白内障や網膜剝離で失明の可能性も… 「片目の視力低下」が示す目の病気を医師が解説

片目だけ視力が低下している症状が現れたとき、原因は単なる目の疲れではないかもしれません。緑内障や白内障、網膜剥離など、さまざまな目の疾患が関係している可能性があります。なかには、放置すると視力が回復しなくなったり、失明のリスクが高まったりする病気もあるそうです。片目だけ視力が低下する原因と対処法について、嶺崎先生にお話を伺いました。
編集部
目の疾患が原因で片目だけ視力が低下している場合、どうしたらいいのでしょうか?
嶺崎先生
眼科で詳しく検査をして、原因となる疾患を特定しましょう。原因となる疾患を確認するのに重要なのは、「どういう風に見えづらくなったか」です。例えば、白内障や緑内障だと視力低下に加えて、「目がかすむ」と訴える患者さんが多いですし、網膜剥離だと「カーテンがかかったように突然見えなくなる」と感じる患者さんもいます。このように、ただ「視力が低下した」だけでなく、「どのように見えづらくなったのか」を確認することで、ある程度、疾患の見当をつけることができます。
編集部
白内障や緑内障について、簡単に説明をお願いします。
嶺崎先生
緑内障とは、眼圧が高くなるなど様々な原因により視神経が障害を受け、視野が狭くなる病気です。一方、白内障とは加齢とともに水晶体が濁り、視力が低下する病気です。これらの疾患を発症すると、片目だけ視力が低下する可能性があります。
編集部
先ほど緑内障も白内障も「目がかすむ」と聞きましたが、どちらも症状が似ているのですか? 緑内障は「視野が狭くなる」ということですが……。
嶺崎先生
緑内障でも目がかすむことがあります。むしろ私自身の臨床経験で言えば、「視野が狭くなる」と訴える患者さんより、かすみ目を訴える患者さんの方が多いかもしれません。緑内障の進行具合によってもかすみ目の状態が変わってきて、はじめは部分的なかすみ目を自覚する患者さんが多いように思います。その一方で、白内障でも濁りがある部位によってかすみ目の症状が変わってくるので、正確に診断するには精密な検査が必要になります。
編集部
網膜剥離でも視力が低下するのですか?
嶺崎先生
はい。眼底にある網膜がはがれる網膜剥離が原因となって片目だけ視力が低下している場合があります。視力低下や飛蚊症などの症状が表れ、初期ならレーザー治療で改善することができますが、進行すると失明するリスクもあります。
編集部
様々な病気が原因になるのですね。
嶺崎先生
そのほかにも、黄斑部に新生血管が作られることで視力が低下する黄斑変性症や、ぶどう膜で炎症が起きるぶどう膜炎などが原因となって、片目だけ視力が低下している場合があります。
編集部
網膜剥離の場合は失明の可能性もあるため、早めの治療が大事ですね。
嶺崎先生
そうですね。片目だけ視力が低下した状態を放置すると、眼精疲労や頭痛が発生するなど、体調不良を引き起こすこともあります。1週間たっても片目だけ見えづらい状態が続く場合には、早めに眼科で診察を受けることをおすすめします。

監修医師:
嶺崎 輝海(みねざき眼科)
※この記事はメディカルドックにて【「片目だけ視力が低下する」原因はご存じですか? 片目が悪くなる・見えにくいときの対処法も眼科医が解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。