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インプラントに歯科用CT撮影を行うメリットや重要性

 更新日:2023/03/27

インプラント治療を行う場合、歯科用CTを用いることでより正確な診断をすることが可能となります。歯科用CTを使用すれば、アゴの骨の立体的形態や神経の位置などを詳しく把握することができます。

しかし、歯科によっては歯科用CTを使用せずに治療を行う場合もあります。では、どんなときに歯科用CT撮影が必要となるのか、また歯科用CTを使用する費用やメリットなどについて、Medical DOC編集部がお届けします。

この記事の監修ドクター:
山崎 貴裕 歯科医師 やまざき歯科クリニック 院長

 歯科用CTについての基礎知識

そもそも歯科用CTって何?と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?この章では、歯科用CTとは何かについて詳しくご紹介していきます。

歯科用CTって一体何?

歯科用CTの「CT」とは、Computed Tomographyの略で、コンピューターを使用してデータを処理したり、画像を再構成したりし、断面の写真を得ることができる装置を意味します。歯科用CTとはその名の通り、歯科に特化したCT装置です。

X線写真では、2Dの平面でしか診断することができませんが、歯科用CTでは3Dの立体画像での診断が可能になります。そのため、X線写真診断よりも精度が高く、より多くの情報を得ることができます。

歯科用CTと医療用CTの違い

歯科用CTと医療用CTの違いは、まずX線照射量の少なさです。歯科用CTの実行照射時間はわずか約10秒で、X線照射量は医療用CTと比較して1/8~1/50も軽減できるのです。そのため、被爆量が少ないというメリットがあります。短時間のX線照射でも、歪みの少ない繊細な断面画像を撮ることが可能です。医療用CTだと横たわって撮影する必要がありますが、歯科用CTだと、座ったまま撮影するものもあります。

歯科では、ミクロンレベルの精密な情報が求められるため、医療用CTに比べて高レベルの空間分解機能が備わっています。

歯科用CTの費用について

歯科用CTの費用は、4000円~40,000円です。歯医者によって、治療方法や作業方法などが異なるため、料金も異なります。歯科用CTを使用する治療を受ける際は、事前に費用を確認しておくと良いでしょう。

 歯科用CTを使用したインプラント治療

歯医者によっては、歯科用CTを導入していない場合があります。そのため、インプラント治療は必ず歯科用CTを使用するとは限りません。しかし、歯科用CTを使用することでより確実に診断することができるというメリットがあります。この章では、一般的なインプラント治療の流れと、歯科用CTを使用したインプラント治療の流れについてご紹介していきます。

インプラント治療の流れ

インプラントとは、失った歯を人工の歯で補う治療法です。歯を失った場合、まずカウンセリングや診断を受けて治療方法を決めていきますが、インプラントの他にもブリッジなどの選択肢もあります。

インプラントは、これらの治療方法の中でも最も高額になりますが、自分の歯のようにしっかりと噛むことができます。さらに、審美性が高いので見た目の美しさを重視したい方にはおすすめの治療法です。インプラントの最大のメリットは周りの歯に無理な負担をかけないだけでなく、新たに丈夫な土台が増えることで周りの歯を助ける役割があります。インプラント治療を選択することが決まったら、診断・審査を行い、治療計画を決めていきます。

治療の流れとしては、まずあごの骨に人工の歯根を埋め込む外科手術を行い、インプラントがあごの骨にしっかりと定着したら、その上から人口の歯を装着していきます。治療後もクリーニングや噛み合わせチェックなど定期的にメンテナンスを行い、なにもトラブルがないかインプラントの状態を確認する必要があります。

インプラント治療に歯科用CTを使用する場合

インプラント治療に歯科用CTを使用するのは、主に手術前の検査の時です。歯科用CTを使用することによって、インプラント体と呼ばれる人工の歯根を埋め込める骨の位置を正確に診断することができます。その他、骨の質や厚み、骨の形態や神経の位置なども正確に把握することが可能になります。

さらに、インプラント体をあごの骨に埋め込む角度などをシミュレーションすることもできますので、治療中に手間取ってしまうこともありません。スムーズに治療を行うことで、治療時間を短縮し患者の負担を軽減してくれるのです。

歯科用CTは、インプラントの手術中にも使用される場合があります。手術中にCT撮影をすることでインプラントの位置や方向を確認しながら治療できるので、より正確な手術を行うことができます。

 インプラント治療における歯科用CTの必要性・重要性

インプラント治療には、必ず歯科用CTが用いられるとは限りません。しかし、歯の状態によっては歯科用CTが必ず必要になる場合もあります。それでは、どういった時に歯科用CTが必要になるのかご紹介していきます。

あごの骨と上顎洞の距離が近い

上あごの骨の上には、サイナスと呼ばれる大きな空洞、上顎洞があります。このサイナスは、粘膜で覆われていて、鼻膣につながる位置にあります。あごの骨とサイナスの距離が近い場合、インプラント治療でサイナスを傷つけてしまう恐れがあります。そこで、歯科用CTを使用し、実際の骨の状態やサイナスと骨の距離を正確に確認することが重要となります。

インプラントを埋め込むあごの骨とサイナスの距離が近いかどうかは簡易検査で予測される場合もあります。簡易検査であごの骨に問題があると診断されたら、サイナスを傷つけてしまわないためにも歯科用CTを使用したインプラント治療を行うことが大切です。

あごの骨と下歯槽神経までの距離が近い

下あごの骨の下には、下歯槽神経と呼ばれる神経が通っています。インプラント治療を行う際は、この下歯槽神経を傷つけてしまわないように、神経を避けて治療していく必要があります。

しかし、人によっては下あごの骨が薄いため、インプラント治療で下歯槽神経を傷つけやすい場合があります。その場合、歯科用CTで撮影して、下歯槽神経を傷つけないようにどの角度でインプラント体を埋めていくか厳密に確認する必要があるのです。

 歯科用CTを使用するとより正確なインプラント治療が可能

歯科用CTを使用したインプラント治療についてご紹介してきました。歯科用CTはインプラント治療だけではなく、親知らずの治療や歯周病治療などに使用されています。また、歯列矯正治療や歯の根の病気に関する治療などに用いられる場合があります。

インプラント治療を始める前に、精度の高い歯科用CTを使用して事前に治療箇所を3次元で確認しておくことで、より正確な診断が可能となります。歯科用CTで治療箇所を撮影すると、あごの骨の形態や厚みなどを正確に把握することができるので、万が一あごの骨とサイナスや神経が近い場合も安心してインプラント治療が受けられます。

このように、歯科用CTを使えば、難しい症例でも事前にシミュレーションして治療を行うことができるので、治療に手間取ることもなく治療時間を短縮することができるのです。

監修ドクターのコメント

CTはインプラント治療や根管治療や歯周病治療やその他の歯科治療に、劇的な革新をもたらしてくれました。特にインプラント治療においては、CTで顎の骨の立体的な形状や神経の位置を確認できるだけでなく、コンピューター上で実際のサイズのインプラントを埋入するシミュレーションを行うことで、より安全かつ正確にインプラントの手術を行うことができます。また、立体的な画像を見られることで、インプラントの上に作る人工の歯がうまく咬み合うような位置にインプラントを埋入できるため、審美性や機能性の面でもメリットがあります。安心、安全な治療のためにも、インプラントの手術の時には、できたらCTを撮ってもらってください。

 

監修ドクター:山崎 貴裕 歯科医師 やまざき歯科クリニック 院長

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やまざき歯科クリニック

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