目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 【闘病】めまいと吐き気が続くも2年病名は不明 「MOG抗体関連疾患」の診断を受けるまで

【闘病】めまいと吐き気が続くも2年病名は不明 「MOG抗体関連疾患」の診断を受けるまで

 公開日:2025/07/03

突然の激しいめまいや視界の異常、そして視力低下。そんな異変から始まったエミさん(仮称)の闘病生活。最初は多発性硬化症と診断されましたが、再発を機に受けた検査で「MOG抗体関連疾患」と判明。再発や視力の危機を乗り越えながらも前向きに治療と向き合う彼女の姿からは、病と共に生きる覚悟と、支えてくれる家族への感謝の気持ちがにじみ出ています。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年12月取材。

エミさん

体験者プロフィール
エミさん(仮称)

プロフィールをもっと見る

兵庫県在住、1982年生まれ。夫と2人暮らし。診断時の職業は会社員。2015年にMOG抗体関連疾患と診断を受ける。現在は入院や外来治療をしながら闘病生活中。2019年に結婚。今後はオンライン英会話をはじめる予定。

植松 高史

記事監修医師
植松 高史(名古屋大学医学部附属病院)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

突然発症した難病

突然発症した難病

編集部編集部

MOG抗体関連疾患とはどんな病気ですか?

エミさんエミさん

原因不明ですが視神経や脳などに炎症を起こし、視力低下などのさまざまな神経症状が起こる病気です。最悪の場合、失明する場合もあるようです。通常はステロイドパルス療法が効果的で、視力回復が得られる場合が多いそうですが、ステロイドが効きにくい場合は、再発を繰り返すこともあります。完治が難しく、私も再発を経験しました。

編集部編集部

病気が判明した経緯について教えてください。

エミさんエミさん

2013年のある日、めまいと浮遊感があったのですが、その時はそのまま寝ました。しかし、翌朝ベッドで目が覚めると、天井がぐるぐる回転しているように感じるほど激しいめまいが続き、ものが二重に見えて視界が揺れていました。かなり動揺しましたね。

編集部編集部

すぐに受診されたんですか?

エミさんエミさん

まずは母と眼科に行きました。帰り路で気持ち悪くなり、薬局のトイレで吐いたときには、絶望しました。その後も吐き気がすごかったので、父が運転する車でいくつもの病院にかかりました。この時にはもう、視界は最悪でした。いま振り返っても「吐き気がするのも当然」という感じでしたね。

編集部編集部

病名はすぐにわかりましたか?

エミさんエミさん

発症から4日目、割と早い段階で市立病院の神経内科へたどり着き、複視と両眼の眼振(眼球がけいれんしたように動いたり揺れたりすること)で「多発性硬化症の疑い」と診断されました。その病院は満床だったので、翌日に紹介状を持って大学病院へ向かいました。

MOG抗体関連疾患の診断から治療の経緯

難病の診断から治療の経緯

編集部編集部

大学病院ではどのような検査を受けましたか?

エミさんエミさん

まず診察を受け、MRI、髄液検査をして、炎症があればステロイドの点滴をすると説明を受けました。そして、MLF症候群(どんな病気であれ、脳幹の一部が障害されて目の動きに特徴的な障害が出ている状態を言います)と診断されました。

編集部編集部

治療はどのように進みましたか?

エミさんエミさん

最初の入院では、1000mgのステロイドを点滴するステロイドパルス療法を2クールおこないました。

編集部編集部

再発などはなかったのでしょうか?

エミさんエミさん

2015年に再発し、脳炎と視神経炎の診断を受け、一時は盲状態になりました。そのときはMRIと髄液検査のあと、ステロイドパルスを2クールおこないました。さらに、血漿(けっしょう)交換を4回実施しました。この時、主治医が、予防薬投与を始める前にMOG抗体検査をしてくれました。「もしMOG抗体陽性だった場合、多発性硬化症の予防薬が余計に症状を悪くしてしまうため、念のため検査をした」とのことでした。検査結果、MOG抗体は陽性で、MOG抗体関連疾患であることが確定しました。

編集部編集部

病気が判明したときの心境について教えてください。

エミさんエミさん

難病と知り、最初は涙しましたが、ネットで調べたら命にかかわるほどの病気ではなさそうだったのでホッとしましたね。

編集部編集部

その後、病状に変化はありましたか?

エミさんエミさん

2021年に右の大脳に病巣が見つかりました。顔の左全体と舌の痺れがあり、MRI検査の後、ステロイドパルス治療を2クール実施しました。それで無事に退院することができました。

編集部編集部

退院後の調子はどうですか?

エミさんエミさん

目の症状はほとんどないのですが、発症前より眩しく感じるので、サングラスが手放せなくなりました。曇りの日でも必需品です。おかげでサングラスのおしゃれを楽しむことができるようになりました。後遺症として、右舌先に痺れが残っています。薬はプレドニンを継続して使用中です。退院時は10mgでしたが、徐々に減薬して現在は2.5mg服用中です。

編集部編集部

治療中の心の支えはなんでしたか?

エミさんエミさん

家族との面会が嬉しかったですね。両親や姉が交代で、毎日しゃべりに来てくれました。母と院内のコンビニでコーヒーを買って飲むことが、唯一の楽しみでした。

編集部編集部

もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?

エミさんエミさん

「仕事、無理しないでいいよ」「我慢しすぎないで」と言いたいです。

(後編)【闘病】世界中の同病者さんとのつながりを作りたい

※この記事はメディカルドックにて『【闘病】「天井が回転する」ほどのめまいに襲われたMOG抗体関連疾患』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師