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歯列矯正は抜歯しなければならないのか?抜歯の必要性について 

 更新日:2023/03/27

歯列矯正を行う上で健康な歯を抜かなければならない場合があります。そこまでして歯並びをよくしたいという個人の問題もありますが、必ずしも抜歯が必要なわけではありません。抜歯せずに行う方法もありますが、なぜ抜歯が必要なのか、抜歯しないとどうなるのかなどについて、Medical DOC編集部がお届けします。

この記事の監修歯科医師
妹尾 葉子 (せのお矯正歯科 院長)

抜歯矯正と非抜歯矯正

歯列矯正と抜歯の関係性

歯並びが悪くなる原因は、すべての歯が並ぶスペースがないことです。日本人はもともと人種的にあごが小さいため、歯並びが悪い人はとても多いのです。そのため治療を行うための考え方としては、抜歯をしてスペースをつくることにより、ガタガタになった歯を正しい位置に並べることができるというものです。また治療を行ううえで、抜歯が必要な場合と、抜歯せずに矯正治療を行える場合があります。

抜歯したうえで矯正治療を行うことを抜歯矯正、抜歯せずに矯正治療を行うことを非抜歯矯正といいます。歯並びは人によって大きく異なるので、人それぞれ治療方法も異なります。自分の健康な歯は、なるべく残しておきたいと考えるのが一般的ですが、その中でも抜歯矯正は多いようです。

抜歯の現状

抜歯矯正は、どのくらい行われているのでしょうか。日本歯科矯正専門医学会が行った歯列矯正の患者さんにおける抜歯率調査(2011年)によると、全国の歯科医院と矯正専門医院でやや差があるようです。全国の歯科医院では、抜歯率が30~60%未満という歯科医院が48%、60~90%という歯科医院が35%でした。

また、矯正歯科専門医院においては、抜歯率が60~90%という医院が58%、90%以上という医院が27%でした。矯正専門歯科医院より全国の歯科医院の方が、やや抜歯率は低いようです。矯正専門医の方が抜歯矯正を選択していることがわかります。しかし、全国的にみても治療を行った患者さんの半数以上は、抜歯矯正を行っているようです。

抜歯矯正と非抜歯矯正のメリットデメリット

なぜ抜歯が必要なのか

抜歯矯正の一番のメリットは、歯を並べるスペースを確保できることです。空いたスペースを詰めていくことで、ガタガタに並んだり飛び出している歯を一列に並べることができます。そのため、あごと骨のバランスを保つことができ、すべての歯の噛み合わせをきれいに調整することができるのです。また、抜歯せずに治療を行った場合よりも、治療後、歯並びが戻りにくいとされています。

抜歯しないとどんなことが考えられる?

自分の健康な歯を抜歯しなくてよいなら、それに越したことはありません。抜歯による痛みや、その後の苦痛はなくて済みます。しかし、抜歯せずに歯列矯正を行うと、次のようなデメリットが考えられます。

歯茎が下がってくる

スペースがない場所に無理に歯を並べようとすると、本来の骨の位置から外側へずれて歯が並ぶことになります。そのため、歯の根っこが歯を支える土台の骨からずれてしまい、歯茎が下がってしまう可能性があります。

前歯が突出したような口先になってしまう

十分なスペースがないのに無理に歯を並べようとすると、前歯の部分が前へ出てきてしまう可能性があります。顔を横からみると、口先がとがっているようにみえます。

奥歯が真っすぐに揃わない

上記では、スペースがないため前歯が突出してしまうケースですが、こちらは奥歯に影響が出るケースです。無理に並べることで奥歯が耐えきれなくなり、一番奥の歯が斜めに倒れてしまったりずれてしまう可能性があります。奥歯は噛み合わせにとって一番重要な歯なので、避けたいところです。

非抜歯で矯正ができる場合もある?

軽度のガタガタであれば歯の大きさを調整することで上記のようなリスクを伴わずに非抜歯での治療ができる可能性があります。歯並びが出っ歯やガタガタになる原因の一つとして、奥歯が前方に傾いたり移動することで前歯のスペースが失われてしまったことがあげられます。

一般的なワイヤー矯正では、奥歯を後方に移動させることが難しいので抜歯矯正になることが多くなりますが、マウスピース型の矯正装置では奥歯を後方に移動させることでスペースを確保できるため、抜歯しないで治療できる場合があるようです。また、ワイヤー矯正でも矯正用のインプラントという装置を使用することで、同じように奥歯を後方に移動させて非抜歯での治療が可能になる場合があるようです。

歯列矯正と抜歯の流れ

治療を行うにはさまざまな事前検査を行った上で、歯科医とのカウンセリングを重ね、治療計画を練ったあとに治療が始まりますが、抜歯矯正が必要な場合は、治療の第一段階が抜歯となります。抜歯後の状態が安定したことを確認してから、矯正装置の装着に入ります。

どの歯を抜歯するの?

抜歯はたいてい、犬歯(糸切り歯)と第一大臼歯(奥から2番目の歯)の間の歯を選ぶことが多いようです。この間の歯を、小臼歯といいます。歯列矯正における抜歯は、第一小臼歯(前から4番目の歯)を選択されることが多く、実際に成功例も多いとされています。その他に、歯周病が進んでいる歯や根っこが短い歯など、なんらかの欠点がある歯が存在していれば優先的に抜歯します。できるだけ健康な歯は残しておきたいところです。

また、親知らずが斜めに生えている人も多くいます。親知らずの角度に問題があり、その他の歯の動きを妨げるようであれば、抜歯の対象になります。しかし、角度に問題がなく、何らかの原因でその他の歯の数が不足している場合などは、そのまま残しておくことがあります。

抜歯の手順は?

  1. 虫歯の治療と同様に、局所麻酔で行います。
  2. まず、歯と歯茎をくっつけている歯周靭帯を切除します。
  3. 歯と骨はくっついて歯茎に埋まっていますが、専用器具を挿入し繊維を断裂させ、骨から歯を脱臼させます。 断裂・脱臼など、痛みや怖いイメージがありますが、局所麻酔で痛みは感じられず、歯や歯茎をググッと押されるような感覚になるようです。
  4. 鉗子を使用して、歯自体を引き抜きます。
  5. 抜歯後に残った組織をきれいにします。
  6. 止血し、終了です。

通常、ここまでの作業に20分~30分ほどかかるとされています。

また、角度が悪い親知らずや、半分以上歯茎に埋まっている親知らずなどは、少し手間がかかります。角度が悪い場合は、少しずつ歯を砕きながら取り除いたり、歯茎に埋まっている場合は、歯茎を切開して抜歯し、その後歯茎を縫合します。これらは通常の抜歯方法なので、特殊な状況の歯や虫歯や歯周病などが進んでいる歯などは、この限りではありません。

一番大切なのは最終的な目標

歯並びは個人によって大きく異なるので、それに合わせた治療方法も異なります。抜歯を必要としない人もいますが、多くの人が抜歯をしているのが現状です。健康な歯の抜歯は非常に抵抗がありますが、抜歯の必要があるにもかかわらず、無理をしてそのまま矯正治療を続行することは大きなリスクを伴います。

一番大切なのは、歯並びをよくしたい、かみ合わせをよくしたいなど、最終的な自分の希望や目標を達成することです。良い歯並びを手に入れるためには、少々の犠牲を受け入れる勇気が必要なのかもしれません。

とはいえ、抜いた歯はもう二度ともとには戻りません。歯科医師としっかりカウンセリングを行い、治療計画を練った上で、よく検討することが大切です。

妹尾 葉子 歯科医師 せのお矯正歯科 院長監修ドクターのコメント

「矯正治療を始めるにあたって、抜歯をお願いすることがあります。むし歯にもなっていない歯を抜くことには抵抗を覚えられるかと思います。もちろん、より多くの歯がある、ということは将来的に大きなアドバンテージです。
しかし顎の大きさと歯の大きさの調和が取れていないことが原因で叢生(ガタガタ、乱杭い)が生じている場合、無理に矯正装置の力で歯列を拡げて全ての歯をならべても、歯が前方に突出して口が閉じにくくなったり、無理に閉じようとして口元の形が悪くなったりすることは望ましいことではありませんし、そのように身体に対して無理な動かし方をしてもその後の安定に欠けます。
また、上下の咬み合わせにズレがあるような場合も、非抜歯ではそのズレを解消するのに限界があります。
すなわち、矯正治療に先立って採得した資料に基づいておこなう診断において、非抜歯で治療した場合と抜歯をして治療した場合をそれぞれ予測し、その上で、双方のメリット・デメリットを鑑みて、患者さんのご希望も併せて、より良いと考えられる方法を選択します。」

 

監修ドクター:妹尾 葉子 歯科医師 せのお矯正歯科 院長

歯列矯正でおすすめの矯正歯科 九州編

せのお矯正歯科

出典:http://www.senoo-ortho.com/

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