「パーキンソン病の前兆となる初期症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!
パーキンソン病の初期症状とは?Medical DOC監修医がパーキンソン病の初期症状・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
※この記事はMedical DOCにて『「パーキンソン病の前兆となる初期症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)
目次 -INDEX-
「パーキンソン病」とは?
パーキンソン病とは、脳の中の“中脳黒質”という部分にある神経細胞が減少し、ドーパミンという神経伝達物質が不足することで起こる神経変性疾患です。世界中で数百万人がこの病気に罹患しており、60歳以上の高齢者に多く見られますが、若年者にも発症することがあります。
症状としては、
- ・無動(運動が遅く少なく緩やかになる)
- ・静止時振戦(止まって安静にしている時に、手足や顔、首が小刻みに揺れること)
- ・筋強剛(筋肉がこわばり関節が歯車のように引っかかって、滑らかに動かなくなる)
- ・姿勢保持障害(安定した姿勢を保てず、すぐに倒れてしまう)
- ・すくみ現象(足がすくんで滑らかに前に出ず、小刻みに、そして突進するように歩く)
などが代表的です。これらのような運動機能に関わる症状が中核ですが、非運動症状という運動機能とは別の症状(認知機能低下、感覚障害、自律神経障害など)も多く見られます。
高齢化が進むにつれて増加傾向にあり、特に先進国での増加が顕著です。予後に関しては、現在の医療技術では完治は難しいものの、薬物療法やリハビリテーション、時には手術などにより、症状の進行を遅らせることや生活の質を向上させることが可能です。早期発見と適切な治療が、より良い生活を維持する鍵となります。
それでは早期発見の鍵となる、パーキンソン病の初期症状について解説いたします。
パーキンソン病の初期症状
字が上手く書けない
パーキンソン病の初期症状として、字が上手に書けない、字が小さくなる(小字症)、といった症状があります。これは進行すると“無動”につながりますが、そこまでに開始遅延(運動の開始が遅れる)、運動減少(運動自体が少なくなる)、動作緩慢(動作が遅くなる)という状態が経過します。これらの症状の初期として、腕や手を器用に動かすことが難しくなり、続いて歩行や寝返り、着替えなどの大きな動作で見られるようになります。
このような症状に気づいた際は、早めに専門医を受診することが重要です。専門科は脳神経内科です。緊急性はないので日中に受診してください。
手が震える
初期症状として、手が震えるというものもあります。パーキンソン病に特徴的なのは、静止時振戦と言って、止まっている時に震えが出現して、何か動作をしているときは震えも止まる、というものです。
実際に文字を書いたり箸を使うときは震えが消えたり軽くなったりするため、日常生活での影響は少ないこともあり、「年齢のせいかな」と見過ごされることもあります。
この症状に気づいた際も早めに脳神経内科の医師の診察を受けましょう。緊急性はありません。
気分障害
パーキンソン病の代表的な症状は運動機能障害ですが、非運動障害も重要です。その中でもうつや不安といった気分障害は、パーキンソン病の発症初期からよく見られることが報告されています。そのほかにはアパシー(apathy:無感情、意欲が低下した状態)や、アンヘドニア(anhedonia :快感の消失、喜びが得られるような事象への興味消失)といった、幅広い気分障害も見られます。
特別な出来事がなかったにも関わらず、元々の性格と打って変わって、無気力になっていくような様子が見られた際は、この気分障害を生じている可能性があります。
認知症や他の疾患との鑑別も重要ですので、まずは医療機関で精査する必要があります。専門科は脳神経内科や精神科です。
便秘
パーキンソン病の非運動症状では、自律神経障害に関連する症状がよく見られます。起立性低血圧や排尿障害、性機能障害、発汗障害などがありますが、最も頻度が高いのが便秘です。パーキンソン病の発症前から発症初期に出現していることも多い症状です。
パーキンソン病への治療と並行して、便秘そのものへの処置対応も重要です。ご自身でできる内容としては、食物繊維や水分の摂取量を増やすといったものがあります。
これらのような一般的な便秘への対応を行っても便秘が改善しない場合は病院を受診しましょう。受診すべき診療科は一般内科、消化器内科です。仮に便秘の後にパーキンソン病を疑う症状が出てきた場合は、担当医に相談しましょう。
レム睡眠行動障害
パーキンソン病の非運動症状の中には、睡眠障害というものもあります。その名の通り、睡眠が十分に行えない訳ですが、その中でもパーキンソン病の初期から見られるのがレム睡眠行動障害です。
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、レム睡眠の時の夢を見るというのが基本です。このときは脳が比較的起きていて体が休んでいる状態と言われています。そのため健康な人の場合、レム睡眠中には筋肉が弛緩して(ゆるんで)動きません。
しかし、レム睡眠行動障害ではこの筋肉を緩めるというシステムが障害されるため、夢の中での行動がそのまま現実の行動となって現れてしまいます。大声で寝言を言う、腕を上げて何かを探す、殴る、蹴るなどの激しい動きがみられます。これを夢の行動化と言います。
ご自身でできる対処法はなく、また自分自身では気づきにくいため周囲の方が気付き、病院受診に繋ぐ必要があります。受診すべき診療科は精神科や心療内科、脳神経内科です。
「パーキンソン病の初期症状」についてよくある質問
ここまでパーキンソン病の初期症状・予防法などを紹介しました。ここでは「パーキンソン病の初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
20代でパーキンソン病を発症した場合、どんな初期症状が現れますか?
中川 龍太郎(医師)
20代での発症は「若年性パーキンソン病」に該当しますが、これまで紹介した症状以外に特別な症状が出現することはありません。先述の通りです。
編集部まとめ
パーキンソン病の初期症状について解説しました。運動機能障害の症状は特徴的で気付きやすいものもありますが、非運動症状は他の疾患との区別も難しくなります。
気になる症状が増えてきたら、一度医療機関を受診しましょう。
「パーキンソン病の初期症状」と関連する病気
「パーキンソン病の初期症状」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
脳神経科の病気
- パーキンソン病
- 本態性振戦
消化器科の病気
パーキンソン病の初期症状で見られる、もしくは関連する症状はこれだけあります。パーキンソン病に特徴的なものから、ありふれたものまで様々です。判断が難しいことも多いので、不安な場合は一度病院を受診してみましょう。
「パーキンソン病の初期症状」と関連する症状
「パーキンソン病の初期症状」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
パーキンソン病の初期症状として代表的なものはこの辺りになります。複数見られる場合は早めに医療機関を受診しましょう。早期介入が治療の鍵になります。