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「くも膜下出血」を発症すると首にどんな「痛み」を感じるの?医師が解説!

 公開日:2025/03/14
「くも膜下出血」を発症すると首にどんな「痛み」を感じるの?初期症状も医師が解説!

首に現れるくも膜下出血の前兆とは?Medical DOC監修医がくも膜下出血を発症すると現れる首の痛み・原因などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

※この記事はMedical DOCにて『「くも膜下出血」を発症すると首にどんな「痛み」を感じるの?初期症状も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

佐々木 弘光

監修医師
佐々木 弘光(医師)

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医師、医学博士。香川大学医学部卒業。奈良県立医科大学脳神経外科に所属し、臨床と研究業務に従事している。現在、市立東大阪医療センターに勤務。脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医、脳卒中学会専門医、の資格を有する。

「くも膜下出血」とは?

くも膜下出血の原因はいくつかありますが、そのほとんどが脳動脈瘤とよばれる脳の中の血管にできた「こぶ」によるものです。
この脳動脈瘤が、ある日突然破裂し、脳内の「くも膜下腔」と呼ばれるスペースに出血するのが、このくも膜下出血という病気です。
出血によって脳の中の圧力が高まり、強烈な頭痛を中心として、嘔吐や失神・意識障害などの様々な症状を呈する場合もあります。
発症すると、そのうち約1/3の人が即死、約1/3の人が何らかの後遺症を残して重症化する、とされるほど、この現代においても致死率・後遺症率ともに高い疾患です。
さらに、後遺症なく歩いて帰ることのできる人は全体の約1/3と言われていますが、そもそも発症すると1か月以上の長期入院を余儀なくされ、破裂後に続く様々な合併症によって集中治療を要し、複雑な経過を辿ります。
原因となる脳動脈瘤は破裂するまで症状を出しにくく、気づかれないというのも非常に厄介です。脳ドックで頭のMRIを撮ったら、たまたま脳動脈瘤が見つかったということも多くあります。
本記事ではくも膜下出血の前兆である首の痛みについて解説していきます。

くも膜下出血を発症すると首にどんな痛みが現れる?

脳動脈瘤が破裂すると、特に首の後ろを中心として突然の激烈な痛みが走り、それが持続します。例えるなら、「突然、後ろからバットで誰かに殴られたような」とか、「突然、雷が落ちてきたような(雷鳴様頭痛)」とか、「今まで経験したことのないような」といった表現がされるくらいの唐突で急激な頭痛を生じます。
「突然」という特徴の通り「朝からなんとなくじわじわと頭痛がでたり引っ込んだりしている」というよりも「何時何分に何々をしている時に突然、頭痛が襲ってきた」という表現の方がふさわしく、発症時間がある程度明確なことも特徴的です。
急激な頭痛によって嘔吐などの随伴症状を生じたり、さらに重症の場合は意識を失ったり、その場で心肺停止に陥ったりする可能性もあります。

くも膜下出血を発症すると首が痛くなる原因

脳動脈瘤が破裂すると、脳を覆っている硬膜、くも膜、軟膜といった3層の膜構造のうち、くも膜下と呼ばれるスペースに出血が一気に広がっていきます。血液が広がると脳の中の圧力が急激に高まり、さらに一番外側で脳を覆っている硬膜という膜にまで強い圧力がかかった結果、広範な頭痛が生じます。
くも膜下出血はその性質から、非常に緊急性の高い疾患といえます。なぜなら破裂した脳動脈瘤の壁は非常に薄くなっているため、仮にいったん破れたところからの出血が止まっていたとしても、再び破れて出血してしまう危険性が高いのです。
再出血をきたすと致死率が劇的に跳ね上がってしまうため、緊急手術(開頭脳動脈瘤頸部クリッピング術や脳動脈瘤コイル塞栓術)で止血処置を行う必要があります。この緊急手術を行うことができる診療科が、脳神経外科です。
従って、突然の、今まで経験したことのないような強い頭痛を自覚した場合は、直ちに脳神経外科への受診を試みましょう。

「くも膜下出血の前兆・首」についてよくある質問

ここまで首に現れるくも膜下出血の前兆などを紹介しました。ここでは「くも膜下出血の前兆・首」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

首のこりや、肩こりはくも膜下出血とどのような関係がありますか?

佐々木 弘光医師佐々木 弘光医師

くも膜下出血の頭痛は首の後方に生じやすいため、首の凝りや肩凝りのような頭痛として自覚される場合もあります。ただ首や肩凝りは筋肉や皮膚などの表層で起きている現象なので、押したら痛い、ひねったら痛い、といった特徴を伴うことがあります。単純な首の傷みや肩凝りであれば対症療法や整形外科での治療も考えられます。
一方で、くも膜下出血の場合はそれらに関係なく、突然、そして頭の中で痛いと感じるような頭痛症状を自覚します。もちろん判断が難しくて不安な場合は、まずは頭痛外来や脳神経外科を受診してみましょう。

軽いくも膜下出血の前兆となる症状について教えてください。

佐々木 弘光医師佐々木 弘光医師

軽い症状の場合は首の後ろや肩凝りなどと似た頭痛として破裂の数日前などに自覚される場合もあります。その他、突然瞼が下がる、視力が落ちた、ものが二重に見える、といった多彩な症状を呈する場合もあります。また、他の脳神経疾患を発症している可能性もありますので、いずれにせよ早期の脳神経外科の受診をお勧めします。

編集部まとめ

ここまでくも膜下出血の前兆症状についてまとめてきました。「頭痛」と一言でいっても、自分での判断は難しいと思います。実際、世の中の多くは一次性頭痛といって、画像検査で頭の中に明らかな異常のない頭痛です。しかし本当に危険な頭痛というのはある日突然、強烈な形で襲ってきます。またもともと頭痛もちの人であっても、少しでも「いつもと違うな」、と感じる場合はすぐに受診することをお勧めします。そして予防のためには、脳ドックなどの検査を受けて、自分の脳の健康状態とともに、そういった血管の異常の有無を確認しておくことが大切かもしれません。

「くも膜下出血」と関連する病気

「くも膜下出血の前兆」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経科の病気

出血の前兆症状として頭痛や嘔気などの症状が出現する可能性のある病気はたくさんあり、代表的な病気を列挙します。

「くも膜下出血」と関連する症状

「くも膜下出血」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 突然のとても強い頭痛
  • 首や肩凝りのような頭痛
  • 失神、意識障害
  • 手足の麻痺
  • 急に瞼が下がる、物が二重に見える

突然これらの症状が出現した場合には、すぐに救急車を呼んで病院を受診するようにしてください。

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