「音楽が睡眠」に与える効果はご存知ですか?【医師監修】

「寝ても疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚める」──そんな悩みを抱える方は少なくありません。良質な睡眠は、心身の健康を保つうえで欠かせない要素です。
しかし、単に「長く寝る」だけでは不十分。本記事では、音楽が睡眠に与える効果について解説します。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
目次 -INDEX-
1. 睡眠の質とは何か?
1-1. 「質の高い睡眠」の定義
睡眠の質とは、単に「睡眠時間が長いかどうか」ではなく、「睡眠によって脳や体が十分に回復できたか」という視点が重要です。
睡眠の質が高い状態とは、以下のような条件を満たすことを指します
・寝つきが良い(入眠まで30分以内)
・夜中に目が覚めにくい
・朝すっきり起きられる
・日中に眠気を感じにくい
1-2. 睡眠の構造と周期
人の睡眠は「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」が約90分ごとの周期で繰り返されます。
特に深いノンレム睡眠(徐波睡眠)が脳と体の回復に重要とされています。
この深い睡眠をいかに確保するかが「質の良い睡眠」の鍵となります。
5. 音楽が睡眠に与える効果とは?
5-1. 音楽がもたらす生理的リラックス効果
音楽は、私たちの「自律神経」に働きかけます。
特に心拍数・血圧・呼吸が緩やかになることで、交感神経の緊張が和らぎ、副交感神経が優位になります。
これにより、自然な眠気を引き出すことができるのです。
また、音楽には「コルチゾール(ストレスホルモン)」の分泌を抑え、「セロトニン」などの安定ホルモンを分泌する効果もあるとされています。
5-2. 科学的エビデンス
複数の研究で、音楽を聴くことで入眠までの時間が短くなり、睡眠時間も長くなる傾向があることがわかっています。
例えば、ある臨床試験では、就寝前に30分間クラシック音楽を聴いた人のほうが、睡眠の質が有意に改善したという報告もあります。
特に「テンポが遅く」「歌詞がない」「音域が広くない」音楽が快眠に効果的であることが多いです。
参考文献
- 日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群診療ガイドライン」2022年版
- 日本睡眠学会 編「睡眠医療ハンドブック」メディカ出版, 2019年