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【日中に強い眠気がある方必見】15〜30分の仮眠は本当に効果的なのか

 公開日:2024/05/31
15〜30分の仮眠 効果ある?

日中に強い眠気が襲ってきたら、どのように対処していますか? 「コーヒーを飲む」「ミントタブレットを食べる」などのほか、「仮眠をとる」という方法をとる方も多いでしょう。しかし、15〜30分ほどの仮眠は、本当に効果的なのでしょうか。そこで今回は、眠りと咳のクリニック虎ノ門の栁原先生に「仮眠の効果」について伺いました。

※この記事はMedical DOCにて【日中に強い眠気「ナルコレプシー」を医師が解説 セルフチェック・セルフケア方法などを知りたい!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

栁原 万里子

監修医師
栁原 万里子(眠りと咳のクリニック虎ノ門)

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大分医科大学医学部(現・大分大学医学部)医学科・東京医科大学医学研究科博士課程・社会人大学院臨床研究専攻卒業。筑波大学附属病院 睡眠呼吸障害診療グループ病院講師、睡眠総合ケアクリニック代々木勤務を経て、2022年11月眠りと咳のクリニック虎ノ門を開院。多種にわたる睡眠障害について診療と臨床研究、啓蒙活動を行っている。医学博士。日本睡眠学会認定睡眠専門医、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医/指導医。東京医科大学睡眠学講座客員講師。公益財団法人神経研究所睡眠研究室客員研究員・睡眠健康推進機構 学校訪問型睡眠講座/出張睡眠市民講座事業登録講師。

編集部編集部

ナルコレプシーの方が自分でできるセルフケアはありますか?

栁原 万里子先生栁原先生

ナルコレプシーの方は15〜30分程度の仮眠をとることによって、そのあとの1~数時間(個人差があります)は強い眠気を抑制することができる場合があります。このため学校や会社の休み時間に机で少し仮眠をとる、在宅勤務の場合には休憩の取れるタイミングで短時間の仮眠をとるなど、上手に仕事時間中の眠気対策を工夫している方もいます。この方法は薬剤を用いないこと、短時間とはいえ効果が得られることから健康的なセルフケアとしてお勧めできます。

編集部編集部

ほかに気をつけることはありますか?

栁原 万里子先生栁原先生

夜間に十分な睡眠時間を取ること、規則正しい生活をするよう心がけることも大切です。ナルコレプシーの強い眠気は十分な睡眠時間をとっていても生じますが、寝不足や不規則な生活による体内時計の乱れが重なると、いつもと同じ治療薬を使用していても覚醒効果が弱くなってしまいます。

編集部編集部

カフェインを摂る場合の注意点を教えてください。

栁原 万里子先生栁原先生

普段の治療薬に加えてカフェインを摂取することにより、多少の効果が得られる場合もありますが、カフェインの過量摂取は心臓に負担をかけます。また夜間にカフェインをとった場合には、就寝後にうまく寝付けたとしても睡眠は浅くなりますので、十分な睡眠にならなくなる可能性があります。カフェインを取るのは日中に、適量範囲にとどめた方が良いでしょう。

編集部編集部

生活習慣の改善でナルコレプシーが治ることはないのでしょうか?

栁原 万里子先生栁原先生

そうですね。ナルコレプシーは「眠気の原因となるほかの疾患(睡眠障害・精神疾患・身体疾患など)や眠気の原因になる薬剤などの使用がないにもかかわらず、十分な睡眠時間をとっていても自制の効かない強い眠気を生じる」疾患です。このため、生活習慣を整えることだけで疾患自体が治癒することはありません。逆に睡眠時間を延長したり、規則正しい生活を心がけることで眠気を生じなくなるのであれば、その眠気は睡眠不足や睡眠習慣の問題が原因であり、ナルコレプシーではないと言えるでしょう。

編集部編集部

睡眠を見直すだけではナルコレプシーを改善できないのですね。

栁原 万里子先生栁原先生

とはいえ、睡眠には「体を健康にメンテナンスする」「心を安定させる」「脳を休めて頭の回転をよくする」という3つの大切な役割があります。ナルコレプシーの治療に用いる覚醒維持薬は、覚醒を促すことで強い眠気を紛らわせてくれますが、睡眠不足を補う薬ではありません。このためナルコレプシーの有無にかかわらず、必要な睡眠時間をできるだけ規則正しくとることが心身の健康を維持し、幸せに生きるために大切です。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。

栁原 万里子先生栁原先生

受験や就職活動、就職後など人生のステージが進むにつれて、ナルコレプシーによる「自制のできない強い眠気」のために「覚醒していたい時に思い通りに起きていられない」状態が生活に支障をきたすようになります。ですが、本人が強い眠気に襲われることに慣れてしまっており、自分が病気だと思っていないこともあります。もし周りに異常な眠気を生じている人がいたら、睡眠外来を受診するように勧めてあげてください。ナルコレプシーは治療により、その人本来の生き生きとした活発な生活を取り戻すことができる疾患です。長期的に見て眠気に支配されない生活は人生を明るく変えるはずです。

この記事の監修医師

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