今さら聞けない「歯磨きの適切なタイミング」 食後30分は空けなきゃダメ?【歯科医が解説】

「食べてすぐ歯を磨いてはいけない」という話を目や耳にしたことはありませんか? しかし、この情報は医学的な根拠に乏しく、歯科の様々な学会ではこれと異なった見解を示しているようです。そこで、歯磨きは食後何分がよいかについていぬかい医大モール歯科クリニック院長(医療法人社団博伸会理事長)の犬飼先生に解説してもらいました。
編集部
食事から何分空けて歯を磨くのがよいのでしょうか?
犬飼先生
今のところ、その具体的な時間を示すエビデンスはありません。現時点で言えるのは「通常の食事であれば食後30分間あける必要はなく、できるだけ早い時間に行うほうがよい」ということ。くわえて「酸性の食品を食べたり飲んだりした場合は、直後の歯磨きは控える(少し時間をあける)ほうがよい」というこの2点です。
編集部
「酸性の食品」というと、お酢やかんきつ類なども注意したほうがよいのでしょうか?
犬飼先生
お酢やみかんなどのかんきつ類も酸性食品ですが、たとえば「酢の物」のように噛んで食べるものであれば、噛むことで唾液の分泌が促されるので酸の力も弱まります。果物も基本的に噛んで食べるものなので、そこまで神経質になる必要はないでしょう。酸性食品の中でとくに注意したいのは「飲み物系」です。近年は、健康によいという理由でお酢系のドリンクを愛飲している方も多いと思いますが、飲料に関しては飲んですぐの歯磨きは控えたほうがよいでしょう。
編集部
「酸性の飲み物」では、ほかにどのような飲料に注意したらよいでしょうか?
犬飼先生
身近なものでは炭酸飲料、乳酸菌飲料がその代表です。酸性度を表す指標としてpH値をよく使いますが、歯のエナメル質はpH5.5以下になると表面から溶けはじめます。先の炭酸飲料や乳酸菌飲料はいずれもこの数値より小さく、酸性度が強くなります。そのほかに、イオン飲料(スポーツドリンク)や赤ワイン、果汁ジュースなどもpH5.5を下回るため注意が必要です。

監修歯科医師:
犬飼 伸二(いぬかい医大モール歯科クリニック)
※この記事はMedical DOCにて<歯科医師が解説 「食後すぐ(30分以内)の歯磨きはしないほうがいい」説のウソ・ホント>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。