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【闘病】『不妊治療』で実感… 周囲の目線は「良い意味でも悪い意味でも変わる」

 公開日:2025/07/04
【不妊治療体験記】「私だけじゃない」孤立を防いだSNSと、パートナーとの共有がもたらした安心感

結婚後、自然妊娠を目指して妊活を始めたものの、1年経っても授からず。うぇいさん夫妻(仮称)は、タイミング法・人工授精を経て、体外受精でようやく第一子を授かりました。不妊の原因が見つからない中で進めた治療、不安や葛藤、そして心の支えとなったSNSでのつながり。保険適用前の不妊治療を乗り越えた実体験を通して、「夫婦で歩む」妊活のリアルを語っていただきました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年9月取材。

うぇいさん

体験者プロフィール
うぇいさん

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東京在住、1988年生まれ。家族構成は夫と息子との3人暮らし。子どもを授かろうと思ったのは結婚式を終えたころ。1年間子どもを授からなかったことから不妊治療クリニックを受診。その後、仕事と両立しながら、不妊治療を続けた。

うぇい旦那さん

体験者プロフィール
うぇい旦那さん

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東京在住、1993年生まれ。家族構成は妻と息子との3人暮らし。子どもを授かろうと思ったのは結婚して色々と落ち着いたころ。妻と不妊治療クリニックを受診するもこれといった原因はみつからず。現在、仕事に力を入れる傍ら、新米パパとして奮闘中。

鈴木 幸雄

記事監修医師
鈴木 幸雄(産婦人科専門医・婦人科腫瘍専門医)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

不妊の原因が不明なまま体外受精へ

不妊の原因が不明なまま体外受精へ

編集部編集部

今回は不妊治療についてですが、お子さんを授かろうと思ったのはいつ頃からでしょうか?

うぇいさんうぇいさん

明確な時期は決めていませんでしたが、2人で結婚前から「子どもが欲しいね」という話をしていました。個人的な希望としては「自分が35歳になるまでに2人」でしたね。お互いに2人兄弟の家庭だったので、自然にそう考えていたのだと思います。ちなみに、結婚式の前後は夫婦共にフルタイムで就業していました。

編集部編集部

どういった経緯で「もしかしたら不妊では?」と感じたのでしょうか?

うぇいさんうぇいさん

2019年に結婚式を挙げて、その後から妊活を開始したのですが、1年を経ても妊娠しなかったので、その頃からでしょうか。悲観的な心境になったというよりは、私たちより後に結婚したカップルが次々と妊娠していくので、「今の状況を真剣に捉えようか」という考え方に変わっていきました。

編集部編集部

産婦人科などの受診をしたと思うのですが、原因についての説明はありましたか?

うぇいさんうぇいさん

夫婦共に色々な検査を1カ月ほどおこないましたが、特定の原因は見つかりませんでした。これという決め手がなかったので、必然的に「タイミング法→人工授精→体外受精」というステップの話題になっていきました。ちなみに、不妊治療の受診先は仕事休みの日にお世話になるかもしれないので、「自宅からの近さ」という立地で選びました。

編集部編集部

最終的には「体外受精」まで進んだのですよね?

うぇいさんうぇいさん

はい。タイミング法をおこなった後、4回の人工授精を試みたのですが上手くいかず、2回目の体外受精でようやく「妊娠」することができました。1カ月間の検査期間を含め、約半年の間毎月、何かしらの処置をしていたという流れです。

同じ境遇のSNSだからこそ共感が生まれる

同じ境遇のSNSだからこそ共感が生まれる

編集部編集部

続いて、不妊治療の進め方についてお聞かせください。途中で転院を考えたことはありましたか?

うぇいさんうぇいさん

転院はしていませんし、病院に対する不信感もとくになかったので、全く考えていませんでした。また、インターネットなどで通院先の実績を調べていましたし、担当医師が「できることとできないことをハッキリ告げるタイプ」だったので、私の性格に合っていたように思います。私から希望する方法をもちかけてみたのですが、「その方法は後でもできるので、今はこうしましょう」とリードしていただけました。私自身、色々とインターネットで調べすぎて“前のめり”になっていたようです。

編集部編集部

旦那さんに伺います。「こういう治療で進めたい」という希望はあったのですか?

うぇい旦那さんうぇい旦那さん

大変なのは妻ですから、彼女の考えを尊重しました。ただ、「わかった。じゃあ、“一緒に”その方法で進めようね」という共有の姿勢を忘れないようにしました。万が一、成功しなかったとしても、それは「夫婦の結果」なんだと思うようにしました。

編集部編集部

不妊治療中、何がネックでしたか?

うぇい旦那さんうぇい旦那さん

色々な検査を受けても原因が特定されなかったうえに、4回の人工授精でも結果が出なかったときは、先が見えなくなりかけました。費用を含めて、いつまで続くのかという不安ですよね。そして、体外受精という最終手段が残っているのですが、「まだ頑張れることがある」というプラスの感情と「体外受精でも上手くいかなかったらどうしよう」というマイナスの感情が混ざった複雑な気持ちだったことを覚えています。

編集部編集部

費用の話が出ていましたが、このタイミングだとまだ不妊治療の保険適用前ですよね?

うぇいさんうぇいさん

はい。保険適用前で、保険が使えるようになったのは2022年の4月以降です。東京都からの助成金を受け取って費用は約半額になったものの、治療費の負担はきつかったです。ですが、親に頼りたくないという気持ちがありました。不妊治療をしていることも打ち明けてはいませんでした。なぜなら、「余計な心配や気遣いをしてほしくなかった」からです。不妊治療をしていることがわかると、周囲の目線が良い意味でも悪い意味でも変わります。

編集部編集部

周囲の目線が変わる?

うぇいさんうぇいさん

そうなんです。例えば、受精のタイミングでは禁酒ということになっています。ですから、タイミング的に大丈夫な時期でも、気を遣われてか、飲み会には誘われなくなりますよね。逆に飲み会に参加していると、「また妊娠できなかったんだ」的な視線を感じるような気がしました。そのことで周りにも気を遣わせたくなかったので、職場にも打ち明けていません。ただ、さすがに上司には、排卵の時期次第でシフトを変えてもらう必要があるので相談していました。

編集部編集部

治療中、誰か心の支えになる人物はいましたか?

うぇいさんうぇいさん

インスタグラムでつながった妊活仲間でしょうか。SNSを始めたきっかけは単なる「記録メモ」だったのですが、同じ不妊で悩んでいるフォロワーさんが多くいらっしゃって驚きました。不妊治療が上手くいかないと、「普通に生理が来る」んですよね。そういう記録を取っていたつもりが、会ったこともないフォロワーの方から「私もです」と連絡していただくと、「自分だけじゃないんだ」という気持ちになり、とても支えられました。SNSは、有益な情報の取得先というより、純粋に心の受け皿・居場所でした。

編集部編集部

旦那さんもSNS活動に参加していたのですか?

うぇい旦那さんうぇい旦那さん

妻ほどではないですが、ときどき投稿していました。例えば、医師から助言を受けて意識して取り組んだ「サプリメント情報」などは反響がありました。また、陰部が蒸れないように下着をブリーフからトランクスに変えたことを報告した際にも「うちのパートナーにも共有しよう」という反応が多くありました。

(後編)【闘病】妊娠・出産はゴールではなく、子育てへのスタートライン

※この記事はメディカルドックにて『【不妊治療体験】「私だけじゃない」孤立を防いだSNSと、パートナーとの共有がもたらした安心感』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師