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【闘病】胃腸炎と思っていたら難病『クローン病』の診断 あれもこれも食べられなくなり…

 公開日:2025/06/26
腹部を手で押さえる女性

ファストフードやお菓子ばかりの食生活をしていたある日、突然40度近い発熱と胃腸炎のような症状に襲われ、1ヶ月の入院へ。そう語るのは、20代前半で難病のクローン病と診断された亜理沙さん(仮称)。突如始まった食事制限、仕事との両立、そして病気と向き合う苦悩の日々……。それでも支えてくれた職場の人々や入院仲間の存在が、彼女を強くしてくれました。発症から現在に至るまでのリアルな思いを伺いました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年11月取材。

亜理沙さん

体験者プロフィール
亜理沙さん(仮称)

プロフィールをもっと見る

1985年生まれ、北海道在住。2007年ごろから頻繁にお腹を下し、胃腸炎と診断され整腸剤を服用。その後発熱し、解熱しなかったため現在も通院する医療機関へ受診したところ入院することに。採血、レントゲン、エコー、大腸カメラ、小腸造影などの検査の結果、クローン病と診断を受ける。現在は半年おきのバルーン拡張術、投薬で治療を続ける。2017年には転職をし、6時間勤務のパート社員として働く。

今村 英利

記事監修医師
今村 英利(いずみホームケアクリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

「死ぬ病気ではない」が食事制限が必要に

病気になっていつも食べていたものが食べられない

編集部編集部

病気が判明した経緯について教えてください。

亜理沙さん亜理沙さん

もともと、よく胃腸炎を起こすほうではあったのですが、当時(2007年ごろ)、アルバイトをしながらお昼ご飯はほぼファストフード、夜は寝る前にチョコレートをひとかけら食べるという生活をしていた時期がありました。その半年ほどで体重が10kg減少。やがて就職をし、そのタイミングで胃腸炎のような症状が出たんです。そのときは熱が40度近くまで上がり、3日ほど下がりませんでした。

編集部編集部

それを受けて病院を受診するのですか?

亜理沙さん亜理沙さん

はい。かかりつけ医を受診したところ別の病院の受診を勧められ、紹介状を書いてもらい、現在お世話になっている病院Aを訪ねました。病院Aで採血をした結果、そのまま入院することになりましたね。そこから1か月近く入院し、絶食や上部・下部内視鏡検査など、いろいろな検査を受けた結果、クローン病が確定しました。

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

亜理沙さん亜理沙さん

食事制限と薬での治療です。脂質や繊維質が多いもの、また刺激物は控えるようにと忠告されました。NG食と言われる食べものが書いてある冊子のようなものをもらいましたね。

編集部編集部

病気が判明したときの心境について教えてください。

亜理沙さん亜理沙さん

死ぬ病気ではないと言われたこと、食事制限しなければいけない、という現実を突きつけられたことしか覚えていないですね。ショックや、どうしようという不安は、むしろしばらく経ってから実感した気がします。

編集部編集部

発症後、生活にどのような変化がありましたか?

亜理沙さん亜理沙さん

スーパーやコンビニで、つい1か月前までは普通に買って食べられていたものが、すべて食べられなくなり、裏の成分表を見るようになりました。しばらくは、コンビニなどのお菓子コーナーはいけなかったですね。なるべくお腹に優しいもの、NG食ではないものを食べるようにしています。外食は、メニューが多いファミレスや、パスタ・和食・回転寿司など、自分が食べられるものがあるお店しか選ばなくなりました。調子が悪いときは、生野菜でも食べると下してしまうので、温野菜にしたり、カップ麺もノンフライ麺のものや春雨スープなどに変更したりしました。また牛乳も脂質の関係上、念のため低脂肪乳に変更しました。

「きちんと病気と向き合いなさい」と励まされた

「きちんと病気と向き合いなさい」と励まされた

編集部編集部

治療中の心の支えはなんでしたか?

亜理沙さん亜理沙さん

看護師さんや病院の入院仲間ですね。入院した消化器内科の患者さんには、ご年配の方が多いのですが、そんな中に、22歳の若い子がご飯も食べられない状態で1か月もいるものだから、ちやほやされたのは今でも覚えています。若いのに大変だねとか、仲良くなったおじさんが毎回食べられないって言っているのに「アイス食べるか?」とか声をかけてくれました(笑)。

編集部編集部

就職して、すぐに病気が判明したとのことですが。

亜理沙さん亜理沙さん

そうなんです。就職したばかり、1週間出勤しただけで長期入院となったにもかかわらず、当時の職場の人たちが心配してくれたのも、ありがたい良い思い出です。会社の人から、寄せ書きのTシャツをもらいましたね。会社の社長や専務には、良くしてもらい、正社員としてそのまま雇用してもらえました。

編集部編集部

就職先での出会いに励まされたのですね。

亜理沙さん亜理沙さん

はい。途中、病気だからと甘えて会社に行けなくなった時期や、不眠になり精神的にも疲弊して迷惑をかけていた時期もあったのですが、そんなときに「きちんと病気と向き合いなさい」と言ってくれたのが、その会社の専務でした。「逃げるな、ちゃんと向き合え。病気を理由に会社へ来ないのは、甘えているからでしょ?」と当時の私はまさにその通りだったので、しっかり怒ってくれた専務には今でも感謝しています。その会社は結局、辞めることになりましたが、なんだかんだ腐らずにやっていけているのは、やっぱりはっきり叱ってくれた専務のおかげだと今でも思っています。

編集部編集部

もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?

亜理沙さん亜理沙さん

「なかなか病気を受け入れられないし、受け入れられていないっていう自覚もないと思うけど、意外となんとかなるし、食べたいものも食べられるし、仕事もなんとかなっているから大丈夫だよ」ですね。

(後半)【闘病】自分の調子を見ながら食事に気をつけています

※この記事はメディカルドックにて『【闘病】いつも食べていたものが食べられなくなった《クローン病》』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師