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陰嚢水腫の症状や原因、治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

陰嚢水腫(読み方:いんのうすいしゅ)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長

陰嚢水腫とは

精巣の周囲に液体がたまって陰嚢(いわゆるたまのふくろ)がふくらんだ状態を言います。生まれたばかりの男の赤ちゃんでは比較的高頻度に認めます。

引用:東京女子医科大学病院
http://www.twmu.ac.jp/KC/Urology/disease/child/scrotum/

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説
陰嚢水腫は陰嚢水瘤(いんのうすいりゅう)とも言い、精巣(睾丸)の周囲に液体がたまって陰嚢(たまのふくろ)がふくらんだ病態です。陰嚢水腫は交通性陰嚢水腫と、非交通性陰嚢水腫に区別されます。すなわち陰嚢水腫がお腹の中(腹腔内)とつながっているものを交通性陰嚢水腫、つながっていないものを非交通性陰嚢水腫といいます。小児の思春期(10歳頃)以前では交通性陰嚢水腫が大部分で、思春期以降では非交通性陰嚢水腫がほとんどです。

陰嚢水腫の症状

片方の陰嚢が大きくなり、左右が不均等になります。場合によっては両側ともに陰嚢水腫で大きくなることもあります。痛みや合併症などはとくにありません。

引用:東海大学医学部付属病院 泌尿器科
http://uro.med.u-tokai.ac.jp/byoukini/shou_in.html

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説
・「陰嚢の無痛性の腫脹(しゅちょう)」、「局所の圧迫感・違和感」、「歩行時の不快感」、「パンツが履きづらい」、「陰部のふくらみで人見が気になる。」等。
・暗い部屋で陰嚢水腫にペンライトなどで光を当てると提灯のように光が透けて見えます。
・陰嚢内に貯まった液体(水腫)がお腹の中(腹腔内)と交通している(つながっている)「交通性陰嚢水腫」は小児に多く、陰嚢の水腫が大きくなったり小さくなったりするのが特徴です。
・陰嚢水腫は痛みを伴わないのですが、痛みを伴う場合には鼠径(そけい)ヘルニアの可能性があり緊急処置が必要な事がありますので早急に泌尿器科医や外科医の診察を受けるようにしてください。

陰嚢水腫の原因

お母さんのお腹の中にいるときに腹膜が鞘状に飛び出したもの(腹膜鞘状突起)が引っ込まないで残った状態で、その鞘状突起に腸などが入ると鼠径ヘルニアになりますが(鼠径ヘルニアの項を参照)、水が貯まると水腫になります.陰嚢に水がたまることを陰嚢水腫、鼠径部に水がたまることを精索水腫,女児の鼠径部に水がたまることをヌック水腫といいます。

引用:日本小児外科学会
http://www.jsps.gr.jp/general/disease/ms/0i95b3

陰嚢水腫の検査法

診断は懐中電灯などの光が通過する(透光性)ことなどで判断しますが、超音波検査も有用です。

引用:日本小児外科学会
http://www.jsps.gr.jp/general/disease/ms/0i95b3

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説
視診・触診:水腫によって腫大した陰嚢にペンライトで光を押し当てて見ると提灯のように陰嚢全体が透けて見えます。(光が透けて見えない場合は鼠径ヘルニアや精巣腫瘍が疑われます。)
・画像検査:超音波検査 水腫は低エコー像として描出されます。

陰嚢水腫の治療方法

1~2歳までに、多くは自然に水が吸収されて消滅しますので、とくに治療は行わず、結果観察します。水腫を穿刺して水を抜く方法は血腫や感染を起こす危険があり、治癒を送らせることがあるため、一般的には行われていません。水腫が消失しない場合や鼠径ヘルニアを合併している場合などは手術を行うことになります。

手術について

大人の場合は通常、半身麻酔で行います。陰嚢部を切開し水腫を摘除します。手術時間は約1時間位です。お子さんの場合は交通性の可能性があり、下腹部に約2、3センチの切開を加え行ないます。時間は約1時間位ですが全身麻酔で行います。入院期間は3~5日間位です。

引用:東海大学医学部付属病院 泌尿器科
http://uro.med.u-tokai.ac.jp/byoukini/chi_in.html

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説
乳幼児の場合には交通性陰嚢水腫が多く自然治癒する可能性が高いので2~3歳ごろまでは経過観察とします。3歳以降になって自然治療しない場合は手術を検討しますがサイズが小さく自覚症状が無い場合には様子を見る事もあります。
一方、成人では、ほとんどが非交通性陰嚢水腫ですので陰嚢に針を刺して水を抜く処置(陰嚢穿刺 いんのうせんし)、または手術を行います。穿刺を行っても陰嚢水腫は再発するので数カ月ごとに繰り返し穿刺をする必要があります。手術を行う場合は陰嚢に切開を加えて水腫のたまる袋を摘除します。麻酔は半身麻酔(腰椎麻酔または脊椎麻酔)で手術時間は約1時間程度です。

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