完治には3カ月以上… 「腰椎分離症」の治療とスポーツ復帰のタイミング【医師解説】

小学校高学年から高校生くらいの時期に発症することが多いとされる「腰椎分離症」。治療の開始が遅れると、腰痛や下肢のしびれなどの後遺症が残ることもあり、注意が必要な疾患です。腰椎分離症になりやすい人や心がけたい予防法などについて、「まつど西口整形クリニック」の後藤先生に解説していただきました。

監修医師:
後藤 達広(まつど西口整形クリニック)
編集部
腰椎分離症は、どのように治療するのですか?
後藤先生
まずは正しく分離している箇所を調べるためレントゲン検査や、必要に応じてCT検査やMRI検査などをおこないます。ただし、早期の場合にはレントゲン検査だけで正しく診断することは難しいため、CTやMRIの検査をおこなうことが望ましいとされています。
編集部
治療法について詳しく教えてください。
後藤先生
早期に発見できれば保存療法が適用となります。具体的には、運動を中止して安静にすること、それからコルセットを着用して患部を固定することが必要です。基本的に固定期間は運動が禁止されますが、骨の癒合状況を見ながら再発予防を目的とした運動療法などを開始します。
編集部
再発予防を目的とした運動療法とは?
後藤先生
以前と同じような体の使い方をしていれば、再び腰椎分離症を発症してしまうかもしれません。そのため、腰に負担をかけない体の使い方を学び、再発予防とパフォーマンスの改善を目指すのです。また、腰を支える筋肉を鍛えることも再発予防につながります。
編集部
別の部位の筋肉を鍛えることも必要なのですね。
後藤先生
そうですね。そのほか、股関節や背中の可動性を高めておくことも、再発予防には重要な要素です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
後藤先生
腰椎分離症は、早期に発見して治療をすれば、基本的には完治を見込める疾患です。一般に完治までには3カ月以上かかるとされており、その期間はスポーツを休まなければならないので、腰椎分離症を発症しても無理にスポーツを続けてしまう子どもも少なくありません。しかしそうすると、将来的に腰椎分離すべり症の発症リスクを高めることになり、場合によっては手術が必要になることもあります。腰椎分離症を発症した場合には適切に治療をおこなうこと、そしてMRI検査で再度評価し、スポーツを再開するタイミングをきちんと見定めることが必要です。
※この記事はメディカルドックにて<「腰椎分離症」の初期症状はご存じですか? なりやすい人の特徴・予防法も医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。