「大動脈解離の予防法」はご存知ですか?【医師解説】

大動脈解離の予防法とは?Medical DOC監修医が解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「大動脈解離で急死」する前に現れる症状はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
大沼 善正(医師)
目次 -INDEX-
「大動脈解離」とは?
大動脈は、体の中で最も太い動脈です。心臓から出て頭側に向かい(上行大動脈)、次に弓状にカーブを描きながら背中側に回り(弓部大動脈)、その後は下に向かい(下行大動脈)、胸部、腹部へと続いています。
動脈はホースのような筒状をしており、外側から外膜、中膜、内膜で構成されています。何らかの原因で内膜が破れ、中膜に血液が流れ込むと、中膜が縦に2層に剥がれることがあります。それにより、もともとの血液の通り道(真腔)と、新しくできた通り道(偽腔)の2つの道が出来てしまいます。この病態を大動脈解離と言います。
大動脈解離を予防する方法
食事・運動療法
高血圧症は大動脈解離の原因となりえるため、予防、治療することが大切です。まずは減塩(理想は6g/日)を心がけましょう。また有酸素運動により、減量、血圧改善が見込まれるため、食事に加えて、運動も合わせるとより望ましいでしょう。
禁煙
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素により血管収縮、血圧上昇、心拍数上昇を引き起こし、血管内皮機能にも障害を来します。そのため、禁煙を行うことで血圧、血管内皮機能を改善させることができます。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠障害は大動脈解離のリスクであるため、睡眠時無呼吸症候群があれば治療することが重要です。睡眠時無呼吸症候群の検査としては、外来でも可能な簡易検査(アプノモニター)や、一泊入院して脳波や血中酸素飽和度を検査する終夜睡眠ポリグラフ検査があります。
睡眠時無呼吸症候群と診断された場合には、必要に応じてCPAP(持続陽圧呼吸療法。就寝中に鼻に酸素マスクを取り付け、無呼吸にならないように持続的に圧力をかけて酸素を送り込む治療法)を行います。
「大動脈解離で急死」についてよくある質問
ここまで大動脈解離での急死などを紹介しました。ここでは「大動脈解離で急死」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大動脈解離を発症してから、どれくらいで亡くなることが多いですか?
大沼 善正 医師
急性大動脈解離は、病院に到着前に半数以上が急死するほどの重大な病気です。亡くなってしまう方は、発症後24時間以内がほとんどとされています。手術死亡率は9.6%と治療成績は向上しているため、予防、早期発見・早期治療が非常に重要です。
編集部まとめ
大動脈解離は重大な病気であり、発症後すぐに状態が悪化することが多い病気です。そのため、高血圧管理、睡眠障害の治療、禁煙で予防を行うことや、今までにない突然の胸痛、背部痛、意識消失などが出現した場合には、夜間であっても緊急で医療機関を受診するなど、早期発見・早期治療が重要です。
「大動脈解離」と関連する病気
「大動脈解離」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
大動脈解離の主な症状は胸部、背部の痛みですが、似たような症状を示す病気は上記に挙げたようにたくさんあります。ただし、その痛みが急な激痛となって出現しており、どのような体勢をとっても全く改善しない場合には、大動脈解離を疑うきっかけとなります。
「大動脈解離」と関連する症状
「大動脈解離」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
大動脈解離では突然の胸痛、背部痛、移動する痛み、意識消失を認めます。ショックになると血圧低下により顔面蒼白、冷や汗、倦怠感があらわれることがあります。そのような症状がある場合には、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。