「寝酒」が効かなくなる!? 睡眠薬とお酒に潜む依存リスクを医師が解説

「お酒や睡眠薬を使えば眠れるけれど、慣れたり依存したりしないか不安…」そんな声をよく耳にします。実際、睡眠薬とアルコールは似た作用を持ち、使い方次第では慣れや依存のリスクも伴います。依存を避ける睡眠薬の使い方と、生活習慣で整える睡眠のコツについて、大澤先生に伺いました。

監修医師:
大澤 亮太(医療法人社団こころみ)
編集部
お酒にしても睡眠薬にしても、依存や慣れが出ませんか?
大澤先生
はい。アルコールと一般的に睡眠導入剤と呼ばれているような従来の睡眠薬は似ているところがあり、どちらも慣れが出てしまいます。ですが、お酒のように睡眠薬はどんどん増えていくことは少なく、「常用量(いつもの量での)依存」と呼ばれています。今でこそ依存性の極めて少ない薬が発売されてきていますが、お年寄りの方では、ずっと同じ睡眠薬を服用されていることをよく見かけます。
編集部
しかし、加齢によって誰でも睡眠が浅くなるものなんですよね?
大澤先生
そうですね。加齢によって夢を見るレム睡眠が増えていって、「徐派睡眠」と呼ばれる深いノンレム睡眠も減っていきます。そのため、睡眠に良い生活習慣なども意識しながら、なるべく依存性の少ない睡眠薬から始めていくことがベターだと考えます。
編集部
「睡眠に良い生活習慣」について、もう少し詳しくお願いします。
大澤先生
「リズム」「光」「体温」を意識してくださいと、患者さんには伝えています。起床時間をそろえて就寝時間は自然な眠気を大切にして早く寝すぎないようにしましょう。また、朝は光を浴びて、夜はなるべく避けた方がいいですよね。そして、体温が下がっていく方が寝やすくなるので、お風呂にゆっくり浸かったり、軽いストレッチをしたりするのもいいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
大澤先生
睡眠薬のうち「睡眠導入剤」に分けられるタイプは、言うなれば「お酒の親戚」です。この両方を飲んでいると、そのうち慣れによって「睡眠導入剤が効きにくくなり、お酒には酔いやすくなる」ということになりかねません。ですから、付き合いでの飲酒では「酔いやすさ」に注意していただき、飲酒が習慣になっている人は禁酒が理想です。いきなりお酒を断つのが難しいようであれば、せめて休肝日を設けていただくことが大切です。
※この記事はメディカルドックにて【睡眠障害を解決するためにお酒を飲むのはNG! 睡眠薬で改善するべきワケとは】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。