【闘病】体の痛みや倦怠感から「関節リウマチ」と診断 バイオリニストに訪れた困難

関節リウマチは、関節に炎症が起き、進行すると関節の変形や機能障害を引き起こす自己免疫疾患のひとつです。近年は治療薬の進歩により、症状のコントロールが可能になってきましたが、それでも仕事や日常生活に影響が及ぶことは少なくありません。今回は、バイオリニストとしてのキャリアを積む中で関節リウマチを発症したリウマチバイオリニストさんが、病気と向き合いながら音楽活動を続ける日々や、治療の経過、そして夢を支えにした前向きな思いを語ってくれました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年10月取材。

体験者プロフィール:
リウマチバイオリニストさん(仮称)
北陸地方在住、1986年生まれ。診断時の職業はバイオリニスト。2020年11月にリウマチを発症してステロイド治療を開始。2021年2月からメトトレキサートを使い、10月よりシムジアでの治療に変更した。現在もバイオリン奏者および講師として活動中。

記事監修医師:
今村 英利(いずみホームケアクリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
目次 -INDEX-
以前からリウマチの可能性を指摘されていた

編集部
最初に気づいた症状、病気が判明した経緯について教えてください。
リウマチバイオリニストさん
以前、別の病気で血液検査を行った際に、自分のリウマトイド因子(RF/関節リウマチ等で見られる自己抗体の一つ)の数値が高いことは知らされていました。そのため、いつか発症する可能性があるとは思っていました。それから7年ほど経過し、関節痛と倦怠感がひどく出たので、すぐ気づいて病院を受診しました。
編集部
診断のためにどのような検査を行うと医師から説明されましたか?
リウマチバイオリニストさん
レントゲン検査と血液検査をすると説明されました。診断を受けたときは、「あぁ、ついに私もリウマチが発症したんだ」と思いました。
編集部
医師から、どのように治療を進めると説明されましたか?
リウマチバイオリニストさん
まずはステロイドでリウマチの症状を抑えられるかどうかを見ます。その薬の反応を見て、抗リウマチ薬を使いたいと思います、と説明されました。最初は整形外科の先生で、今は膠原病内科の先生が主治医ですが、どちらもいろんな薬の長所、短所、副作用を丁寧に説明してくださいました。
編集部
治療開始時などネットで情報検索はされましたか? たとえばSNSを見たり、Blogを見たりなど。
リウマチバイオリニストさん
同じ病気の人たちの情報を見たいと思い、Instagramを活用しました。薬や治療はお医者さんにお任せしていますが、この痛みがいつまで続くかが不安でしたので、すでにリウマチが寛解した方のBlogや記事などを読み、「いつか良くなる!」という前向きな気持ちになるような情報を探していました。
編集部
今までの間に、どのような薬を使いましたか?
リウマチバイオリニストさん
最初はステロイドを使い、これは現在も続いています。次に抗リウマチ薬のメトトレキサート、そして現在は自己注射のシムジア(リウマチ治療のための生物学的製剤)を使い始めました。関節痛の痛み止めはロキソニン錠と湿布薬のモーラステープを処方されています。しかしロキソニンはリウマチの関節痛にはあまり効かないような気がしています。
編集部
治療薬による副作用はありましたか?
リウマチバイオリニストさん
メトトレキサートを週に1度飲んでいたのですが、飲むと眠気と吐き気、ふわふわとする感じがありました。そのため内服する日はあまり予定を入れずに休むようにしていました。どうしても予定がある時はお医者さんに相談し、薬の飲み方やタイミングを変えていました。
仕事を慎重に選ばなくてはいけなくなった

編集部
治療開始後、生活やお仕事にどのような変化がありましたか?
リウマチバイオリニストさん
体の痛みや倦怠感があることが多かったので、昼寝をすることが増えました(笑)。関節痛がひどいとバイオリンの練習ができませんので、お話をいただいたコンサートについては、お受けできるかどうかを慎重に考えるようになりました。
編集部
バイオリニストとして、困ったことはありますか?
リウマチバイオリニストさん
バイオリンを持つ左手の人差し指の付け根が腫れたり、痛かったりすることが多くなり、長時間の練習ができなくなったことですね。右の手首にはぐりぐりとシコリができて痛みがあり、可動域も狭くなってしまったので、演奏スタイルを変えるのがとても大変でした。
編集部
それでも対応できるのは凄いですね。治療中の心の支えとなったものは、何でしたか?
リウマチバイオリニストさん
バイオリニストとしても、講師としても夢がありますので、それを楽しみに今でも頑張って生きています。
※この記事はメディカルドックにて『【闘病】リウマチと共生するバイオリニスト「演奏スタイルを変えるのは大変だった」』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。