霰粒腫を放置するとどうなる? 自然治癒することはあるのかを医師に聞く
霰粒腫の治療は抗生物質の目薬または軟膏、それらで治らない場合などは手術が必要なこともあるそうです。また、放置するとしこりが大きくなったり、炎症がひどくなったりすることがあるとごたんだ眼科クリニックの逢坂先生は言います。詳しく教えてもらいました。
※この記事はMedical DOCにて【霰粒腫は「自然治癒するのか?」「放置するとどうなるか」を眼科医が解説
】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
逢坂 さやか(ごたんだ眼科クリニック)
編集部
霰粒腫のしこりが小さかったら放置しても大丈夫ですか?
逢坂先生
とても小さな霰粒腫なら、しこりを残さず完治することもあるかもしれません。しかし、なかなか治らない場合は、悪化する可能性もあります。できるだけ症状が軽いうちに眼科で治療をした方がよいでしょう。特に、「しこりに加えて赤み、痛み、腫れがある」「しこりが次第に大きくなる」「しこりが多発している」「1か月以上しこりが続いている」という症状が見られる場合は、症状が悪化している可能性があります。早めに診察を受けた方が良いでしょう。
編集部
霰粒腫の治療は、どのように行われるのですか?
逢坂先生
痛みや赤みを伴う場合は、抗生物質の目薬や軟膏で治療します。腫れ物が大きい場合や目薬を使っても治らない場合は、まぶたを切開して腫れ物の内容物を除去する手術が必要になることもあります。
編集部
まぶたを切開するのですね。皮膚も薄いし、痛そうです。
逢坂先生
たしかにまぶたは痛みを感じやすい部位ですが、たとえば当院では点眼麻酔、皮膚の湿潤麻酔、局所麻酔という、3種類の麻酔を組み合わせることで、できるだけ痛みを軽減するようにしています。手術は10〜15分程度で終了しますし、麻酔がきちんと効いていれば、手術中の痛みはほとんどありませんので、ご安心ください。
編集部
一度治療を行っても、再発することはありますか?
逢坂先生
なかには何度も繰り返す人もいます。アイメイクをきちんと落としていない人、日常的に目の周りが汚れやすい人などは気をつけた方がいいでしょう。また、普段からドライアイの人も、霰粒腫になりやすいことがわかっています。
編集部
なぜ、ドライアイの人は、霰粒腫になりやすいのですか?
逢坂先生
脂質の分泌腺が詰まるということは、涙のなかの脂質の層が少なくなるということ。そうなると、ドライアイになりやすくなります。また通常、涙には免疫を上げる物質が含まれているのですが、ドライアイになって涙が不足すると、この免疫物質も少なくなり、霰粒腫になりやすくなります。そうした相互作用によって、ドライアイの人は霰粒腫になりやすいのです。
編集部
霰粒腫にならないため、気をつけた方がいいことはありますか?
逢坂先生
まぶたの脂腺がつまらないよう、洗顔の際には洗い残しがないようにしましょう。また、普段から汚れた手で目をこすらず、目の周りを清潔に保つことも大切です。それからバターやチョコレートなど、油脂の多い食べ物は、食べ過ぎないことも予防に役立つでしょう。もちろん、寝不足や疲労など免疫力を低下させることは改めましょう。
編集部
最後にメッセージをお願いします。
逢坂先生
まぶたの手術は痛そう、怖いといって、受診を躊躇する方も少なくありません。しかし、そのまま放置しておくと、どんどん大きくなったり、炎症がひどくなったりすることもあります。術中は、麻酔がしっかり効いていれば痛みの心配はありませんから、ぜひ、安心して眼科を受診していただきたいと思います。