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「うつ病」がどんな病気か『本当に』ご存じですか? 原因・診断基準を医師が解説

 公開日:2025/02/19
うつ病とは

うつ病」は誰にでも起こり得る身近な病気ですが、その本当の原因や診断基準について正しく理解している人は少ないかもしれません。うつ病は単なる「気分の落ち込み」ではなく、脳内の神経伝達物質のバランスやホルモンの変化、ストレスなどが関係する複雑な病気です。そこで、うつ病の正しい知識と原因、診断基準について医師の種市先生に解説してもらいました。

編集部編集部

はじめにうつ病とはどのような病気か教えてください。

種市 摂子先生種市先生

うつ病は気分障害の一つで、楽しいことにも興味がわかない、疲れやすい、集中できない、眠れないまたは眠りすぎる、食欲がなくなる、自分を責めがちになる、といった様々な症状が見られます。考えるスピードも行動するスピードも遅くなってしまっている状態で、長期間にわたり、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。うつ病は心拍数や消化、呼吸、体温調節など、私たちが意識してしない体の機能をコントロールしている、自律神経のバランスの乱れと関連することが分かっています。

編集部編集部

どのような診断基準でうつ病と診断されるのですか?

種市 摂子先生種市先生

うつ病の診断基準には、「アメリカ精神医学会」が発行する『精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5)』や、世界保健機関(WHO)が発行する『国際疾病分類(ICD-10)』が用いられます。診断をするためには、ほぼ毎日2週間以上続く憂鬱な気分や興味の喪失、エネルギー低下、睡眠障害、食欲の変化、集中力低下、自己評価の低下、罪悪感、自殺念慮などの症状が診断基準の項目として含まれ、総合的に判断されます。

編集部編集部

うつ病の原因にはどのようなものがありますか?

種市 摂子先生種市先生

まず、生物学的な要因では、ストレスに対する耐性が関係しています。ストレスは、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)のバランスに影響します。生物学的に、甲状腺ホルモンの変動、出産後、更年期によるホルモンの変化も関係します。

編集部編集部

ほかにはどのような要因が考えられますか?

種市 摂子先生種市先生

心理社会的な要因として、生活の大きな変化ストレスが挙げられます。ほかにはトラウマ虐待の経験家族や職場の問題社会的な孤立なども関係していますね。さらに、個々の性格特性、例えば、完璧主義や自己批判が強い人、消極的な思考傾向、不規則な生活習慣なども関係していると言われています。これらの要因が組み合わさることで、うつ病の発症に繋がります。

種市 摂子

監修医師
種市 摂子(Dr.Ridente株式会社 代表取締役)

プロフィールをもっと見る
香川大学医学部、名古屋大学医学部大学院卒業。救急医療、脳神経外科診療、睡眠診療、精神科診療などを経て、予防医療を目的に、2008年より産業医サービス提供開始。これまでに、楽天株式会社をはじめ、IT企業、ベンチャー企業、IPOを目指す企業を中心に、650事業所以上を支援、ハラスメントゼロ・休職者ゼロのカスタマーサクセスにつなげている。日本精神神経学会専門医・指導医。Well-being向上委員会委員、日本スポーツ精神医学会会員、日本精神神経学会(精神保健に関する委員会委員)、健康経営アドバイザー、睡眠衛生コンサルタント、ストレングスファインダー認定コーチ、日本産業精神保健学会優秀賞、T-PEC優秀専門医。

※この記事はMedical DOCにて【「うつ病」の原因・症状を医師が解説 うつ病の人に現れる特徴とは?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師

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