子どもの「不安症」がどのような病気かご存じですか? 現れる症状とは?

「不安症」と聞くと大人特有の病気だと思われがちですが、実は子どもにも発症する可能性があり、年齢によって異なる症状が現れることがあります。幼児期の分離不安や恐怖症から、思春期の社交不安や全般性不安まで、子どもの心の中でどのような不安が膨らみ、それがどのように行動や体調に影響を与えるのか? 本記事では、医師の岡琢哉先生に、不安症の定義や子どもに現れる具体的な症状について詳しく解説してもらいました。

監修医師:
岡 琢哉(株式会社カケミチプロジェクト)
編集部
うつ病はよく聞く病名ですが、不安症とはどんな病気なのでしょうか?
岡先生
米国精神医学会の診断基準である「DSM-5」では「過度の恐怖と不安、そしてそれらに関連した行動上の障がいを特徴として共有する疾患」と定義されています。恐怖や不安というどんな人間でも持っている感情があまりにも強く生じてしまい、生活上の困難さに繋がってしまう病気です。
編集部
子どもの場合、不安症はどんな症状が現れるのでしょうか?
岡先生
不安症は、年齢によって現れやすい症状が異なります。幼稚園から小学校低学年の頃に現れやすいのは、恐怖症と分離不安の症状です。恐怖症の症状は、動物や虫、暗い場所といった特定の対象に近づく(もしくはその可能性がある)場面で強く泣いたり、その場を避けたり、家族にしがみつくといった行動で現れます。分離不安の症状は、家の中でも家族が目に入る場所にいないと落ち着かなくなったり、家族が出かけるのを強く拒否したりという形で現れます。
編集部
年齢が上がるとまた症状が変わるのでしょうか?
岡先生
10歳前後から、対人場面や人前での食事に対する不安として、社交不安の症状が現れ始めます。給食を嫌がる子どもの中には社交不安を持っている子どももいるので、単なる好き嫌いで片付けないことが重要です。そのほかにも、思春期に近づくにつれて、学業や外見、将来に対する過剰な不安が生じる全般性不安と呼ばれる症状が現れます。このような不安は、周りに上手く話すことができずに、疲れやすさや落ち着きのなさといった形で表出されます。
※この記事はMedical DOCにて《【親必見】子どもの「不安症」の症状を精神科医が解説 じつはあなたも昔患っていたのかも?》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。