タレント・彦摩呂さんが「粉瘤」手術を公表、症状・原因・治療方法を医師が解説
グルメリポーターとして活躍しているタレントの彦摩呂さんが、10月7日に自身のYouTubeチャンネルにて、「粉瘤」の手術をおこなったことを明かしました。
粉瘤とは、皮膚の下に角質や皮脂がたまった嚢腫(のうしゅ)が作られる皮膚疾患で、放置すると痛みや腫れが強くなったり手術が難しくなったりします。今回は炎症性粉瘤の症状や原因、治療法について、医師の竹内先生に解説していただきました。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
炎症性粉瘤とは
まず粉瘤とはどのような疾患ですか?
初期の粉瘤に痛みがあることは稀であり、触るとしこりのような感触があります。
では、炎症性粉瘤はどのような疾患ですか?
炎症性粉瘤の症状
サイクル別に、炎症性粉瘤の症状を教えてください。
定常期
定常期はどのような状態ですか?
炎症期
炎症期の症状を教えてください。
感染・膨張期
感染・膨張期について教えてください。
破裂期
破裂期にはどのような症状が現れますか?
治癒期
治癒期はどのような状態ですか?
炎症性粉瘤の原因
炎症性粉瘤の原因を教えてください。
もう1つは粉瘤の開口部という小さな穴から、細菌が侵入することで炎症が起こります。粉瘤の中には免疫機能を持った細胞がないため、細菌感染に弱いのです。
炎症性粉瘤は全身のどこにでも起こりますが、お尻や背中のように、摩擦がおきたり圧迫されたりする場所で多く起こります。
炎症性粉瘤の受診科目
炎症性粉瘤が疑われる場合の受診科目を教えてください。
粉瘤は自然治癒が難しい疾患です。治療を行わないと、炎症が悪化して患部が腫れたり痛んだり、さらには破裂したりなど、病状が悪化してしまう可能性があります。
しかし「ただのできものだから自然に治る」と自己判断して、治療が遅れて悪化させてしまう患者さんが多いようです。病態の進行を食い止めるためにも、できるだけ早期に受診しましょう。薬の処方や手術などの治療は病院でしかできません。
また、粉瘤ができると気になるものですが、触ったり潰したりするのはやめましょう。粉瘤が割れて内容物が粉瘤の外に漏れたり、開口部から細菌が侵入したりして、病態が悪化する可能性があります。
炎症性粉瘤の診断
炎症性粉瘤はどのように診断しますか?
炎症性粉瘤の治療方法
炎症性粉瘤の治療はどのように行われますか?
内服薬
どのような薬が処方されますか?
そのため、多くの場合は、抗生物質を服用しても治療の効果は限定的で、根本的な治療にはなりにくいようです。それでも、細菌感染の予防や感染拡大の予防には有効であるため、抗生剤の服用は重要です。
一方で、炎症性粉瘤の原因が粉瘤の開口部から細菌が感染した場合であれば、抗生物質は治療にとても有効です。
炎症が軽い場合は、このような内服薬を用いた保存療法で炎症が治まることもあります。しかし、炎症が進んでいる場合は、あまり効果がありません。薬を飲んでも炎症期から感染・膨張期や破裂期へ進んでしまうこともあります。
その場合は、破裂したあと数か月たってから粉瘤を取り除く手術が必要になります。治療が長期間になるうえに、痛みも長期間続くことになるので、あまりおすすめしません。多くの場合、根本的な治療には粉瘤の袋を取り除く治療が必要です。
切開法
どのような場合に、切開法を行いますか?
膿や皮脂や角質を取り除くことでゼロにはならないものの、一般的には痛みが引きます。
しかし、粉瘤の袋は残っているので、いずれはまた治療を行わなければなりません。
くり抜き法
くり抜き法について詳しく教えてください。
くり抜き法では、まず粉瘤に穴を開けて膿や皮脂や角質をすべて抜き取ります。そして、粉瘤の袋もすべて抜き取ることで、根本的な治療ができます。
問題点は、粉瘤の炎症が強いと、袋と皮膚が癒着してしまうため、すぐに手術できないことです。炎症が落ち着いてから数か月かかることもあります。軽めの炎症であれば、問題なく手術できます。
このように、根本的な治療を行うためにはくり抜き法が必要です。そして、くり抜き法を行うには炎症が少ない状態が望ましいため、炎症が進行する前に治療を開始することが望ましいのです。できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。
くり抜き法を行えば縫合する必要もなく、炎症の引きも回復もとても早いため、治療期間も痛む期間も短く済みます。
編集部まとめ
粉瘤とは良性の皮膚腫瘍の一種で、皮膚の下に角質や皮脂がたまった嚢腫(のうしゅ)が作られる皮膚疾患です。粉瘤に炎症や化膿が起こったものを炎症性粉瘤といいます。
粉瘤に炎症が起こる原因は2つですが、大半は圧迫や摩擦などで割れた粉瘤から、溜まっていた皮脂や角質などの内容物が皮膚内に漏れて、異物反応を起こすことによるものです。
診断は多くの場合、視診によって診断されます。
炎症性粉瘤を根本的に治療するには、手術が必要です。内服薬を用いた保存療法や、切開法は症状を抑えても根本的な治療になりません。
炎症が進行していると手術ができない場合もあるため、炎症が進行する前に皮膚科を受診しましょう。できるだけ早く受診することで、治療期間も痛む期間も短くできます。
※この記事はMedical DOCにて【「炎症性粉瘤」とは?症状・原因・治療方法も解説!<医師監修>】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。