ラクではない? マウスピース矯正にワイヤー矯正などを併用する注意点とは【専門医解説】

最近ではマウスピース型矯正装置での治療が広まってきていますが、症例によってはワイヤー矯正装置を併用したり、顎間ゴムなどの補助装置を併用したりして治療を行うこともあるようです。今回はマウスピース型矯正装置にワイヤー矯正・顎間ゴムを併用するデメリットや注意点を目白歯科矯正歯科の山澤先生に解説していただきました。

監修歯科医師:
山澤 秀彦(目白歯科矯正歯科)
編集部
マウスピース型矯正装置にワイヤー矯正を併用した場合、デメリットはありますか?
山澤先生
固定式の装置がつくことで、痛みや違和感が強くなったり、歯磨きがしづらくなったりします。また、マウスピース型矯正装置単独のときよりも、食事が制限されてしまうのもデメリットだと思います。
編集部
マウスピース型矯正装置のみと比べると、「わずらわしさ」が増えてしまう感じでしょうか?
山澤先生
そうですね。ほかにも、器具が頬や唇の粘膜に当たって傷ついたり、口内炎ができたりするリスクも高くなります。また、通院回数もマウスピース治療単独の場合は2か月に1回のペースだったのが、ワイヤー矯正を行うと1か月に1回と頻度が多くなります。
編集部
「顎間ゴム」はいかがでしょうか? こちらも併用に際し、デメリットや注意点はありますか?
山澤先生
顎間ゴムはマウスピース型矯正装置と同様に、患者さん自身で装置の着脱が必要となります。毎日決められた時間装着しないと効果はありませんし、思うように顎間ゴムの効果が得られない場合には当初の治療計画を最初から見直す必要もでてきてしまいます。
編集部
必要な装置とはいえ、毎日つけたり外したりするのは面倒に感じてしまいそうです。
山澤先生
ゴムをかけること自体はそんなに難しいことではないですし、さほど手間暇もかかりません。また、きちんと使わないと治療の変更を余儀なくされますし、歯を抜かずに治療できるはずが、結果的に歯を抜かないと治せなくなる、あるいは噛み合わせが悪いまま治療を終えることになってしまうなど、かえって治療が面倒になってしまいます。したがって、顎間ゴムを併用する場合は、必ず使用時間は必ず守るようにしてください。
編集部
最後に読者へメッセージをお願いします。
山澤先生
近年はマウスピース型矯正装置単独で治すのが一般的となってきましたが、歯並びの状態や治療の経過によってはほかの装置や補助装置の併用が必要になります。その点をふまえ、治療を受ける際はマウスピース矯正治療だけでなく、ワイヤー矯正やほかの装置でリカバリーできる矯正治療の研修を受けたドクターを選ぶことが大切です。矯正治療の知識や経験の豊富な歯科医院をぜひ探してください。
※この記事はメディカルドックにて<マウスピース型矯正装置に他の装置(ワイヤー矯正・顎間ゴム)を併用するのはどんな時? メリット・デメリットは?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。