「高血圧を予防する食べ物」はご存知ですか?医師が徹底解説!

高血圧を予防する食べ物・食生活とは?予防法も解説!
※この記事はMedical DOCにて『「血圧が高いと出る5つの症状」はご存知ですか?高血圧を予防する食べ物も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
血圧とは?
血圧とは心臓から送り出された血液が血管の内側にかかる圧力のことです。血圧を左右する要因として心拍出量(心臓から押し出される血液の量)、血管の太さ、血管の弾力性によって決まります。心臓はポンプのように収縮や拡張を繰り返して全身に血液を送っています。心臓が収縮して血液を送り出す時の血圧が収縮期血圧(最高血圧)で、血液が心臓に戻ってきて拡張している時の血圧が拡張期血圧(最低血圧)です。診察室で収縮期140/拡張期90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。
高血圧を予防する食べ物・食生活
野菜や果物の摂取を増やしましょう
生野菜や果物、海藻などに多く含まれるカリウムは尿中にナトリウムを出してくれる働きがあります。カリウムとナトリウムは体に必要なミネラルの一つで、ナトリウムは食品からは食塩として摂取されます。
日本人(20歳以上)の一日のカリウムは、令和元年の国民健康・栄養調査では男性2439mg、女性2273mgです。
日本人の食事摂取基準(2020年版)ではカリウムの摂取目標を成人男性3000mg以上、成人女性2600mg以上としているため、積極的な摂取をおすすめします。
カリウムは以下のような食品に多く含まれます。
- ・野菜:ほうれん草や春菊など
- ・果物:バナナやリンゴなど
- ・海藻:昆布やひじきなど
- ・いも類:じゃがいもやさつまいもなど
カリウムは水に溶けやすい特徴があるため、野菜や果物は生のまま食べることがおすすめです。
腎臓病の方ではカリウムの摂取制限が必要な場合があります。主治医に確認しましょう。
果物は糖質を多く含むため、肥満・糖尿病の方は摂りすぎに注意が必要です。
大豆製品の摂取を増やしましょう
大豆製品はカリウム・マグネシウムを多く含む食品です。マグネシウムは血圧の調整に必要なミネラルです。また、大豆製品に含まれるイソフラボンという成分は血圧降下作用があるといわれています。
納豆・豆腐・豆乳・枝豆などの摂取を増やしましょう。
納豆1P(40g)76kcal、木綿豆腐½丁(150g)110kcal、無調整豆乳コップ1杯(180mL)79kcalあります。肥満がある方は、今の食事にプラスするのではなく、置き換えることをおすすめします。
魚の摂取を増やしましょう
魚に多く含まれるEPAやDHAといった、n-3系脂肪酸には血圧降下作用があるとされています。
n-3系脂肪酸を一日3g以上摂ると、降圧効果が期待できるとの報告があります。
n-3系脂肪酸を多く含む食品は、青魚(サバやイワシ)・サーモンなど脂質の多い魚などです。
EPAやDHAと同じn-3系のαリノレン酸は体の中でEPAやDHAに変わります。大豆油やアマニ油の摂取もおすすめです。
脂質は少量で高エネルギーの栄養素です。肥満がある方は、今の食事にプラスするのではなく、置き換えることをおすすめします。
高血圧の正しい対策・予防法
減塩食・標準体重の維持・節酒
食塩の過剰摂取は高血圧の原因となります。
食塩の過剰摂取によって、体内の塩分濃度が高まると、塩分濃度を一定にするために水分量を増やします。そのため血液量が増え、血管にかかる圧力が増加するためです。
日本人(20歳以上)の一日の食塩摂取量は、令和元年の国民健康・栄養調査では男性10.9g、女性9.3gと非常に多いです。
米国心臓病学会/米国心臓病協会の2017年ガイドラインでは、減塩の目標を一日のナトリウム摂取量を1000mg(食塩換算で約2.5g)減らすことで降圧効果があるとしています。
食塩は様々な食べ物に含まれています。食塩含有量が多い食品は調味料、梅干しや漬け物、味噌汁などの汁物、麺類、加工品、外食などです。摂取頻度や量に注意しましょう。
市販品や外食の塩分表示を見ることで、食塩含有量を確認できます。目標は一日6g未満ですが、まずは減塩を意識して今より少しでも食塩摂取量を減らしましょう。
・適度な体重を維持しましょう
肥満は高血圧発症のリスク因子です。特に内臓脂肪が蓄積された状態は、ホルモンのバランスを乱し高血圧を招きやすくなります。
日本肥満学会ではBMI(体格指数)が22を標準体重としています。統計上、高血圧や糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病になりにくい体重です。
BMIの正常範囲は18.5~25です。25以上は肥満と判定されます。
BMIの算出式
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例)160cmで65kgの場合
BMI=65kg÷1.6m÷1.6m=25.4
体重を3%以上減少すると降圧の効果が期待できます。標準体重を維持することが理想ですが、BMIが25以上の肥満の方は、まずは体重の3%減量を目標にしてください。
・過剰飲酒があれば節酒しましょう
飲酒の習慣は高血圧の原因となります。また、多量飲酒は脳卒中や心疾患を引き起こすリスクを高めます。
一日の摂取量は男性ではビール中瓶1本、日本酒1合、焼酎半合、ワイン2杯、女性は男性の半量程度に制限することがおすすめです。
節酒継続後、1~2週間で降圧効果が認められるため、推奨されている摂取量の達成が難しい場合は、現状より少しでも節酒しましょう。
適度な運動の継続
運動すると、直後から血圧降下作用があり、その後22時間程度降圧効果が期待できます。
速歩やスロージョギングなどの有酸素運動を毎日30分以上または週180分以上行うことが目安です。
合併症があると、高強度の運動の制限が必要になる場合があります。運動を始める前に医療機関を受診し、メディカルチェックを受けましょう。適切な運動量や運動の種類で運動療法に取り組むことをおすすめします。
禁煙
タバコの煙に含まれるニコチンには、交感神経を刺激して血圧を上げる作用があります。
紙タバコを1本吸うと15分以上持続して血圧を上昇させます。
慢性的な喫煙は動脈硬化を進行させ、脳卒中や心疾患のリスクを高めるため、高血圧予防・合併症予防のために禁煙をおすすめします。
「血圧が高いと出る症状」についてよくある質問
ここまで血圧が高いと出る症状について紹介しました。ここでは「血圧が高いと出る症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
血圧が一気に上昇するとどんな症状が現れますか?
伊藤 陽子(医師)
血圧が一気に上昇すると、脳に障害が起こり、脳浮腫が起こる「高血圧性脳症」になる場合もあります。慢性的な高血圧がある場合、220/110mmIg以上、正常血圧の場合、160/100mmHg以上で発症しやすいとされています。発症の主な原因は慢性的な高血圧や腎不全などです。激しい頭痛・嘔吐・視力障害・意識障害や、脳出血・腎不全・循環器疾患を引き起こし、命に関わる可能性もあります。異常な高血圧と激しい頭痛・嘔吐・視力障害・意識障害などの症状が現れたら速やかに救急要請しましょう。
血圧が高くなったらどのように対処すればいいですか?
伊藤 陽子(医師)
健康診断などで高血圧を指摘されたら、まずは医療機関を受診しましょう。減塩にするなど食生活の改善や運動習慣の見直し、標準体重の維持、禁煙・節酒に取り組みましょう。
編集部まとめ 高血圧に頭痛などの症状が出た場合には、早急に内科受診を!
血圧が高いだけでは自覚症状が現れることは少ないですが、慢性的な高血圧は全身の動脈硬化を進行させ、脳や心臓や腎臓など、さまざまな臓器に負担がかかり、合併症を引き起こすリスクが高くなります。健康診断で高血圧を指摘されたり、家庭での測定値が高い場合は一度医療機関を受診しましょう。
「血圧が高いと出る症状」の異常で考えられる病気
「血圧が高いと出る症状」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
腎臓科の病気
神経内科の病気
眼科の病気
- 高血圧網膜症
- 網膜静脈閉塞症
自覚症状がないからといって、血圧が高い状態を放置してしまうと、様々な合併症を引き起こす危険があります。健康診断などで血圧が高いと指摘されたら、早めに医療機関を受診しましょう。