監修医師:
井林雄太(田川市立病院)
目次 -INDEX-
あざの概要
皮膚の一部が異なる色をしていたり、状態がいつもの状態と異なっているものを一般的にあざと呼んでいます。色によって
・赤あざ
・青あざ
・茶あざ
・黒あざ
と呼ばれることがあります。
黒あざはほくろであるケースもあり、大きさはさまざまです。細かくあざを種類分けをすると以下になります。
あざの主な種類
1.単純性血管腫
赤ちゃんによく見られる赤いあざで、通常は出生後数週間以内に現れます。多くの場合、成長とともに自然に退色し、消失します。
2.血管腫
皮膚の下の血管が拡張し、青や紫のあざとして表れることがあります。これは触ると少し盛り上がっており、圧力を加えると色が薄くなることがあります。
シミやほくろのように、メラニン色素の局所的な蓄積によって生じるあざです。これには、カフェオレ斑や太田母斑などが含まれます。
あざの原因
あざの原因
1.遺伝的要因
生まれつきのあざは、遺伝的な背景が関係して
いることが多いようです。
例えば、「いちご状血管腫」は生後数週間以内に発生し、時間とともに消失することが一般的です。
2.外傷
皮膚にダメージが加わると、血管が損傷し、皮膚下に血液が溜まることで青あざが形成されます。
これは、打撲や急激な圧迫などによって起こります。
3.血管の異常
血管の発達が異常をきたすことで、皮膚表面にあざが現れることがあります。
これには、毛細血管拡張症や静脈湖などが含まれます。
4.ホルモン変動
妊娠や更年期など、ホルモンの変化が関係している場合もあります。
これにより、メラニンの生成が活発になり、色素沈着を引き起こすことがあります。
5.炎症後の変化
皮膚炎や傷跡が治癒する過程で、時に色素が残留し、後天的なあざとなることがあります。
あざの前兆や初期症状について
あざの初期症状の種類
1.色の変化
あざは赤、青、茶色、黒、紫など、さまざまな色で現れることがあります。赤いあざは、通常、血管の拡張によるもので、青や紫のあざは血液が皮膚下に溜まることで発生します。
2.形や大きさの変化
あざは小さな点から始まり、時間とともに大きく、または形が不規則になることがあります。
成長するあざやその形が急激に変わる場合は、医師の診察が必要です。
3.感触
あざは触ると平らであることが多いですが、中には盛り上がっているものもあります。
特に盛り上がったあざが硬く感じられる場合や、痛みを伴う場合は、医療機関での評価が推奨されます。
4.痛みやかゆみ
多くのあざは痛みを伴いませんが、かゆみや痛みを感じるあざもあります。
これは、あざの下の組織に炎症があるか、ほかの皮膚状態が関与している可能性があるためです。
初期症状への対応
あざが出現した場合、特に新しく現れたり、既存のあざが急速に変化したりする場合は、皮膚科専門医に相談することをおすすめします。
あざの多くは無害で自然に消失することもありますが、変化に注意を払い、適切な時に適切な対応をすることが重要です。
肌の健康を守るためにも、定期的な自己チェックを心掛け、異常を感じたら迅速に皮膚科の意見を求めましょう。
あざの検査・診断
あざの診断プロセス
1.病歴の聴取と診察
最初のステップとして、医師は患者さんの病歴を詳しく聴取し、あざの出現時間、発展過程、ほかの症状の有無などを確認します。
診察では、あざの大きさ、色、形状、境界、そしてほかの皮膚特性を評価します。
2.写真撮影
あざの変化を時間とともに追跡するために、初診時と定期的なフォローアップで写真を撮ることがあります。
これにより、あざが時間とともにどのように進行するかを視覚的に記録します。
3.皮膚生検
あざの性質が不明確な場合や、悪性の可能性が疑われる場合には、皮膚生検が行われることがあります。
これは、あざの小片を採取して顕微鏡で詳細に調べることにより、正確な診断を助けます。
4.画像診断
MRIや超音波などの画像診断技術を用いて、あざの深さや関連する血管の状態を詳しく調べることがあります。これにより、あざが周囲の組織にどのような影響を与えているかを評価できます。
検査後の対応
診断結果に基づき、あざが良性であれば定期的な観察が推奨される場合が多く、変化が見られた場合にはさらなる対応が必要になることがあります。もし悪性の可能性がある場合や、機能的な問題を引き起こしている場合は、適切な治療オプションが検討されます。
あざの検査と診断は、患者さん一人ひとりの状態に応じて異なります。何か気になる変化が見られた場合は、早めに医師に相談することが大切です。
あざの治療
あざの主な治療方法
1.観察と経過観察
多くのあざ、特に乳幼児に見られる血管腫などは、時間とともに自然に退色または消失することがあります。
これらの場合、積極的な治療を行わず、定期的な医療チェックで経過を観察します。
2.薬物療法
特定のタイプのあざには、薬物療法が有効な場合があります。
例えば、プロプラノロールという薬が乳幼児期の血管腫の成長を抑えるために使用されることがあります。
3.レーザー治療
色素沈着を減少させるためにレーザー治療が用いられることがあります。
レーザーは特定の色素に反応してこれを分解し、あざの外観を目立たなくします。
例えば、いちご状血管腫の治療に効果的です。
4.外科的手術
あざが身体的な機能障害を引き起こす場合や、悪性のリスクがある場合には、外科的な除去が考慮されることがあります。
これは、特に深い血管腫やほかの治療法では効果が不十分な場合に行われます。
その他の療法
冷却療法やタトゥー治療など、ほかの方法も特定の状況下で選択されることがあります。
これらの方法は、医師の厳密な監督のもとで行われます。
あざになりやすい人・予防の方法
あざになりやすい人の特徴
1.遺伝的要因
特定の種類のあざ、例えば血管腫や母斑は遺伝的な要因によって影響を受けることがあります。
これらのあざは生まれながらにして持っていることもあります。
2.皮膚の薄い人
皮膚が薄い人は、少しの外傷や圧力で血管が損傷しやすく、結果として青あざができやすくなります。
3.血液疾患がある人
血小板の異常や凝固障害など、血液に関連した疾患を持つ人は、通常よりも容易にあざができる傾向にあります。
あざの予防の方法
1.適切な皮膚保護
物理的な外傷から皮膚を守るために、スポーツや活動的な作業を行う際は適切な保護具を使用することが重要です。
例えば、バイクや自転車に乗るときはパッド入りの服を着用します。
2.健康的な生活習慣
健康的な食事は血液の健康を維持し、あざができにくくなることに寄与します。ビタミンCやKを豊富に含む食品をバランス良く摂取しましょう。
3.定期的な健康診断
血液疾患やほかの健康問題があざの原因になることがあります。定期的な健康診断を受けることで、潜在的な問題を早期に発見し、適切な治療を受けることができます。
4.紫外線対策
紫外線は皮膚の老化を促進し、皮膚が薄くなることであざができやすくなります。
日焼け止めを使用することで、皮膚を保護しましょう。
関連する病気
- 血小板減少性紫斑病
- 血友病
- ビタミンC欠乏症
- 血管炎
- 全身性エリテマトーデス
- 免疫性血小板減少性紫斑病
- 白血病
- 骨髄異形成症候群
- フォン・ヴィレブランド病
- エーラス・ダンロス症候群
- 糖尿病
- クッシング症候群
参考文献