この記事はメディカルドックにて<「腰椎椎間板ヘルニア」を放置するとどうなる? 排尿・排便障害にならないためには>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師

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