目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「高血圧の基準値」はご存知ですか?血圧測定のやり方も医師が解説!

「高血圧の基準値」はご存知ですか?血圧測定のやり方も医師が解説!

 公開日:2025/06/26
「高血圧の基準値」はご存知ですか?男女別・年代別の基準値も医師が解説!

高血圧の基準値はどれくらい?Medical DOC監修医が解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「高血圧の基準値」はご存知ですか?男女別・年代別の基準値も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

プロフィールをもっと見る
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

高血圧とは?

血圧とは、血液が心臓から押し出され血管の内側にかかる圧力のことです。血圧の高さは、心臓の血液を押し出す力と血管の太さや弾力性などにより決まります。上の血圧とは、心臓が収縮し血液を押し出すことで血管にかかる圧力です。収縮期血圧とも言います。一方、下の血圧は心臓が拡張した時の血管にかかる圧力であり、拡張期血圧とも呼ばれます。血液の量が多くなったり、末梢の血管が何らかの原因で細くなったり、硬くなることで血圧が上昇します。

高血圧の基準値

診察室において血圧が140/90mmHg以上、家庭血圧で135/85mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。診察室血圧と家庭血圧の間に差がある場合には、家庭血圧による診断を優先します。

男女別・血圧の基準値

高血圧の基準は男性、女性での変更はなく、一律に診察室血圧で140/90mmHg以上、家庭血圧で135/85mmHg以上とされています。

2024年(令和6年)4月から変わった高血圧の基準値

高血圧の診断基準の変更はありません。以前から診察室での血圧140/90mmHg以上、家庭での血圧135/85mmHg以上が高血圧の診断基準です。
全国健康保険協会(協会けんぽ)が健康診断において、未治療の高血圧の方への受診推奨基準を160/100mmHgへ変更したことでこのような誤解が生じているようです。受診推奨基準がなぜ変更になったかは分かりませんが、受診推奨基準が変わったとしても、血圧が高いことでの脳心血管病のリスクが変わったわけではありません。変わらず140/90mmHg以上の高血圧を認めた場合には、内科受診をお勧めします。

年代による高血圧の基準値

基本的には、高血圧の基準については年代に関係なく140/90mmHg(診察室血圧)です。しかし、年代や病態により降圧目標が異なります。75歳未満での降圧目標は130/80mmHg未満です。しかし、75歳以上の高齢者や、脳血管障害患者、蛋白尿陰性の腎臓病患者では140/90mmHg未満が降圧目標となっています。
特に高齢者では血圧が低すぎると、ふらつきなどが生じたり、日常生活に支障が出ることもあり注意が必要です。しかし、75歳以上であっても心血管病のリスクがあり、130/80mmHg以下の降圧が望まれる場合もあります。高齢者に関しては、個々の状態に合わせて治療目標を決定することが大切です。また、50代、60代の患者さんでも血圧が急激に下がることで、ふらつきなどが出る場合には、自己判断をせず、主治医に相談をしてみましょう。

血圧測定のやり方

家庭での血圧測定には、上腕カフ血圧計を用います。測定は原則2回行い、その平均値を血圧値とします。家庭血圧の測定は、自動血圧計を用いて行います。自動血圧計の精度は、日本製の装置であれば大きな問題はないです。高血圧の診断や降圧剤の効果判定のためには、朝・晩それぞれの測定を7日間(少なくとも5日間)程度行って判定します。

「高血圧の基準値」についてよくある質問

ここまで高血圧の基準値について紹介しました。ここでは「高血圧の基準値」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

病気のリスクが上がる高血圧の基準値について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

複数の研究報告の結果より、血圧が130/80mmHg未満では脳心血管病による死亡リスクが低いことが分かり、これが75歳未満の成人での降圧目標となっています。これより高い血圧では脳心血管病の死亡リスクが増加すると考えられており、この降圧目標を達成できるように治療を行います。75歳以上の高齢者や、脳血管障害患者、尿蛋白陰性の腎臓病患者では、140/90mmHgが降圧目標です。

積極的な水分補給で高血圧を下げることはできますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

積極的な水分補給のみでは高血圧を下げることができません。

高血圧の診断基準は2024年から変わったのでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

高血圧の診断基準の変更はありません。以前と変更はなく診察室血圧で140/90mmHg以上家庭血圧で135/85mmHg以上が高血圧の診断基準です。全国健康保険協会(協会けんぽ)が健康診断において未治療の高血圧の方への受診推奨基準が160/100mmHgへ変わったことでこのような誤解が生じているようです。なぜこのように変わったのかは、疑問ですが、以前と変わらず高血圧による脳心血管病のリスクは血圧上昇とともに上がります。高血圧を認めたら、早めの内科受診をお勧めします。

40代で血圧の上が150・下が90の場合高血圧ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

75歳以下であれば、140/90mmHg(診察室で)以上であれば高血圧と診断されますので、40代での150/90mmHgは高血圧と考えられます。健康診断で指摘された場合、白衣高血圧の可能性もありますので、まず自宅で1週間程度血圧を測ってみてください。自宅でも135/85mmHg以上が持続している場合には、早めに内科、循環器内科を受診しましょう。

編集部まとめ 高血圧の基準値は140/90mmHgで変更なし!

高血圧は自覚症状が出づらい病気です。しかし、自覚症状がないからと言って高い血圧を放置することで脳卒中や狭心症、心筋梗塞などの心血管病の危険性が増えます。放置をせずに、改善するように行動することが大切です。
血圧が130~140/80~90mmHgの境界域では、まず生活習慣から見直すことが大切です。禁煙、節酒と適正体重を保つこと、6g/日以下の減塩を実践することで、改善が期待できます。140/90mmHg以上が持続する場合には、早めに病院を受診し、適切な生活習慣の指導を受ける事、また高血圧が持続する場合には降圧剤を使用することも検討されます。時に誤解をされることもあるようですが、高血圧の基準gは140/90mmHg以上で変更はありません。この値を上回るようでしたら、内科受診をしましょう。

「高血圧」の異常で考えられる病気

「高血圧」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

  • 心血管病(狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤、大動脈解離など)

脳神経科の病気

  • 脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血など)

内分泌代謝科の病気

腎泌尿器科の病気

高血圧はさまざまな病気に関連しています。動脈硬化を進行させ、脳卒中や心血管病などの重篤な病気を引き起こします。高血圧は自覚症状が少ないですが、健康診断で高血圧を指摘された場合には早めに内科受診をしましょう。

この記事の監修医師