歯磨きは1日1回だけでも大丈夫? 歯科医がレクチャーする「正しい歯磨きの回数」

「食べてすぐ歯を磨いてはいけない」という話を目や耳にしたことはありませんか? しかし、この情報は医学的な根拠に乏しく、歯科の様々な学会ではこれと異なった見解を示しているようです。そこで歯磨きのタイミングについていぬかい医大モール歯科クリニック院長(医療法人社団博伸会理事長)の犬飼先生に解説してもらいました。

監修歯科医師:
犬飼 伸二(いぬかい医大モール歯科クリニック)
編集部
歯磨きは、基本的に朝・昼・晩の1日3回が理想的なのでしょうか?
犬飼先生
国際歯科連盟(FDI)が「う蝕の予防と管理」という文書の中で推奨しているのは1日2回、フッ素(フッ化物)配合の歯磨き剤を使用した歯磨きです。これに準じて、国内の4学会(日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学学会)でも1日2回のフッ化物配合歯磨剤を使った歯磨きを推奨しています。もちろん、朝・昼・晩の3回磨いても問題はありませんが、むし歯予防の研究では1日2回と3回とでは効果にあまり差がないことがわかっています。
編集部
1日2回とすると、朝・昼・晩のどのタイミングがよいでしょうか?
犬飼先生
先の国際歯科連盟の文書では「朝と就寝前の1日2回」、国内の各学会は「就寝前を含めて1日2回」としています。いずれも共通しているのは、2回のうちの1回は「就寝前」ということです。したがって、1日のうち就寝前は必ず磨いて、残りの1回はライフスタイルに応じて習慣化しやすいタイミングを選べばよいと思います。
編集部
ちなみに、夜の歯磨きは「夕食後」と「就寝前」のどちらを優先したらよいでしょうか?
犬飼先生
夕食後に時間をあけてデザートを食べたり、晩酌をしたりする方もいらっしゃると思うので、基本的には「寝る前の最後の食事の後」に磨くようにしてください。このあたりは個々のライフスタイルによりますが、寝る前に磨いたら基本的に何も食べない・飲まないことを意識しましょう。
編集部
あらためて、歯磨きについてどのように考えればいいですか?
犬飼先生
「食後30分以内の歯磨きはNG」という情報は、いまもインターネットをはじめ様々な場所で目にします。しかし、日本の歯科の各学会では「食後はできるだけ早めに歯を磨くこと」を推奨しています。セルフケアでわからないこと、疑問に思うことはネットやメディアの情報のみに頼らず、ぜひ専門家である私たちにご相談ください。
※この記事はMedical DOCにて<歯科医師が解説 「食後すぐ(30分以内)の歯磨きはしないほうがいい」説のウソ・ホント>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。