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「血圧の上昇を抑えるための予防法」はご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2025/07/01

Medical DOC監修医が血圧の上昇を抑えるための予防法や血圧の上昇で考えられる病気などを解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「血圧を下げる食べ物」はご存知ですか?血圧が高くなる原因も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

血圧とは?

血圧とは心臓から送り出された血液が血管の壁にかかる圧力のことです。血圧は自律神経やホルモンの働きによって調節されています。
診察室で収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。
収縮期血圧とは、心臓が収縮して血液を送り出す時に動脈にかかる圧力で、拡張期血圧とは、心臓が拡張したときに血管の陰にかかる圧力です。

血圧の上昇を抑えるための予防法

血圧が上昇する原因になるのは、食事や過度の飲酒や喫煙などの生活習慣です。高血圧を予防するために、生活習慣の見直しをしましょう。

1日6g未満の減塩食にしましょう

減塩食にすることで降圧効果が期待できます。目標は1日6g未満です。
米国心臓病学会/米国心臓病協会の2017年のガイドラインによると、一日のナトリウム摂取量を1000mg(食塩換算で約2.5g)減らすことで降圧効果があるとされています。1日6g未満の達成が難しくても、現状より少しでも食塩の摂取を減らすことをおすすめします。
食塩はさまざまな食べ物に含まれています。栄養成分表示の確認を習慣化しましょう。

肥満があれば解消しましょう

現状体重から3%以上の体重減少で、降圧効果が期待できます。BMIが25以上の肥満の方は、まずは体重の3%減量を目標にしましょう。
BMIの算出式
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例)160cmで65kgの場合
BMI=65kg÷1.6m÷1.6m=25.4

飲酒量を適量にしましょう

1~2週間の節酒を継続することで降圧効果が認められます。推奨量の達成が難しい場合は、現状より少しでも節酒しましょう。
高血圧治療ガイドライン2019では、1日当たりの純アルコール量で男性20〜30g以下、女性10〜20g以下の摂取制限が推奨されています。

純アルコール20g相当一覧

種類 度数
ビール 5% 500mL
酎ハイ 7% 350mL
ワイン 12% 200mL
日本酒 15% 170mL
焼酎 25% 100mL
ウイスキー 43% 60mL

運動をしましょう

運動すると血圧降下作用があります。
高血圧治療ガイドライン2019では、速歩やスロージョギングなどの有酸素運動を定期的に(毎日30分以上または週180分以上)行うことを推奨しています。

禁煙しましょう

喫煙は交感神経を刺激することや酸化ストレスの影響で血圧を上げる作用があります。
1本吸うと15分以上持続して血圧を上昇させます。
慢性的な喫煙は動脈硬化の進行や、脳卒中や心疾患発症のリスクです。高血圧や脳・心疾患の発症予防のために禁煙をおすすめします。

健康診断・血液検査で「血圧が高い」と診断された場合に気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血圧が高い」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

高血圧

高血圧とは慢性的に血圧が高い状態です。
食塩摂取過剰・肥満・過剰飲酒・喫煙などが主な原因になります。
慢性的な高血圧は動脈硬化を進行させ、脳卒中・心疾患・腎臓病を発症するリスク因子です。
食塩制限・肥満の解消・節酒などの食事療法や禁煙など生活習慣を改善することで降圧効果が期待できます。必要に応じて薬物療法を行います。

健康診断などで高血圧を指摘され、家庭での血圧も繰り返し基準値を越える状態が続く場合は早めに内科を受診しましょう。

動脈硬化

動脈硬化とは血管の弾力の低下や、血管が厚くなって血管内が狭くなった状態です。
動脈硬化は脳卒中・心疾患・腎臓病などを発症する原因になります。
動脈硬化が進行する主な原因は高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病や加齢や喫煙などです。進行を抑えるには、動脈硬化の原因となる生活習慣の改善が必要です。
健康診断などで高血圧などの生活習慣病を指摘されたら、早めに一般内科を受診しましょう。

慢性腎臓病

慢性腎不全とは腎臓の機能の低下が3ヶ月以上持続した状態です。
肥満症・高血圧・糖尿病・高尿酸血症などの生活習慣病や喫煙などが発症の主な原因です。
食事療法は食塩・たんぱく質・カリウムなどの制限を腎機能低下のレベルに合わせて行います。
血圧のコントロールなど症状に応じて薬物療法を行います。
腎臓の機能は一度低下してしまうと改善が難しいため、早期の治療が重要です。
健康診断で高血圧や腎機能の低下を指摘されたり、むくみ・貧血・夜間尿などの症状がある場合は早めに腎臓内科を受診しましょう。

脳卒中

脳卒中とは脳の血管の閉塞や脳の血管が破裂して脳の細胞が障害を受ける病気です。高血圧や動脈硬化が主な原因です。
脳の血管が詰まって起こる脳梗塞と脳の血管が破れて起こる脳出血・くも膜下出血があります。
脳卒中の予防は肥満の解消・禁煙・節酒など生活習慣の改善と、生活習慣病があればその治療を行います。脳卒中を発症した場合の治療法は薬物療法や手術です。
半身のまひやしびれ・ろれつが回らない・立てないなどの症状があれば早急に救急要請をしましょう。

心筋梗塞

心筋梗塞とは、動脈硬化が進行して血管が閉塞し、心臓に血液が十分に届かなくなり、心臓の細胞の壊死が起こる病気です。
血栓を薬で溶かすことや、血管を広げたり新しい血管を作る手術などの治療法があります。
再発予防のために高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病の改善や必要に応じて薬物療法を行います。
10分以上続く激しい胸痛や呼吸困難、吐き気、嘔吐などの心筋梗塞を疑う症状の場合は早急に救急要請をしましょう。

「血圧を下げる食べ物」についてよくある質問

ここまで血圧を下げる食べ物について紹介しました。ここでは「血圧を下げる食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血圧を下げるのに一番良い食べ物について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

カリウム・食物繊維はナトリウムを排出する働きがあります。これらを多く含む、生野菜・果物・海藻類・いも類などは血圧を下げる可能性があります。
食塩を過剰に摂取していると排出が追いつかないため、減塩を意識したうえでカリウムや食物繊維を多く含む食べ物を積極的に摂ることをおすすめします。

血圧をすぐに下げる食べ物・飲み物はありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

食品は良い効果も悪い効果もゆっくり現れるため、すぐに血圧を下げる食べ物や飲み物はありません。減塩食・肥満の解消・節酒・禁煙などの生活習慣の見直しをしましょう。

高血圧の方が控えた方がいい食べ物について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

食塩や飲酒量を控えましょう。食塩やアルコールの過剰摂取は血圧を上げる原因です。減塩食や飲酒の制限をすることで降圧効果が期待できます。

編集部まとめ 血圧が高いと診断されたら減塩しよう

血圧が高い状態が続くと、動脈硬化の進行や腎臓病や脳卒中などの合併症を招くリスクが高まります。
減塩・飲酒量を減らす・禁煙など生活習慣の見直しが必要です。
血圧を上げてしまう病気を発症している可能性もあります。
健康診断で指摘されたり、家庭での測定で血圧が高い状態が続く場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。

「血圧」の異常で考えられる病気

「血圧」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

腎臓系の病気

脳血管系の病気

呼吸器科の病気

眼科の病気

内分泌系の病気

血圧が高くなる原因は食事や運動などの生活習慣の乱れ・遺伝・加齢・喫煙などさまざまです。高血圧は動脈硬化の進行や合併症を招くリスクになります。高血圧以外の病気が隠れている場合もあるため、症状がないからと放置せずに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師