【闘病】ぽっこりお腹が巨大な「子宮筋腫」だなんて… 手遅れ寸前、病の恐怖

「最近、なんとなく下腹部が出てきた気がする」そんな違和感が始まりだった。生理周期も順調で貧血もなく、健康そのものだった女性が、定期検診で突然「子宮筋腫」の診断を受けました。しかも、その筋腫はすでに外から見てもわかるほどに肥大化し、手術か、生理を止めるか…治療の選択を迫られながらも、彼女は仕事と両立しながら決断を下し、わずか2週間後には開腹手術に踏み切りました。その摘出物の重さは驚異の790g。治療への迷いや不安、そして手術を終えた今、彼女が感じることとは…。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年2月取材。

体験者プロフィール:
雪だるまさん(仮称)
1977年、北海道生まれ、北海道育ち、北海道在住。
子宮筋腫を取ってみたら、重さが790グラムもありました。

記事監修医師:
浅野 智子(医師)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
目次 -INDEX-
生理は順調だったのに…

編集部
最初に不調や違和感を覚えたのはいつですか? どういった状況だったのでしょうか?
雪だるまさん
不調らしい不調はありませんでした。生理周期の乱れもなく、生理痛や貧血もありませんでした。違和感としては、下腹部が出てきたことや頻尿をなんとなく感じるようになったので、「太ったのかな?」と思い、筋トレをしたり、ダンスフィットネスに通ったりしていました。その甲斐もあって体重は減り、ウエストは細くなりましたが、下腹部は変わらず出ていたので不自然に感じていました。その時は、まさか病気だとは思っていませんでしたが、子宮の筋腫が大きくなっていて、外からみてもわかるほどに肥大化していたのだと、後にわかりました。
編集部
受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。
雪だるまさん
違和感はあったものの病気とは思わず、受診もしていなかったのですが、定期的に受けていた婦人科検診で「子宮筋腫」と診断されました。手術をする想定で紹介状を書いてもらい、大きな病院で検査を受けることになりました。私の住んでいる地域では手術のできる病院がなかったので、車で2時間ほどかけて遠方の病院に行きました。
編集部
どんな病気なのでしょうか?
雪だるまさん
子宮を構成している平滑筋という筋肉の良性腫瘍です。私の場合は、漿膜下筋腫といって子宮の外側にできるタイプでした。ほかと比べて、このタイプは特に症状が出にくく、大きくなるまで気が付かない人が多いのだそうです。私もその1人で、生理も順調、出血量も問題ないまま経過し、診断がついた時には巨大化していました。
手術か、生理を止めるか

編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
雪だるまさん
医師からの説明では、手術か薬物療法を選択できるとのことでした。子宮筋腫の根治手術は子宮全摘だそうですが、私は今後出産したいと思っていたので、筋腫だけをとる子宮筋腫核出術を選びました。筋腫の大きさから、開腹を勧められました。薬物療法は「偽閉経療法」と言われ、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌を下げ、生理を止めることで子宮筋腫を小さくするという治療法です。効果は立証されていますが、腫瘍が小さくなった場合でもそれで「完治」とはならず、腹腔鏡手術もしくは経過観察という形になるとのことでした。腫瘍が十分に小さくならなかった場合には、やはり開腹手術になるとも言われました。
編集部
生理を止めるというのは少し怖いですね。
雪だるまさん
そうですね。ホルモン値が下がることで、更年期のような症状が出る場合があると説明されました。さらに、腫瘍がどのくらい小さくなるかも個人差があり、やってみないとわからない部分も大きいようでした。しかし、もし筋腫が小さくなって腹腔鏡手術で取れるようになれば、開腹手術に比べると手術の傷も小さく、身体への負担が少なくてすみます。ただし、私の場合は腫瘍の大きさから考えて、腹腔鏡手術が出来る程度まで小さくするには、治療期間が長くなる可能性が高く、小さくならない事もあり得ると言われました。
編集部
手術について、ほかにどのような説明がありましたか?
雪だるまさん
私は頻尿の症状があったので、腫瘍が大きくなって尿道を圧迫していると考えられ、そうなると「腫瘍と尿道が癒着しているケースもある」とのことでした。婦人科検診を定期的に受診していて、前回の受診でも「筋腫の所見なし」という結果だったことから、短期間で急激に大きくなった筋腫のようなので、今後大きくなる速度が予測できないとも言われました。それから、当時は独身だったのですが、「将来的に出産する時には普通分娩ではなく帝王切開になるでしょう」という説明も受けました。医師からとても丁寧に治療の説明をいただけたので、納得して開腹手術をお願いすることができました。
編集部
そのときの心境について教えてください。
雪だるまさん
婦人科検診の時点で、「筋腫がかなり大きいから手術になるかもしれない」と言われていたため、意外と冷静に受け止めていました。また、翌月からは数カ月におよぶ長期の出張を控えており、治療期間がわからない投薬治療よりも開腹手術をしてしまおうと思いました。
編集部
どんな気持ちで手術に挑みましたか?
雪だるまさん
転院先の初診日に手術の日を決め予約を取ってしまい、2週間後には手術を受けました。その間にも、飛行機を利用した数日間の出張へ行きました。遠方からの転院、筋腫の大きさ、仕事の都合など、色々な事情はあったものの、かなりのスピードで進んでいったので、治療や手術への不安を感じる暇がなかったのは、個人的にはとても良かったです。人生で初めての手術ながら、「手術で筋腫を取ればスッキリするんだ」と、割と前向きな感覚でした。
編集部
手術を受けてみて、どうでしたか?
雪だるまさん
全身麻酔での手術でしたので、酸素マスクをつけたあたりまでしか記憶になく、痛みも術後に重たい鈍痛を感じたくらいでした。手術日の夜もとてもよく眠れたので、ぼんやりとしている間に翌日になった気がします。翌日の昼食で、久々の食事を口にしたのですが、オレンジジュースを飲んだら嗚咽が止まらなくなり、その苦しさと、嗚咽で腹圧がかかって傷口が痛いのとで、悶えました。これが術後で一番辛かった思い出です。点滴で吐き気止めを入れてもらい、嗚咽はおさまりました。
編集部
それは大変でしたね。
雪だるまさん
私の場合は特に腫瘍が大きく、手術で摘出された摘出物の重量は790gあったと言われました。そのため傷も大きく、12針縫う傷口になりました。傷の痛みは2~3週間続いたので、立ったり座ったり、階段の昇降したりなどは、下腹部を抑えてゆっくり動いていた記憶があります。
※この記事はメディカルドックにて『【闘病】「太ったかな?」 子宮筋腫がポッコリお腹の原因だったとは…』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。