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セラミックブラケットとクリアブラケットの違いとは?特徴や選び方を解説

 公開日:2025/01/31

歯列矯正では、ブラケットと呼ばれるパーツを歯の表面に固定します。ブラケットは、歯を動かす原動力となる矯正用ワイヤーを通す重要なパーツですが、目立ちやすいという難点があり、見た目のよさからマウスピース型矯正を選択する人が増えています。そうした矯正装置における審美面を重視する場合は、セラミックブラケットやクリアブラケットという選択肢も用意されていることを知っておきましょう。これらを選択すれば目立ちにくいワイヤー矯正を実現できます。そこでコラムでは、セラミックブラケットとクリアブラケットの違いについて詳しく解説します。

セラミックブラケットとクリアブラケットについて

セラミックブラケットとクリアブラケットについて はじめに、セラミックブラケットとクリアブラケットの基本事項を確認しておきましょう。

セラミックブラケットとはどのようなものですか?
セラミックブラケットとは、歯科用のセラミックで作られたブラケットです。詰め物・被せ物治療で用いられるセラミックと同様、歯の色調や光沢、質感に近いことから、一見すると何もつけていないように見えます。その審美性の高さは、標準的なワイヤー矯正で用いられるメタルブラケットと比較すると一目瞭然です。そのため近年、歯列矯正のオプションとして、セラミックブラケットを用意している矯正歯科医院が増えてきています。
クリアブラケットについて教えてください
クリアブラケットとは、プラスチックで作られたブラケットです。見た目が透明であることからクリアという名前が付けられています。クリアブラケットもセラミックブラケットと同じく、歯列矯正においてはオプションのひとつとして用意されていることがほとんどです。メタルブラケットと比較した場合は、審美面において優れています。ただし、クリアブラケットはプラスチックであることから、耐久面においては難があるといわざるを得ません。
セラミックブラケットのメリットとデメリットを教えてください
セラミックブラケットには、次に挙げるメリットとデメリットを伴います。【メリット】

◎見た目が自然で目立ちにくい

セラミックブラケットのメリットは、目立ちにくいという点にあります。セラミック製の詰め物や被せ物を見たことがある方ならイメージしやすいかと思いますが、天然歯の見た目と酷似しているため、口腔内で目立ちにくいのです。もちろん、至近距離で観察したらセラミックブラケットの存在がよくわかりますが、メタルブラケットとは比較にならない程、審美性に優れています。

◎金属アレルギーのリスクを減らせる

ブラケットだけでもセラミックにするだけで、矯正治療中の金属アレルギーのリスクはある程度、減らすことができます。歯列矯正は数年に及ぶのが一般的なので、金属アレルギーのリスクを少しでも減らせることは患者さんにとって大きなメリットとなります。

◎経年的な摩耗や変色が起こりにくい

セラミックブラケットは、数年間使い続けても摩耗や変色がほとんど起こりません。そのため美しい見た目とブラケットとしての機能を維持しやすいです。

◎汚れが付きにくい

セラミックは表面がツルツルで、汚れが付着しにくくなっています。歯磨きもしやすく、矯正中でも口腔衛生状態を良好に保ちやすいです。

【デメリット】

◎強い圧力がかかると割れることがある

耐久性と強度に優れたセラミックは、壊れにくい素材ではあるものの、極端に強い圧力・衝撃などが加わると割れることがあります。

◎費用が高い

セラミックブラケットは、原材料費が高いため、治療にかかる費用も自ずと高額になります。

クリアブラケットのメリットとデメリットはなんですか?
クリアブラケットには、以下に挙げるメリットとデメリットを伴います。【メリット】

◎透明なのでブラケットが目立ちにくい

ブラケットが透明であることは、装置の審美性を向上させることに寄与します。少なくともメタルブラケットのようなギラギラとした見た目にはなりません。

◎費用が安くなりやすい

プラスチックは原材料費が安いことから、治療にかかる費用も安くなります。ただし、クリアブラケットはあくまでオプションであるため、メタルブラケットと比較すると費用は高くなります。

【デメリット】

◎強度が低くて壊れやすい

プラスチックは強度が低く、強い力がかかると割れたり、外れたりすることがあります。

◎摩耗や変色が起こりやすい

クリアブラケットを使用していると、表面が少しずつ摩耗していきます。食品の色素も沈着しやすく、だんだんと黄ばんでいくのが一般的です。

◎汚れが付きやすい

傷が付いたクリアブラケットは、食べカスやプラークが沈着しやすく、口臭が強くなる傾向にあります。歯列矯正中の口内環境の悪化は、歯周病やむし歯リスクを上昇させるため、十分な注意が必要です。

◎歯の移動が遅くなりやすい

クリアブラケットは、メタルブラケットよりも摩擦が大きくなることから、歯の移動が遅れやすいです。

セラミックブラケットとクリアブラケットの違い

セラミックブラケットとクリアブラケットの違い 次に、セラミックブラケットとクリアブラケットを比較してみましょう。

セラミックブラケットとクリアブラケットの違いを教えてください
セラミックブラケットとクリアブラケットは、どちらも審美性を重視した矯正器具ですが、見た目に少し違いが見られます。セラミックブラケットは、色調や光沢などが天然歯に近づくよう製作されていますが、クリアブラケットは単に透明であることから、見た目の違和感が後者は強くなります。また、強度の面においてもセラミックとプラスチックでは当然、前者に軍配があがります。費用はセラミックブラケットの方が高いのですが、歯を動かす効果や材料の劣化などを考慮すると、必ずしもクリアブラケットの方がコストパフォーマンスに優れているともいい切れません。
審美性を重視する場合、どちらの方が目立ちにくいですか?
矯正器具の審美性を重視するのであれば、間違いなくセラミックブラケットが推奨されます。セラミックブラケットは、天然歯に調和するような色調に調整されているため、クリアブラケットよりも目立ちにくいです。
耐久性の違いについて教えてください。
セラミックブラケットは、使っていくなかで徐々に摩耗したり、変色したりすることはほとんどありません。破損するとしたら、顔面に強い衝撃を受けたときや極端に硬い食べ物を食べる習慣があるような場合で、多くのケースでは問題なく歯列矯正を終えることができます。一方、クリアブラケットは、どのような配慮をしていても経年的な摩耗や変色は避けられません。大きく破損するリスクも低くはないため、耐久面においては総合的にセラミックブラケットが優れているといえます。

ブラケットの選び方のポイント

ここでは、歯列矯正用のブラケットの選び方を解説します。

自分に向いているブラケットの選び方を教えてください
矯正治療に関する優先順位によって、推奨されるブラケットが変わってきます。とにかく安さを優先的に考える場合は、標準的なメタルブラケットがおすすめで、審美性を重要視する場合は、セラミックブラケットを選びましょう。あまり費用をかけずに、器具を目立ちにくくしたい場合は、クリアブラケットがおすすめです。このように矯正治療で何に重きを置いているのかをあらかじめ明確にしておくと、自分に合ったブラケットが選びやすくなります。
金属アレルギーの場合、どちらが適していますか?
セラミックブラケットもクリアブラケットもそれ自体に金属アレルギーのリスクはないため、どちらを選んでも変わりはありません。ただし、ワイヤー矯正では、ブラケット以外にもワイヤーやバンド、歯科矯正用アンカースクリューなどで金属を使用することから、それらにアレルゲンとなる金属が含まれていないかを事前に確認しておく必要があります。ワイヤー矯正で完全なメタルフリーを実現することは難しいので、もうすでに金属アレルギーを持っている場合は、マウスピース型矯正を検討するのもひとつの選択といえます。
ブラケットを選ぶ際の注意点はありますか?
ブラケットは、歯の表面に接着して、患者さんが取り外すことができない器具なので、これから数年間、口腔内に固定され続けることを前提とする必要があります。見た目が気に入らないからといって、気軽に付け替えたりはできませんので、審美性・耐久性・機能性などを十分考慮したうえで選択することが大切です。

編集部まとめ

今回は、セラミックブラケットとクリアブラケットの違いについて解説しました。セラミックブラケットとクリアブラケットは、どちらも目立ちにくい点が魅力となっていますが、審美性や耐久性、機能性に違いが見られる点に注意が必要です。歯列矯正のブラケット選びで後悔しないためにも、治療を始める前にじっくりと検討して、自分に合った器具を選択することが大切です。どちらが自分に合っているかよくわからないという方は、矯正歯科のカウンセリングで歯科医師に相談しましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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