嗅ぐ力が認知症予防のカギ? 医師がすすめるアロマセラピーを使った予防方法とは
公開日:2025/05/14

嗅覚の衰えは認知症のサインといわれますが、実は鼻炎や風邪など、ほかの病気によっても起こる可能性があるため、慎重な見極めが必要です。では、軽度認知障害と診断された場合、どのような対策や治療法があるのでしょうか? 認知症の進行を遅らせるための最新の考え方について、熊谷先生に伺いました。

監修医師:
熊谷 智昭(くまがい内科・脳神経内科クリニック)
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日本医科大学医学部医学科卒業。同大学の付属病院にて臨床研修後、神経内科助教、脳神経内科医長・講師などを務める。北村山公立病院(山形県)神経内科医員、東京都立多摩老人医療センター(現・多摩北部医療センター)神経内科医員などを務める。2019年に神奈川県横浜市に「くまがい内科・脳神経内科クリニック」開院。大学病院や地域の基幹病院で培った神経内科専門医としての経験を、地域医療に生かしている。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本神経学会神経内科専門医・指導医、臨床研修指導医、認知症サポート医ほか。
編集部

嗅覚は、認知症以外の要因でも低下しますよね?

はい。鼻炎や副鼻腔炎(ふくびくうえん)、花粉症、風邪などさまざまです。ただし、嗅覚検査と認知機能検査は別のものです。嗅覚の衰えが、これら「ほかの要因によっては起こっていない」とわかったとしても、それをもって認知症とは診断されません。この点も、嗅覚の衰えと認知症を結びつけにくくしています。
編集部

いよいよMCIだとわかったとき、どのように治療していくのですか?

MCIはあくまで認知症の前段階ですから、経過観察が大切です。そのうえで、慎重に診断していく必要があるでしょう。なお、日本認知症予防学会では、非薬物性療法として「アロマセラピー」を推奨しています。嗅内皮質は記憶に関連する海馬と神経線維で結ばれていますので、新しい神経線維ができれば、認知症の進行を遅らせられるかもしれない。つまり、「嗅ぐ力」のトレーニングによって予防していこうという考え方です。
編集部

続いて、認知症と診断された場合の治療法についてもお願いします。

薬物療法が主だったところですが、生活スタイルの改善や行動療法を併用することもあります。発見が早期であればあるほど、医療の介入は低く抑えられるので、早い段階からのご相談をお願いします。
※この記事はメディカルドックにて【嗅覚の衰えは認知症の初期症状!? 認知症の早期発見の方法とは】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。