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「認知症の進行段階別の症状」はご存知ですか?初期症状も医師が徹底解説!

 公開日:2024/12/10

認知症の死の前兆となる末期症状とは?Medical DOC監修医が認知症の死の前兆となる末期症状・進行段階別の症状・寿命や生存率などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

※この記事はMedical DOCにて『「認知症の死の前兆」となる末期症状はご存知ですか?寿命についても医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

石飛 信

監修医師
石飛 信(医師)

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2003年福井大学医学部卒。福井大学神経科精神科助教を経て、2013年国立精神・神経医療研究センター 思春期精神保健研究室長。2020年よりありまこうげんホスピタル診療部長。現在、主に精神科救急医療に従事。専門は児童精神医学。児童のメンタルヘルス向上を目的とした「かかりつけ医等発達障害対応研修」、「児童思春期の精神疾患薬物療法ガイドライン作成」に責任者としてかかわった。

「認知症」とは?

認知症は、さまざまな脳の病気が原因となり、脳の神経細胞の働きがだんだん低下する病気です。その結果、記憶力、思考力、判断力、言語能力などの認知機能が低下します。
これらの症状は日常生活に重大な影響を与え、患者さんとその家族にとって大きな課題となります。
認知症の原因となる病気としては、アルツハイマー型認知症が最も多く、次いで血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症と続きます。

認知症の進行段階とそれぞれの症状

それでは、認知症の進行段階とそれぞれの症状について述べていきます。

前兆期の症状

認知症の前兆の段階として、軽度認知障害(MCI;Mild Cognitive Impairment)という概念が提唱されています。MCIの全てが認知症になるわけではありませんが、その可能性がある状態です。
このMCIの段階では、不安や抑うつ、物忘れといった症状が現れます。ただし、日常生活には支障がでることはあまりありません。

初期の症状

認知症の初期症状としては、軽度の物忘れが出ることがあります。MCIとの違いとしては、日常生活の質が低下し始め、徐々に周りの人のサポートが必要になってくるという点があります。
具体的には、名前を覚えたり、最近の出来事を思い出したりするといった記憶・記銘力(きめいりょく)の障害があります。
その他にも、時間や場所など、自分が置かれている状況を正確に認識できなくなるといった失見当識(しつけんとうしき)障害が現れます。

中期の症状

中期には、精神症状や行動の異常がより顕著になってきます。
妄想や幻覚症状、徘徊などが現れます。
その他、失行や失認症状も現れます。失行とは、ご飯を食べたり服を着たりといった、日常的な動作や物の操作などができなくなることです。また、失認とは、自分の体と物の位置関係や、目の前の物が何かを認識することが困難になることを指します。

末期の症状

認知症の末期には、人格が変化し、無言・無動といった状態になります。これは、周りの環境に対する反応が失われた状態です。
その他、歩く・座る・食べるなどの多くの身体能力が失われます。さらに、膀胱や腸のコントロールに障害をきたすこともあります。
また、先ほど述べたように感染症、特に肺炎になる可能性も高くなります。
自分で身の回りのことをすることが難しくなるので、常に誰かの介助が必要な状態になります。

「認知症の死の前兆となる末期症状」についてよくある質問

ここまで認知症の死の前兆となる末期症状などを紹介しました。ここでは「認知症の死の前兆となる末期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

認知症患者の終末期の特徴や症状について教えてください。

石飛 信石飛 信 医師

認知症患者の終末期には、歩く・座る・食べるなど、多くの身体能力が失われます。そして、排便や排尿のコントロールができなくなる可能性もあります。さらに、会話することはできず、介助が常に必要な状態になることもあります。注意すべきは、感染症、特に肺炎にかかりやすくなってしまうといった特徴ならびに症状があります。

編集部まとめ

今回の記事では、認知症の進行段階ごとの特徴的な症状と、その対処法について詳しく解説しました。
認知症患者さんにおいて、認知機能低下自体で死亡することはありません。しかし、認知症患者さんではもともと有する身体疾患のコントロールが悪くなったり、脳萎縮に伴い嚥下、歩行の機能も落ちたりすることで、死亡リスクがあがることがあります。
認知症は現在の医学では完治することは難しいです。そのため、認知症の症状に心当たりがある場合には、早めに専門の医療機関に相談するようにしてください。認知症の早期発見と適切な介入が、病気の進行を遅らせ、患者さんの生活の質を維持するためには重要です。
認知症患者さんに対する介護は、その病状などに応じてさまざまです。そのため、認知症患者の家族などの介護者は、専門医と連携して個々の患者に合わせたケアプランを立てることが勧められます。
今回の記事が、認知症に対する理解を深める上で役立てば幸いです。

「認知症」と関連する病気

「認知症」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科科の病気

  • アルツハイマー病
  • 血管性認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症
  • パーキンソン病

認知症の原因となる病気には多くのものがあります。それぞれ異なる症状をきたしますので、専門の医療機関で診断や治療を受けることが大切です。

「認知症」と関連する症状

「認知症」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 記憶障害
  • 判断力の低下
  • 言語能力の低下
  • 実行機能の障害
  • 時間や場所がわからなくなる
  • 視覚と空間能力の障害
  • 物の置き忘れ
  • 社会や趣味に対する興味関心の喪失
  • 気分や性格の変化
  • 幻覚や妄想
  • 排尿・排便障害

これらの症状は、認知症のタイプや進行度によって異なる場合があります。認知症は現在のところ治癒の方法はありませんが、適切な支援と治療により症状の進行を遅らせることが可能となります。

この記事の監修医師

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