インプラントの痛みはどのくらい?痛みが出る時期や対処法について
インプラントの手術で気になる大きな項目の一つとして、どのくらい痛みがあるのか?ということがあげられるでしょう。
ここではインプラントの痛みについて、どのようなタイミングで痛みが出るのか、また受診した方が良い痛みはどのようなものか、さらに痛みを少なくするにはどうすれば良いかという点について、説明していきます。
この記事の監修ドクター:
野苅家 清 歯科医師(のかりや歯科 院長)
目次 -INDEX-
そもそも、インプラントとは?
インプラントとは、歯の治療法の一つです。
虫歯などで歯を失った、先天的に生えてこない永久歯がある場合に、顎の骨にチタンやチタン合金を埋めて、その上に人工の歯をつける治療法です。
日本口腔インプラント学会では、インプラントについて以下のように説明しています。
齲蝕(虫歯)や歯周病(歯槽膿漏)によって、また外傷によって歯を失うことがあります。
また人によっては先天的に歯が無い場合があります。
そのような歯が無い部位の顎の骨にインプラントを埋め、そのインプラントに義歯を付ける治療方法がインプラント治療です。
インプラント治療は1本の歯がなくなった場合から全部の歯がなくなった場合まで、適用できる治療方法です。
このように歯の根元からしっかり固定する治療法ですので、しっかり噛むことができることが特徴です。
インプラントの治療費用、治療期間は?
インプラントの治療は、一部の例外を除いて自由診療となっています。
そのため治療費は1本当たり30~50万円と、高額になっています。
また治療期間は3ヶ月から6ヶ月を要します。下の歯よりも上の歯の方が長い期間の治療を必要とする傾向にあります。
さらに治療終了後も、定期的な健診が必要となります。
・インプラントの治療費は自由診療であり、1本当たり30~50万円かかります
・治療期間は3ヶ月から6ヶ月必要となります。その後も定期的な健診が必要です
インプラントの手術時に痛みはあるか?
インプラントは骨にチタンやチタン合金を埋め込むため、手術を受ける必要があります。
このように説明すると、なんだか痛そう!と思う方も多いのではないでしょうか。
手術中は麻酔を使うので痛みはない
インプラントの手術においては歯茎の切開やあごの骨に穴を開ける作業がありますが、あらかじめ麻酔をしてから行いますので、手術中の痛みはありません。
痛みがあるとすれば、麻酔の注射をするときに痛みがある程度でしょう。
日本口腔インプラント学会では、インプラントの手術について以下の説明があります。
インプラント埋入手術の際には、歯を抜いたり歯を削ったりする時に使用する局所麻酔を使用します。
また手術時間が長い場合でも、麻酔医がいるところでは静脈内鎮静法を用いることで、楽に手術を受けることができます。
したがって、手術中に痛みを感じることはありません。
また、手術時間は1本当たり30~60分程度です。手術する部位、内容により差があります。
患者によっては、鎮静剤を点滴する場合も
インプラントの手術自体に痛みはありませんが、手術ではドリルであごの骨を削る作業があります。
局所麻酔だけをしている場合は痛みこそないものの、自分の骨を削られているという感覚は恐怖に感じる方もいるでしょう。
このような方に対しては不安を和らげるため、鎮静剤を点滴する静脈内鎮静法が用いられることがあります。
この場合は、手術後ふらつかずに歩けるようになるまで、病院内で安静にしている必要があります。
インプラント手術後の痛みはどのくらい?
インプラントの手術を受けた後、痛みがどのくらい続くかは大変気になるところでしょう。
また状況によっては、手術後しばらくしてから、時には数年後に痛みが出てくる場合もあります。
ここでは手術後の時期をいくつかに分けて、それぞれの時期でどのような痛みが考えられるのか、またどのような痛みならば異常なのかを説明していきます。
手術後当日~数日後
手術後しばらくは麻酔が効いていますので痛みはありません。しかし麻酔が切れる頃に痛み出します。
手術後は鎮痛剤が処方されますので、痛いときは我慢せずに飲むようにしましょう。
あわせて抗菌剤や消炎剤が処方されますので、きちんと飲みきることが大切です。
平均的には、インプラント手術の痛みは「歯を抜いた時の痛み」と同程度といわれています。
治療範囲が広い場合や埋め込んだインプラントの本数が多い場合は、痛みが強く出る傾向にあります。
痛みは早ければ翌日、遅くても4~5日たてば治まってきます。
また、インプラントの手術をした箇所が腫れることもあります。
この点については、日本口腔インプラント学会のWebサイトで以下のように説明されています。
インプラント埋入手術後、インプラント部が腫れます。腫れる程度は手術の状況によりことなりますが、次第に腫れは引きますので心配はいりません。 また手術部位に関連して内出血が起きて顔の一部が紫色になることがあります。このようになった場合にも心配はいりませんが、治療を受けた先生にご相談ください。
引用:公益社団法人日本口腔インプラント学会
手術後7~14日程度
手術後7~14日程度で、抜糸が行われます。縫った糸を抜くたびにチクチクと痛みが発生します。
このような痛みを不快に感じる方も多いでしょう。歯茎に表面麻酔をしてもらうと痛むことなく抜糸をすることができます。
抜糸後も痛みが治まらない場合
通常、抜糸時にはインプラントを手術した箇所の痛みも治まっているはずです。
抜糸後にも痛みが続くような場合は、以下のような可能性が考えられます。
- 手術した箇所の細菌感染
- インプラントと隣の歯が接触し、炎症が発生している
- インプラントを埋める際に神経を傷つけてしまった
このような場合は我慢せず、なるべく早く受診することが必要です。
人工の歯を装着した後に痛みが出てきた場合
インプラントの手術と、その上にくっつける人工の歯の装着手術を別々に行う場合、先に埋めたチタンやチタン合金といった金属は問題なく埋め込めても、人工の歯を装着した後に痛みが出てくる場合もあります。
このような場合は、装着する歯の形やサイズ変更が必要となることがありますので、早めに受診することが必要です。
数年たってから痛みが出てくる場合は?
インプラント手術を受けた後、しばらくは問題が無かったけれど、数年後に痛みが出てくる場合もあります。
このような痛みが発生する原因の多くは、インプラント周囲炎にかかってしまったためです。これは歯の清掃が不十分なことにより起こります。
インプラント周囲炎の厄介なところは、初期の段階では症状がないまま骨が溶けていき、歯茎の炎症や痛みが起きた時にはかなり進行している段階であることです。
状況によってはインプラントを取り外す再手術や、あごの骨を増やす手術をしないといけなくなる場合もあります。
・抜糸の際には痛みがありますが、適切な麻酔薬を使うことで痛みを軽減できます
・抜糸後も痛みが続く場合、歯を装着した後や数年後に痛みが現れる場合は、早めに受診しましょう
インプラントで痛みが生じやすい場合は?
インプラント手術で痛みが生じやすいケース、生じにくいケースはあります。どのような場合かを、説明していきます。
治療範囲が広い場合や、インプラントの本数が多い場合
治療範囲が広い場合や埋め込んだインプラントの本数が多い場合は、痛みが強く出る傾向にあります。
これは歯茎を切開した箇所が多いと、より痛みが強くなることに関係しています。
あごの骨が薄い場合
あごの骨が薄い場合は、歯根にあたるインプラントの金属をそのまま入れられない場合があります。
この場合はあごの骨を増やす手術が必要になることがあり、手術後の痛みも増す傾向にあります。
手術後、飲酒や激しい運動、熱い風呂に入る等をした場合
健康な人が手術を受けた場合でも、手術後に飲酒や激しい運動をしたり、熱い風呂に入ったりするとズキズキとした痛みが出ることがあります。
血の流れが良くなると痛みが増しますので、辛い食べ物等の刺激物も避けましょう。
・あごの骨が薄い場合は骨を増やす手術をするため、痛みが増す原因になります
・健康な人でも飲酒や激しい運動をする、熱い風呂に入る、刺激物を取ることは、痛みが強くなる原因となります。
インプラントの手術で痛みを少なくするには
インプラントの手術はどうしても痛みが出てしまうものですが、痛みが少ないことにこしたことはありません。
インプラントの手術後に痛みを少なくするには、守っておきたいポイントがいくつかあります。このポイントについて、説明していきましょう。
出された薬はきちんと飲みましょう
副作用を心配するあまり、痛み止めを飲まずに我慢する人もいるようですが、それは良くありません。
処方されている鎮痛薬は用法・用量を守っている限りは安全なものですから、我慢せずに飲みましょう。
また、抗菌剤や消炎剤が処方されている場合は、必ず飲みきるようにしてください。
きちんと薬を飲まないと、腫れや痛みが治まらなかったり、化膿したりする可能性もあります。
手術したところは触らないようにしましょう
手術したところはどうしても気になるものですが、なるべく触らないようにしましょう。
あまり触ると、腫れや痛みがひどくなる原因となります。
手術後1ヶ月程度は、手術をした歯で噛むことは避けましょう
インプラント手術後1ヶ月間は、手術で埋めたインプラントがあごの骨に固着するための大切な時期です。
この間はなるべく手術をした歯で噛むことは避け、柔らかいものを食べるようにしてください。
できれば禁煙。飲酒や激しい運動等は、歯科医と相談を
飲酒や喫煙、激しい運動などは、腫れや痛みの原因となります。このため、手術後の腫れや痛みが治まるまでは避けましょう。
またいつから始めて良いかは、歯科医と相談してください。
特に喫煙は、傷の治りが悪くなる原因となりますので、インプラントの手術には良くありません。
できればこの機会に、手術1ヶ月前から禁煙すると良いでしょう。
毎日の歯の清掃を丁寧に行いましょう
インプラントの手術後は、きちんと歯の清掃を行う必要があります。
この際、歯ブラシだけの清掃では不十分で、歯間ブラシやデンタルフロスで歯と歯の間の汚れをきちんと落とす必要があります。
特にインプラントの場合は歯と歯の間に加えて、人工の歯と歯ぐきの境目に汚れがたまりやすい傾向にあります。
そのため、この部分をしっかりブラッシングする必要があります。
日々の歯の清掃方法については、歯科医から指導があるはずですので、毎日きちんと清掃するようにしましょう。
・手術後1ヶ月程度は、手術した歯で噛まないようにしましょう
・歯科医の指導に従い、歯の清掃を毎日、きちんと行いましょう
・喫煙されている方は、この機会に禁煙をおすすめします
手術自体はそれほど痛くない!術後痛みがあれば相談を!
問題なく治療が進めば、インプラントを手術した際の痛みは歯を抜く程度であり、それほど強い痛みではありません。
その痛みも数日で治まります。抜糸時の痛みも表面麻酔で対応できます。
そのため、耐えられない痛みやいつまでも続く痛みは、歯科医の受診が必要です。
痛みを少なくするには、患者も注意すべき点があります。
薬をきちんと飲む、手術したところを触らない、手術後数日は飲酒や激しい運動、熱い風呂に入らないといった点です。
治療を円滑に進めるために、ぜひとも守っていただきたいところです。
また、インプラントの手術後は歯科医から歯の清掃について、指導がされるはずです。
歯の清掃はインプラントを使い続ける上で極めて重要であり、清掃をきちんと行わないと、数年後にインプラント周囲炎による痛みや腫れが発生する原因となります。
インプラント周囲炎はインプラントを失う原因ともなりますので、きちんと歯の清掃を行い、予防することが何よりも大切です。
インプラント治療には、痛みも含めた全体の注意点が、たくさんあります。
医師としてまず考えたいのは、現在かかっているお体の病気です。
糖尿病や高血圧の場合、麻酔の専門医師などによるサポートを受けるか、そもそも治療のできないケースがあります。
処方されているお薬も同様、とくに高齢者の方で骨粗相症の薬などを処方されていると、適応が難しくなってきます。
ご自身の病名やお薬の種類がわからなければ、通っている医院や薬局のお名前をお知らせください。
こちらで連絡を取り、確認いたします。
ほかにも、不明点がございましたら、遠慮なく医師におたずねください。
不安を払しょくしてから、治療に入っていきましょう。
監修ドクター:野苅家 清 歯科医師 のかりや歯科 院長
インプラントの埋込手術でおすすめの歯医者さん 関東編
のかりや歯科
出典:http://www.hikifune.jp/
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