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外耳道湿疹
五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

外耳道湿疹の概要

外耳道湿疹とは、外耳道の皮膚の表面に炎症が起こる病気の総称です。かゆみや痛み、耳の違和感などが主な症状としてあらわれます。外耳道の皮膚が赤くなったり、かさかさした状態になったりするのが特徴です。

外耳道(がいじどう)は、耳の入り口から鼓膜(こまく)までの約2.5㎝の通り道です。

音をキャッチして脳に伝える働きをする、鼓膜までのトンネルと同じ役割を果たすのが、外耳道です。また、外耳道で耳垢(みみあか)がつくられることで、外からの異物や細菌の侵入を防いでいます。

外耳道の皮膚はとても薄く、デリケートな組織でできています。通常は自浄作用(体が自分で掃除する力)により健康な状態が保たれていますが、様々な要因によってバランスが崩れると、湿疹などの炎症を起こしやすくなります。

症状が悪化すると、炎症がある場所から透明な液体が出てきたり、その後にかさぶたが形成されたりします。慢性的な経過をたどることも多く、同じような症状を繰り返す場合もあります。

外耳道湿疹の原因

外耳道湿疹の原因は、大きく4つに分けられます。

1つ目はアレルギーによるものです。ピアスやイヤリングに反応したり、化粧品が耳に入ったりすることが原因になります。刺激性のある液体の付着や金属類の接触、綿棒で奥まで掃除することで外耳道の皮膚の炎症を起こす可能性があります。

2つ目として、ホコリやダニなどのアレルゲンが発症のきっかけとなる場合もあります。

3つ目は、生活習慣です。シャンプーやプールの水が耳に残ると炎症を引き起こすことがあります。また高温多湿の場所で過ごすことや、耳を掃除しすぎて皮脂が減ることも原因となります。

4つ目は、心身のストレスです。ストレスで体調が崩れたり、睡眠不足が続いたりすると、かゆみを誘発する場合があります。

上記の原因が重なると、症状がさらにひどくなるかもしれません。たとえば、暑い夏に毎日プールに通ったあとに、耳かきを頻繁におこなうと湿疹が悪化するケースです。

外耳道湿疹の前兆や初期症状について

かゆみは、外耳道湿疹の代表的なサインといえます。耳の中がむずむずして、指や耳かきでかきたくなるかもしれませんが、かくことで症状が悪化する悪循環に陥りやすいため、注意が必要です。

皮膚の赤みも見られやすい症状の一つです。医師が耳の中をのぞく専用の器具(耳鏡:じきょう)で耳の中を診察すると、通常はピンク色の外耳道が赤く充血している状態が分かります。赤みと同時に、耳の中のカサカサ感や、ヒリヒリとした痛みを感じる場合もあります。

また、耳垢の性質が変わるのも特徴的です。通常は蜜蝋(みつろう)状の黄色い耳垢ですが、湿疹が起きると白っぽくポロポロとした状態に変化することがあります。

外耳道湿疹の検査・診断

外耳道湿疹の適切な治療のためには、医師による正しい診断が大切です。

耳鼻咽喉科では最初に、耳鏡(じきょう)を使って外耳道の様子を観察します。皮膚の赤みやただれ、むくみなどを細かくチェックし、耳垢の状態も確認します。

次に、症状がいつから始まり、どのように変化してきたのかを聞き取ります。かゆみの強さ、痛みの有無、耳の聞こえ方の変化など、さまざまな観点からの状態把握が必要です。必要時には、アレルギー検査や細菌検査なども実施されます。

外耳道湿疹によく似た病気も存在します。細菌による感染症(外耳炎)は痛みが強く、かびによる感染症は粘り気のある耳だれが特徴です。

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下している人に多く見られ、全身に症状が現れるのが一般的です。かゆみを伴う湿疹が特徴で、皮膚の乾燥や赤み、ブツブツが現れることがあります。

かゆみが1週間以上続く場合や、痛みを感じたり、耳だれが出たり、音が聞こえにくくなったりした時は、すみやかな受診が望ましいでしょう。

外耳道湿疹の治療

外耳道湿疹は、症状の進行具合や原因に合わせた治療が行われます。

治療の中心は、炎症を抑える外用薬です。耳の中に塗る薬やスプレーは、皮膚の赤みやはれを改善する効果があります。かゆみがひどい場合は、抗アレルギー薬が飲み薬として処方されます。

自宅でのケアも症状の改善に大切な役割を果たします。耳の中を清潔に保つことが基本ですが、耳かきの使いすぎは逆効果になりかねません。お風呂上がりには、耳の周りの水分をタオルでやさしく拭き取る程度にしましょう。

生活習慣の見直しも大切なポイントです。長時間のイヤホン使用を控えたり、プールで泳いだ後は、強い刺激を避けながら耳の水気をしっかり取ったりするなど、日々の心がけが症状の悪化を防ぎます。

多くの場合、治療を始めてから2~3週間ほどで症状は改善してきます。症状が落ち着いても、医師の指示した期間は薬を使い続けることが重要です。自己判断で治療をやめてしまうと、症状が繰り返し出てくる可能性があるからです。

外耳道湿疹になりやすい人・予防の方法

外耳道湿疹の発症や再発を避けるには、日ごろからの体調管理と生活習慣の見直しが大切です。発症リスクを高める要因を知り、上手に予防していきましょう。

アレルギーを持つ人や、皮膚が敏感な人は外耳道湿疹になりやすい傾向がみられます。過去に湿疹が出た原因と思われるものは、できるだけ耳の皮膚に触れないよう気を付けてください。

また、耳かきを頻繁に使う習慣や、イヤホンの長時間使用、水泳などの水に触れる機会の多い生活も、発症リスクを高める要因といえるでしょう。

予防のためには、耳の中の清掃は必要最小限にとどめ、シャワー後は耳の周りの水分をていねいに拭き取る方法が効果的です。イヤホンの長時間使用を避け、耳に強い刺激を与えないよう気をつけましょう。

耳の健康状態を定期的にチェックし、かゆみや痛みなど気になる症状が出たら、早めの受診が必要です。一度症状が出た場合は、原因となった生活習慣を振り返り、改善を意識しながら過ごすことで再発の予防ができます。


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