早期がんを発見する新技術! 画像強調内視鏡の革命的な進化と効果について医師が解説

内視鏡検査の進化によって、より精密な診断が可能になっていることをご存じでしょうか? 画像強調内視鏡は、特殊な光の波長を利用し、消化管粘膜の色調や模様を強調することで、従来の白色光では発見しにくかった病変を見つけやすくする技術です。画像強調内視鏡の仕組みやメリットについて、「東京内視鏡クリニック」の工藤先生に伺いました。
編集部
画像強調内視鏡とは何ですか?
工藤先生
いわゆる「内視鏡検査」では、主に白色光を使って消化管の粘膜を観察しています。白色光とは、内視鏡の先端から青、緑、赤の3原色で合成される光です。早期の消化管がんの多くは白色光観察で発見が可能ですが、色や形の変化が少ない病変の場合は、白色光観察ではわかりにくいことがあります。そのための改良を施したのが「画像強調内視鏡」です。
編集部
もう少し詳しく教えてください。
工藤先生
白色光から光の波長を変換し、消化管の粘膜表面の模様や色調を強調して観察できる方法です。これまでに、さまざまなフィルター処理やコンピューターでの信号処理を用いて、白色光を青や緑の光に変換する内視鏡システムなどが開発されています。
編集部
これまでは観察しにくかった病変もわかりやすくなるということですか?
工藤先生
はい。画像強調内視鏡観察では、白色光観察と比較して早期がんやポリープが発見しやすくなったことが報告されています。さらに、画像強調内視鏡に、画像を拡大する機能も加えた拡大内視鏡(約100倍)や超拡大内視鏡(約520倍)で粘膜模様や血管を観察することにより、病変の良性・悪性の診断、早期がんの範囲診断、がんの深さの診断などが行えるようになってきています。
編集部
診断もできるのですか?
工藤先生
最終的な診断は病変を切除後、切除したものを病理組織検査に回し、そこで判断されますが、最近開発されている高機能の内視鏡は、内視鏡検査の段階でも高確率で良性・悪性がわかるようになっています。最終診断は、切除後を待たなければいけませんが(約2~3週間)、しっかりとした診断能力のある内視鏡医の診断であれば、病理検査で覆されることはほぼありません。

監修医師:
工藤 豊樹(東京内視鏡クリニック)
※この記事はメディカルドックにて<「内視鏡」は機材レベルで診断精度が変わるって本当? 画像強調内視鏡とは?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。