「大腸がんの主な4つの治療法」はご存知ですか?【医師監修】

大腸がんの発生には生活習慣や遺伝的要因が関係しているとされており、その罹患者数は年々増え続けています。
大腸がんは自覚症状があまりないため発症に気付きにくく、症状が現れた時には進行しているケースも少なくありません。
今回は大腸がんの治療法を解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「大腸がんの進行速度」はどれくらいかご存知ですか?症状も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
大腸がんとは?
大腸がんは大腸に発生するがんで、その多くは腺腫と呼ばれる良性のポリープががん化したものです。しかし、なかには大腸の粘膜から直接発生する場合もあります。
大腸がんの大部分は腺組織と呼ばれる上皮細胞から発生する腺がんです。このほか、扁平上皮がん、腺扁平上皮がんなどの種類があります。
大腸がんの罹患者数は年々増えていて、2019年には全がん罹患数のうち、罹患総数で1位となりました。大腸がんは早期に発見すれば内視鏡で切除可能なうえ、予後も良好です。
しかし、早期では自覚症状に乏しいため、なかなか気が付くことができません。早期の大腸がんを発見するには、便潜血検査や大腸内視鏡検査などの検査を定期的に受けるのがおすすめです。
大腸がんの治療法
大腸がんの主な治療法として、内視鏡治療・外科治療・薬物療法・放射線治療の4つがあります。それぞれの治療法を以下で詳しく解説します。
内視鏡治療
大腸がんの内視鏡治療とは、大腸内視鏡を使ってがんを切除する治療法です。がんが粘膜下層までにとどまり、リンパ節転移の可能性がない早期の大腸がんに適応されます。
内視鏡治療ではスネアや高周波メスなどを使用して大腸がんを切除します。大腸の粘膜には痛覚がないため、切除する時に痛みなどはありません。
大腸がんの大きさや適応される内視鏡治療の種類にもよりますが、日帰りで治療できる場合があります。入院が必要な場合でも、3〜5日程度の短期間の入院で治療可能です。
外科治療
外科治療は手術によって大腸がんを切除する治療法です。内視鏡治療で切除できない1〜3期の大腸がんに適応されます。また大腸がんの4期でも、原発巣や遠隔転移巣の切除が可能な場合には手術が行われます。
大腸がんのスタンダードな外科治療方法は開腹手術です。このほか、腹腔鏡下手術やロボット支援下手術といった方法があります。
外科治療の場合、切除する大腸の箇所によっては、一時的もしくは永久的な人工肛門(ストーマ)の造設を行います。
薬物療法
大腸がんの薬物療法の主な目的は大腸がんの再発予防・大腸がんの切除が難しい場合の症状緩和の2つです。
再発リスクのある2〜3期の大腸がんには、手術後の薬物療法が推奨されています。また、切除が難しい大腸がんの場合には、進行を遅らせて症状を緩和する目的で薬物療法が行われます。
放射線治療
放射線治療は、大腸がんのなかでも主に直腸に発生したがんに用いられる治療法です。手術前にがんの大きさを小さくしたり、手術後の再発を予防したりする目的で放射線治療を行います。
このほか、がんの転移や再発による痛みや吐き気などの症状を抑える目的で使用するケースがあります。
編集部まとめ
日本で、大腸がんは年々罹患数が増えているがんです。その発生には生活習慣が関係しているとされています。
肥満・喫煙・飲酒・運動不足といった生活習慣により、大腸がんの発生リスクが高まるとされています。
大腸がんは自覚症状に乏しいうえに、特徴的な症状がありません。そのため、病期が進行するまで気がつかないケースもあるのです。
大腸がんは早期に治療する程予後がよいため、早期発見が大変重要です。
医療機関で便潜血検査や大腸内視鏡検査を受けるなどして、大腸がんの早期発見に役立てましょう。
大腸がんと関連する病気
「大腸がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
上記のような大腸に発生する疾患では、大腸がんと似た自覚症状が現れるケースがあります。症状だけでは疾患の判別が難しい場合もあるので、医療機関で詳しい検査を受けましょう。
大腸がんと関連する症状
「大腸がん」と関連している、似ている症状は8個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
大腸がんで自覚しやすい症状として、血便や腹痛などがあります。しかし、大腸がんに特徴的な症状というものはありません。これらの症状が続く場合には、医療機関で検査を受けるようにしましょう。