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井林雄太

監修医師
井林雄太(田川市立病院)

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大分大学医学部卒業後、救急含む総合病院を中心に初期研修を終了。内分泌代謝/糖尿病の臨床に加え栄養学/アンチエイジング学が専門。大手医学出版社の医師向け専門書執筆の傍ら、医師ライターとして多数の記事作成・監修を行っている。ホルモンや血糖関連だけでなく予防医学の一環として、ワクチンの最新情報、東洋医学(漢方)、健康食品、美容領域に関しても企業と連携し情報発信を行い、正しい医療知識の普及・啓蒙に努めている。診療科目は総合内科、内分泌代謝内科、糖尿病内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、精神科、整形外科、形成外科。日本内科学会認定医、日本内分泌学会専門医、日本糖尿病学会専門医。

びまん性脱毛症の概要

びまん性脱毛症は、頭皮全体にわたって均等に髪の毛が薄くなる状態を指します。この状態は、特定の部位に限定されず、頭全体の髪が薄くなるため、多くの方にとって見た目の変化が気になる傾向にあります。びまん性脱毛症は、特に女性に多く見られ、さまざまな原因によって引き起こされることがあります。

びまん性脱毛症の原因

ホルモンバランスの変動

妊娠と出産
妊娠中や出産後には女性ホルモンの急激な変動が起こります。特に出産後は、ホルモンレベルの急速な低下が見られ、これが脱毛を引き起こすことがあります。

更年期
更年期に入るとエストロゲン(女性ホルモン)の減少が見られ、これが髪の成長サイクルに影響を与えることがあります。

栄養素の不足

鉄分不足
鉄分は赤血球の健康に不可欠であり、赤血球は全身の酸素供給に関与しています。鉄分が不足すると髪の毛の成長に必要な酸素が十分に供給されず、脱毛につながることがあります。

タンパク質不足
髪の主成分であるケラチンの生成にはタンパク質が必要です。不足すると髪の成長が阻害されます。

精神的・身体的ストレス

重大な生活の変化
職場の環境変化、家族の問題など、大きな精神的ストレスが脱毛を引き起こすことがあります。ストレスはホルモンバランスにも影響を与え、髪の成長サイクルを乱す可能性があります。

疾患と薬剤

甲状腺機能障害
甲状腺ホルモンの異常は代謝に影響を及ぼし、脱毛の一因となることがあります。

薬剤の副作用
特定の薬剤による副作用として脱毛が報告されています。

びまん性脱毛症の初期症状について

初期症状の兆候

髪のボリュームの減少
髪をとかす際やシャンプー後に抜け毛が増えたと感じる場合、びまん性脱毛症の可能性があります。

髪の質感の変化
髪が細く、弱くなり、抜けやすくなることがあります。コシがなくなり、スタイリングが難しくなることも一つのサインです

頭皮が見えやすくなる
髪全体が薄くなるため、頭皮が透けて見えることがあります。

対応策と注意点

適切な診断を受ける
異常を感じたら、専門の医師に相談し、必要に応じて血液検査などを受けることが重要です。

生活習慣の見直し
栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動は健康な髪の成長をサポートします。ストレス軽減も重要です。

優しいヘアケア
頭皮や髪に負担をかけないシャンプーやコンディショナーを使用し、濡れた髪は優しく扱いましょう。

びまん性脱毛症の検査・診断

基本的な診断プロセス

詳細な医療面接
医師は患者の健康状態、生活習慣、ストレスレベル、家族歴などを確認します。

物理的検査
頭皮の観察を行い、炎症やかゆみ、皮膚病変がないかをチェックします。

主な検査方法

血液検査
鉄分不足、甲状腺機能障害、ホルモンバランスの問題を確認します。

髪の毛の引っ張りテスト
小さな髪の束を軽く引っ張り、抜ける毛の数を数えます。

頭皮生検
必要に応じて頭皮のサンプルを採取し、顕微鏡で分析します。

診断後のカウンセリング

診断が確定した後、医師は患者に病状や原因、治療オプションについて説明し、症状や生活習慣に合わせた治療計画を立てます。

びまん性脱毛症の治療

生活習慣の改善

バランスの良い食事
鉄分、ビタミンB群、亜鉛、たんぱく質など髪の成長に必要な栄養素をしっかり摂取します。

適度な運動
血行促進とストレス解消に有効です。

十分な睡眠
7~8時間の良質な睡眠を確保しましょう。

薬物療法

フィナステリドなどの処方
男性型脱毛症用の治療薬ですが、女性にも処方されることがあります。使用前には医師の診断が必要です。

その他の治療

頭皮マッサージ
血流を改善し、毛根に栄養が行き渡りやすくなります。

ストレス管理
リラクゼーションや趣味の時間を持ち、ストレスを軽減することで脱毛を防ぎます。

びまん性脱毛症になりやすい人・予防の方法

びまん性脱毛症になりやすい人

ホルモンバランスの変化を経験している人
妊娠、出産後、更年期など。

ストレスが多い生活を送っている人
長期的なストレスは脱毛の原因になります。

栄養不足にある人
鉄分、亜鉛、ビタミンB群が不足すると髪の健康が損なわれます。

予防の方法

バランスの取れた食事
タンパク質、鉄分、ビタミンB群、亜鉛を含む食品を積極的に摂取しましょう。

ストレス管理
瞑想、ヨガ、運動などでストレスを適度に発散します。

適切なヘアケア

頭皮に優しいシャンプーやトリートメントを使用し、頭皮マッサージで血流を促進します。

定期的な医療チェック
甲状腺機能など、健康状態を定期的に確認し、異常を感じたら早めに医師に相談しましょう。


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