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インフルエンザと風邪の違いや特徴とは? それぞれの治療法も医師が解説

 公開日:2024/12/30

風邪とインフルエンザの違いをご存じですか?「ソージュ山下町内科クリニック」の中村先生によると、両者は原因となるウイルスや特効薬の有無、影響する部位に違いがあるそうです。風邪とインフルエンザの違いや見極め方、適切な受診タイミングについても中村先生に詳しく解説していただきました。

中村先生

監修医師
中村 蓉子(ソージュ山下町内科クリニック 院長)

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東京医科歯科大学医学部医学科入学後、海外留学を経て、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程神経病理学分野入学、修了。東京医科歯科大学医学部附属病院や横浜市立みなと赤十字病院へ勤務後の2020年、神奈川県横浜市に「ソージュ山下町内科クリニック」開院。予防の観点から、定期的に相談できるかかりつけ医を目指している。医学博士。日本内科学会認定内科医、産業医、協力難病指定医。

編集部編集部

単なる風邪なら、熱が出ない場合もあるのでしょうか?

中村先生中村先生

これから熱が出る場合もありますし、なんとも言えないですね。インフルエンザと風邪の違いを外見や問診から鑑別することは、医師でもなかなかできないことです。それぞれ原因となるウイルスが異なりますから、検査を要します。その一方、インフルエンザだろうが風邪だろうが対症療法としては同じだから、「わざわざ検査する必要はない」とする考え方もあるでしょう。

編集部編集部

風邪とインフルエンザの違いは、ウイルスの差だったのですか?

中村先生中村先生

ウイルスの違いもあるのですが、両者の最も大きな違いは、「特効薬の有無」だと考えています。インフルエンザには抗インフルエンザ薬が開発されていますが、風邪の特効薬はありません。ウイルスの多くは、ご自身の免疫力でやっつけていただくほかないのです。ただし、つらい症状を抑える目的の「風邪薬」は、ご存じのようにあります。

編集部編集部

ほかにも違いがあったら、教えてください。

中村先生中村先生

風邪は通称で、正式な名称を「急性上気道炎」といいます。つまり、ウイルスを原因とした喉の上部の炎症です。その結果として、せきやくしゃみ、発熱、鼻づまりといった症状が出ます。対するインフルエンザは、ウイルスを原因とした全身疾患という扱いになります。症状だけなら似ているかもしれませんが、体のどこでなにをされるのかは、ウイルスと免疫次第です。

編集部編集部

そして、インフルエンザには、専用の抗インフルエンザ薬が有効だと?

中村先生中村先生

はい。ただし、抗インフルエンザ薬の目的は、「ウイルスの増殖を抑えること」であって「ウイルスを死滅させること」ではありません。先ほど、48時間以内の投与について触れましたが、ひきはじめに「ウイルスの増殖を抑えること」が大切なのです。ウイルスが増えきってしまった後に抗インフルエンザ薬を使用しても、あまり意味はないでしょう。

編集部編集部

結果として、インフルエンザなのに「風邪薬」が処方される場合もありますか?

中村先生中村先生

現実としてはありますね。発症からの日数や、抗インフルエンザ薬の副反応も考慮した上で、どちらがふさわしいのかを決めていきます。ただし、ケース・バイ・ケースですので、パターン化して覚えてしまうのはおやめください。診断は医師に任せ、お体のつらさを、なるべく早くご相談していただければ結構です。

※この記事はメディカルドックにて【熱の出ないインフルエンザがあるってウソ? ホント?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師