ちょっとした痛みが前兆? 日本人がなりやすい「変形性股関節症」の症状について医師が解説!
年齢とともに股関節の痛みを感じる人も多いと思います。「ちょっとした痛みだし、少し安静に過ごせば治る」と放置すると、隠れて徐々に進行する疾患に気づけないこともあるそうです。多くの人がかかりやすい変形性股関節症について、「とだ小林医院」の小林慎一郎先生に解説していただきました。
監修医師:
小林 慎一郎(とだ小林医院)
編集部
股関節に痛みがあるとき、どのような疾患が考えられますか?
小林先生
そもそも、股関節は足の付け根にある関節で、太ももの骨の「骨頭」という部分と、骨盤のとくに「臼蓋」という部分で形成されています。この骨頭と臼蓋の間にある軟骨がすり減って、痛みや動かしにくさなどを引き起こすのが変形性股関節症です。
編集部
どのような症状が出るのですか?
小林先生
初期症状としては、運動後などに太ももやお尻、膝などに、ちょっとした痛みや違和感が表れます。これは変形性股関節症の前兆とも言えますね。進行するにつれて、痛みが強く、部位も股関節に限定的となり、「運動中も痛い→立ったり、歩いたりしただけでも痛い→安静にしていても痛い」となっていきます。
編集部
変形性股関節症になりやすい人の特徴はありますか?
小林先生
最も多い原因は股関節の一部である臼蓋が浅い「臼蓋(寛骨臼)形成不全」で、変形性股関節症全体の80%以上を占めるとも言われています。また、変形性股関節症は、中高年の女性に多い疾患です。さらに、肥満との関係性も報告されています。
編集部
では、臼蓋形成不全になりやすい人はいますか?
小林先生
アジア人に多いのが特徴です。日本人はとくに多く、成人男性の0~2%、女性の2~7%が臼蓋形成不全と言われています。発症年齢は20代後半~40代が多く、妊娠や出産がきっかけで痛みが出たという人も多く報告されています。また、胎児期や幼少期の発育の過程で発症するケースもあるようです。これは1歳半健診などでチェックすることができます。
※この記事はメディカルドックにて【「変形性股関節症」の初期症状を医師が解説 股関節にどんな痛み・症状が起きる?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。