心の不調に効く運動とは? 酸素運動や筋トレの効果と正しい続け方を医師に聞く

メンタルヘルスの不調の際、自分自身でできることは何かあるのでしょうか。心の健康には運動が良いという意見も耳にします。そこで運動療法のメンタルヘルス改善効果について、心療内科医の薮野 淳也先生(Stay Fit Clinic院長)にメディカルドック編集部が聞きました。

監修医師:
薮野 淳也(Stay Fit Clinic)
編集部
実際にどのような運動をすると良いのですか?
薮野先生
簡潔に言うと「有酸素運動」もしくは「筋力トレーニング」がお勧めということになります。WHOが2020年に発表した成人の運動ガイドラインによると、「1週間に150分以上の中程度の有酸素運動または、1週間に75分以上の高強度の有酸素運動を実施することを目標とする」「有酸素運動を追加で行うか、筋力トレーニングを行うことを推奨する」「長時間座っている場合は、定期的に立ち上がって活動することを推奨する」とされています。
編集部
「有酸素運動」とは、具体的にどのような運動ですか?
薮野先生
有酸素運動は、長時間継続して行える運動を指します。代表的な有酸素運動としてウォーキングやジョギング、ランニング、サイクリング、水泳、エアロビクス・アクアビクスなどがあります。
編集部
では、「筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)」は?
薮野先生
スクワットや腕立てなど、ご自身でできるものも手軽でお勧めですし、マシントレーニングやウェイトトレーニングなど、ジムなどで行うトレーニングもよいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあればお願いします。
薮野先生
先日、厚生労働省から案が出された「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」(※)でも、運動は心にも身体にもいいと謳われています。まずは散歩や、ちょっとした筋力トレーニングなどを日常生活に取り入れることから始めてみてください。実際に取り入れていた方からは、「朝運動するとスッキリする」「仕事に前向きに取り組める」「仕事後に少し運動すると、夜リラックスしてぐっすり眠れる」など、とても良い効果が報告されています。やり方がわからなかったり、1人だと不安だったりする方は、医療従事者のいるトレーニングジムや厚生労働省が定めている「運動健康増進施設」などに相談してみるのがお勧めです。
※この記事はメディカルドックにて<運動によるメンタルヘルス改善効果を医師が解説 運動と心の健康の関係性とは?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。