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スウィート病
高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

スウィート病の概要

スウィート病は、発熱と痛みをともなう紅斑(こうはん:赤い湿疹)が特徴的な病気です。「急性熱性好中球性皮膚症」とも呼ばれています。発症は中年の女性に多く見られ、まれに子どもや高齢者での発症例も報告されています。

スウィート病の多くは原因が分からないものの、血液のがんや炎症性腸疾患などの病気に続いて発症したり、特定の薬の使用がきっかけとなって発症したりすることが分かっています。症状は皮膚の変化だけでなく、発熱や関節の痛み、目の炎症など、全身にさまざまな形であらわれます。

スウィート病は主にステロイド薬による治療が行われ、多くのケースで症状の改善が期待できます。原因となっている基礎疾患がある場合は、その治療も併せて行うことが必要です。

スウィート病は早期発見と早期治療によって、予後を良好にすることが可能ですが、再発する場合もあるため、定期的な経過観察が必要になります。

スウィート病の原因

スウィート病の多くは原因が分かりませんが、血液由来のがんや炎症性腸疾患、自己免疫疾患などの基礎疾患に続いて発症するケースもあります。

具体的な基礎疾患としては、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫などの血液のがん、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性疾患、関節リウマチや橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患などが挙げられます。

また、薬物が原因でスウィート病を発症することもあります。とくに、白血球を増やす作用のある「顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)」という薬や「ミノサイクリン」などの抗生物質、高血圧の薬、てんかんの薬などが原因となることが報告されています。
これらの薬が原因の場合は、薬の使用を中止することで症状が改善することが多いです。

スウィート病の前兆や初期症状について

スウィート病の前兆は風邪の症状や上気道炎などです。前兆がでた数日〜4週間後に高熱が出て、同時に皮膚に浮腫性の紅斑(赤い湿疹)が生じます。紅斑は10〜25mm程度の大きさで、触ると痛みがあり、主に腕や顔、首、胸、背中などによくあらわれます。中央がくぼんだり、まれに潰瘍を形成したりすることがあります。

(出典:あたらしい皮膚科学「3.Sweet症候群」

他にも、関節や筋肉、頭の痛み、全身の倦怠感などの症状もあらわれることがあります。一部の症状では、目の充血や口内炎などの症状も見られることがあります。

スウィート病の検査・診断

スウィート病の診断では主に皮膚生検と血液検査が行われます。
皮膚生検は、紅斑の一部を採取して顕微鏡で調べる検査です。採取した組織のなかにスウィート病特有の変化が生じている場合は確定診断につながります。

また、血液検査では、CRPや白血球などの炎症の程度を示す値を調べます。スウィート病では通常、これらの値が高くなるため、血液検査の結果は、治療の効果を確認する際にも役立ちます。

さらに、スウィート病は他の病気と関連して発症することがあるため、必要に応じて胸のレントゲン検査やCT検査、その他の検査が行われることもあります。

スウィート病の治療

スウィート病の治療の中心となるのは、ステロイド薬による薬物療法です。重症例では飲み薬として、軽症例では塗り薬として使用します。飲み薬の場合は、最初は多めの量から始めて、症状の改善に合わせて徐々に量を減らしていきます。

ステロイド薬は効果的な治療薬ですが、長期間使用する場合は副作用に注意が必要です。副作用によりステロイド薬が使えない場合や、より治療効果を得たい場合には、他の種類の薬を使うこともあります。

また、薬が原因でスウィート病を発症した場合は、その薬の使用を中止するように指示します。また、他の病気が原因となっている場合は、その病気の治療も合わせて行う必要があります。

スウィート病になりやすい人・予防の方法

スウィート病は中年の女性に多く発症する病気です。また、血液の病気がある方や、炎症性腸疾患、自己免疫疾患のある方で発症しやすいことが分かっています。

スウィート病は遺伝性のものではなく、特定の生活習慣が原因で起こるわけではないため、予防法が確立されていません。ただし、原因になる薬が分かっている場合は、その薬の使用を避けることで予防できる場合があります。

疑わしい症状が出た場合は早めに医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。


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