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【闘病】小学生で「脾臓」と「胆嚢」を摘出… 赤血球が破壊される『難病』の治療のため

 公開日:2025/06/20
【体験談】小学生で2つの臓器を摘出することになった「自己免疫性溶血性貧血」

小学生のときに突然の黄疸と体調不良から発症が判明した「自己免疫性溶血性貧血」。当時まだ子どもだったなおみさん(仮称)は、手術や長期入院を経験しながらも病気と向き合い、学校生活へと復帰しました。しかし、大人になってからの再発や副作用との闘いは、想像以上に大きなものでした。今回は、そんななおみさんに、発症から現在に至るまでの道のりを伺いました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年9月取材。

なおみさん

体験者プロフィール
なおみ(仮称)

プロフィールをもっと見る

1971年生まれ、静岡県在住。10歳(1981年)で溶血性貧血と診断され11歳で開腹手術を経験。その後、35歳で再発しステロイドを長期服用する。2021年、ステロイド性骨粗しょう症で椎体を圧迫骨折。2022年8月に骨髄異形成症候群と骨髄増殖性疾患と診断される。たくさんの病気があり不安はあるが、職場の仲間や友達、家族に支えられて楽しく前向きに過ごしている。

望月 直矢

記事監修医師
望月 直矢(医師)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

小学生で、2つの臓器を摘出

小学生で、2つの臓器を摘出

編集部編集部

最初に不調や違和感を覚えたのはいつですか?

なおみさんなおみさん

最初は小学校4年生の頃です。ある日突然、黄疸(おうだん)が出て目や身体が黄色くなりました。だるさや吐き気もありました。

編集部編集部

病院受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。

なおみさんなおみさん

まず母親と一緒に、近所のかかりつけクリニックに行きました。そこですぐに大きな病院を紹介され、即日入院になりました。その時の診断名は、「肝炎の疑い」だったと思います。小学生だったので、入院だけでも不安なのに、個室に隔離という状態になってしまいました。しばらく検査が続き、採血検査の結果などで正式に「自己免疫性溶血性貧血」と診断がつきました。

編集部編集部

どんな病気なのでしょうか?

なおみさんなおみさん

自己免疫性溶血性貧血は貧血の一種で、赤血球がどんどん壊れていってしまう病気です。本来であれば赤血球の寿命は約120日ですが、この病気になるとそれよりも早く壊れていってしまいます。そのため、赤血球のヘモグロビン値が低くなり、貧血を引き起こします。病気になる原因はよくわかっていないようですが、本来、身体を守るために細菌などを攻撃してくれる正常な「抗体」とは別に自分のからだに対する異常な「自己抗体」が、自分の赤血球を異常なスピードで破壊してしまう、とのことでした。

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

なおみさんなおみさん

赤血球を壊してしまう場所である脾臓(ひぞう)という臓器を摘出すると言われました。この病気には、血管内で赤血球が破壊されるタイプと、主に脾臓で破壊されるタイプがあり、私は後者だったようです。それから、この病気の合併症として胆石になりやすいため、予防的に胆嚢も摘出する治療をするということでした。

編集部編集部

そのときの心境について教えてください。

なおみさんなおみさん

まだ小学生だったため、説明を聞いてもわからない単語が多く、きちんと理解は出来ませんでした。ただ、子どもなりに「手術が必要」ということは分かったので、「怖いな」と思いました。

術前は怖さで泣き、術後は痛みで泣いた

術前は怖さで泣き、術後は痛みで泣いた

編集部編集部

治療はどのように進められましたか?

なおみさんなおみさん

医師の説明通り、脾臓と胆嚢を摘出する手術をしました。手術は、小学校5年生の春休みに行いました。学校を休まなくて済むように、病院側が配慮してくれました。術式として、当時はまだ開腹手術しかなく、1ヶ月半くらいの入院だったと記憶しています。現在はもっと低侵襲で、入院期間も短い術式があるようです。手術中の記憶はもちろんありませんが、手術前は怖くて泣いていて、手術後は痛みと吐き気・嘔吐が酷くて泣いていました。

編集部編集部

治療や闘病生活の中で、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。

なおみさんなおみさん

私には姉と妹がおり、妹とは5つ歳が離れていて当時小さかったために、両親がなかなか毎日お見舞いには来ることが難しく、寂しかったのを覚えています。しかし、手術の当日と、ICUに入っていた約5日間だけは、母親が付きっきりで看病をしてくれていました。母親を独り占めできる安心感や嬉しさもありましたが、一方で「妹は大丈夫だろうか」と手放しでは喜べない気持ちもありました。

編集部編集部

術後はどのような様子だったのですか?

なおみさんなおみさん

手術後は特に制限もなく過ごし、回復も比較的順調だったように思います。退院後も、すぐに学校に行けて、友達に会えた事がとても嬉しかったです。中学に入学する頃にはすっかり元気になっていました。ただ、そのずっと後、35歳くらいの時に病気が再発し、ステロイドを服用することになりました。そこから10年以上ステロイドを飲み続けたために、骨粗しょう症になった事はとても辛いことでした。ステロイド性骨粗しょう症で骨が脆くなったために、昨年は椎体の圧迫骨折をしてしまい、今でも生活動作に支障があります。

(後編)【闘病】自分の飲む薬は自分で調べる

※この記事はメディカルドックにて『【闘病】「自己免疫性溶血性貧血」 臓器を2つ摘出することになってしまった』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師