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「卵巣がんの代表的な6つの症状」はご存知ですか?【医師解説】

 公開日:2025/11/05
「卵巣がんの代表的な6つの症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!

卵巣がんの症状は?メディカルドック監修医が卵巣がんの症状・原因・セルフチェック法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

※この記事はメディカルドックにて『「卵巣がんの症状」はご存知ですか?原因・セルフチェック法も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

「卵巣がん」とは?

卵巣がんは、卵巣にできた悪性腫瘍です。
卵巣は、表面の細胞である上皮細胞(じょうひさいぼう)、卵子のもとになる胚細胞(はいさいぼう)、性ホルモンを産生する性索(せいさく)細胞、その他にも間質(かんしつ)細胞などのさまざまな細胞からできています。それぞれの細胞が腫瘍化するのですが、卵巣がんの中で、上皮細胞が腫瘍化した上皮性腫瘍が約90%を占めており、最多となっています。
卵巣がんが進行すると、腹部の臓器や腹壁の内側などを包む腹膜などにも広がり、これを腹膜播種(はしゅ)といいます。播種した病変は、大腸、小腸、横隔膜、脾臓などに浸潤(しんじゅん)していきます。また、卵巣がんは、腹部の大血管の周囲にある後腹膜(こうふくまく)などへのリンパ節転移もみられます。その他、肺や肝臓、脳や骨などの臓器に転移することもあります(遠隔転移)。
卵巣がんの好発年齢は、2019年の年齢階級別罹患率では、50代以降からの中年や高齢者の女性に多くみられています。
卵巣がんの治療は、可能であれば、腫瘍を取り除くための手術が行われます。できる限りの病変を摘出し、どのような種類のがんであるかを調べる目的も兼ねています。また、薬物療法も併用することがあります。
卵巣がんが再発したり、骨などに転移したりして痛みの症状等がある場合には放射線治療も用いられます。

卵巣がんの代表的な症状

卵巣がんの多くは上皮性腫瘍です。そこで、この記事では上皮性の卵巣がんの代表的な症状を中心に解説していきます。

お腹が大きく膨れる

卵巣がんそのものが大きくなったり、腹膜に播種したりすることで腹水がたまり、お腹が膨れてくるという症状があらわれます。
特に身体の他の部位は太くなっていないのに、お腹が前に張り出すような膨らみ方をしてきた場合には、卵巣がんの他にも子宮筋腫などの他の婦人科系の病気や、肝臓が悪くなり腹水がたまっている可能性もありますので、婦人科や内科を受診するようにしましょう。

下腹部やわき腹のしこり

卵巣がんが大きくなると、横になって下腹部やわき腹を触ったときに、しこりを感じることがあります。 痛みを伴うこともあれば、そうでない場合もあります。
いずれにしても、婦人科を受診して、超音波検査などで婦人科系の疾患がないかどうかをチェックすることが大切です。

食欲低下

卵巣がんが腹膜転移すると、胃や小腸、大腸などの消化管の動きが妨げられる場合もあります。また、腹水がたまり、腹部の膨満感が生じることもあります。こうした原因から、食欲がなくなる症状が出現する可能性があります。
食欲がなくなることに加えて、お腹が膨れてくるなどの症状がある場合には、早めに内科や婦人科を受診するようにしましょう。

頻尿や便秘、足のむくみ

卵巣がんやリンパ節転移の病変が大きくなると、膀胱や直腸を直接圧迫し、頻尿や便秘につながります。
また、がんが大きくなるとリンパ流路が障害により生じたりすることで足のむくみが出現することもあります。

下腹部の強い痛み

卵巣がんが破裂したり、卵巣がんがお腹の中でねじれる「茎捻転(けいねんてん)」を起こしたりすると突然の強い下腹部痛が出現することもあります。
こうした強い痛みが現れた場合には、早急に医療機関を受診するようにしましょう。

息苦しさ

卵巣がんが肺に転移すると、胸水や呼吸困難などの症状が出現することがあります。
肺や心臓などの疾患の可能性もあるため、早めに内科を受診するようにしましょう。

「卵巣がんの症状」についてよくある質問

ここまで卵巣がんの症状を紹介しました。ここでは「卵巣がんの症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

卵巣がんの初期症状について教えて下さい。

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

卵巣がんの中で最も多い上皮性腫瘍の場合、初期の段階ではほとんど症状がないことが多いです。進行すると、腹水や便秘・頻尿、食欲不振などが現れることがあります。

卵巣がんを疑うおりものの特徴はありますか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

卵巣がんでは、子宮頸がんのようにおりものが出るといった症状は少なく、特徴的なおりものはありません。

卵巣がんの末期症状の余命はどれくらいでしょうか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

卵巣がん末期の状態とは、卵巣がんが肺や肝臓などの他の臓器にも転移した状態と考えられます。末期症状としては腹水や胸水がたまることによる腹部膨満や呼吸困難感などがあります。遠隔転移がある場合はステージIVの卵巣がんであり、その5年生存率は27.1%です。逆算すると、ステージIVの卵巣がんの場合、余命が5年以内の方が全体の72.9%であると言えます。

編集部まとめ

卵巣がんは初期段階では無症状のことも多く、お腹が膨らむなどの症状が出た場合にはすでに進行している場合があります。
今回の記事でご紹介したように、家族に卵巣がんや乳がんの方がいる場合には、注意しましょう。また、婦人科系の病気をお持ちの場合にも、定期的に医療機関を受診するようにしましょう。

「卵巣がんの症状」と関連する病気

「卵巣がんの症状」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

循環器科の病気

卵巣がんの症状として現れる腹水や胸水といった症状や、腹痛などの症状は、上記の病気でも出現する可能性があります。

「卵巣がんの症状」と関連する症状

「卵巣がんの症状」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

卵巣がんでは上記のような症状が現れることがあります。強い腹痛が出現した場合やお腹だけ大きくなってくるようなことがあれば、早めに内科や婦人科を受診するようにしましょう。

この記事の監修医師