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大腸がんで死ぬのはもったいない! 予防のための3つの方法【石川秀樹先生】

予防医療普及協会とは

がんの死亡数を部位別にみると、大腸がんは女性で第1位、男性でも第3位と高い順位になっている。
しかし、予防医療普及協会 顧問の石川秀樹先生は「大腸がんで死ぬのはもったいない。他のがん検診の狙いが早期発見・早期治療であるのに対し、大腸がんは検査を受けるだけで、将来の大腸がんを予防することができる」という。
『大腸がんで死なないためにやるべき3つのこと』について、石川先生に詳しく聞いてみた。

石川先生
監修ドクタープロフィール:
石川 秀樹

1960年生まれ。医師・医学博士。兵庫医科大学卒業後、大阪府立成人病センター、兵庫医科大学消化器内科、健康保険組合連合会大阪中央病院などを経て、2008年(平成20年)より医療法人いちょう会 石川消化器内科 理事長。

2007年~2009年、内視鏡で摘除できた大腸腺腫・早期大腸がんの患者311人を対象に、低用量アスピリン腸溶錠を投与するプラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験「J-CAPP」主宰。

現在、大腸腺腫・早期大腸がんの患者7,000人を対象に、遺伝子多型や食習慣、アスピリンによる予防効果を調査する「J-CAPP2」を主宰中。

 

【主な学術活動】
日本家族性腫瘍学会 理事
日本がん予防学会 理事長
日本がん疫学・分子疫学研究会 幹事
大腸癌研究会 世話人
日本家族性大腸腺腫症研究会 代表
京都府立医科大学 分子標的癌予防医学 特任教授

大腸がんでの死亡者数はアメリカより日本のほうが多い


編集部大腸がんで亡くなる人はそんなに多いのですか?

石川先生石川先生国立がん研究センターがん対策情報センターの2016年の統計では、がんの死亡数が多い部位は男性で肺がん、胃がん、大腸がんの順で、女性では大腸がんがトップです

編集部がんの中で大腸がんがそんなに多かったとは意外です。

石川先生石川先生以前は直腸がんと結腸がんを別のものとして統計をとっていたので、順位としてあまり上位に来なかったんですね。直腸というのはお尻に近い大腸を指し、結腸というのはそれよりも奥の大腸を指しますが、どちらも合わせて大腸ですから、件数を合計してみると意外に多いんです。
以前は大腸がんが多いということはあまり言われていませんでしたし、医師の間でも日本人の代表的な病気は胃がんで、大腸がんはアメリカやヨーロッパの人たちの病気だという認識がありました。
しかし、今はまったく逆です。アメリカの人口は日本の約3倍ですが、毎年大腸がんで死ぬ人数は日本人のほうが多いんです。

アメリカでは大腸内視鏡検査を1回無料にして大腸がんが激減

編集部驚きですね!日本とアメリカでは何が違うんでしょうか?

石川先生石川先生アメリカでは日本と違って医療費が高額なので、大腸内視鏡検査を受けると普通は日本円にして20万円くらい、高いところでは80万円くらいかかります。
それを50歳で国民全員が1回無料で受けられるようにしたところ、大腸がんが激減しました。

大腸は検診で「がんにならないようにする」ことができる

編集部大腸内視鏡検査を受けるだけでがんが予防できるということですか?詳しく教えてください

石川先生石川先生そうです。がんの予防には2種類あります。一次予防は「がんにならないこと」、二次予防というのは「がんになるのは仕方ないけれども、早く見つけてがんで死なないようにする」ということです。
胃がんも肺がんもそうですが、他のがん検診はがんを早期発見・早期治療する二次予防を目的としています。でも、大腸がんと子宮頸がんだけはちょっと話が違います。

編集部どんなところが違うのでしょうか?

石川先生石川先生子宮頸がんの場合は「前がん病変」というものがあって、がんになりそうであれば、その段階で取ってしまえば子宮頸がんになる前に治療ができます。大腸がんにも前がん病変があって、それが「腺腫(せんしゅ)」と呼ばれるものです。
腺腫というのはイボの形をした、いわゆるポリープなんですが、その腺腫は将来がんになる可能性があります。それを内視鏡で見つけて、がんになる前に取ってしまいます。これは一次予防、つまり「がんにならないようにする」ということです。
検診をするだけで一次予防ができるというのは、子宮頸がんと大腸がんだけなんです。

大腸がんの予防って、具体的にどうしたらいい?


編集部大腸がんにならないためには、いつ大腸内視鏡検査を受ければいいんでしょうか?

石川先生石川先生健康診断や大腸がん検診の便潜血検査で結果が陽性(便に血が混じっている)と言われたら、すぐに大腸内視鏡検査を受けるべきです。しかし、陽性でも内視鏡検査を受けない人が結構多いんです。それが一番よくないですね。

編集部私はまだ陽性だったことはありませんが、その気持ち、なんとなくわかる気がします

石川先生石川先生どこかから血が出ていたということで、本人は微妙にストレスを抱え続けます。「病気かな」「検査を受けるのは嫌だな」「だけど、なんか心配だな」と思いながら生きるのは非常によくないですよね。そんな中途半端な状態の人がたくさんいます。
先ほどお話ししたアメリカに比べると日本は検査の費用が安いですが、保険が効かない人間ドックなどで大腸内視鏡検査を受けた場合は約3万円程度かかります。便潜血検査が陽性ならば、それを保険診療で受けることができ、3割負担として7,000円くらいで済みます。保険で安く受けられるので、むしろお得だと思えばいいんです。

大腸がんを気にしたほうがいいのは何歳から?


編集部大腸がん検診は何歳から受ければいいのですか?

石川先生石川先生便潜血検査を毎年受けるのもいいのですが、50歳を過ぎたら一度は大腸内視鏡検査を受けておくといいですね。50歳の時点で内視鏡検査を受けて腸がきれいであれば、大腸がんの心配は当分ありません。

編集部それは知りませんでした!だったら一度受けておこうという気になりますね

石川先生石川先生毎年検診を受けたほうがいい病気もありますが、一度検査を受けてどのくらいリスクがあるかを調べ、そのあとはしばらく検査をしなくてもいいのか、それとも一定の間隔で丁寧に検査をすべきなのかを分けていくほうがいい病気もあります。
胃がんや大腸がんなどはリスク評価ができる病気ですから、きちんと評価をして、検査を頻繁に受けなくてもいい人を見分けることも、検診の中では大切です。

気になる症状や遺伝、こんな人は早く大腸内視鏡検査を受けよう!

編集部こんな症状の人は大腸がんの可能性がある、というような兆候は何かありますか?

石川先生石川先生もちろん進行がんになればお腹が痛くなったり出血したりしますが、早期の大腸がんでも、腹痛や便秘、下痢など過敏性腸症候群と似た症状が現れることがあります。症状だけで過敏性腸症候群だろうと判断して内視鏡検査をしないと、がんを見落とす可能性があります。その意味でも一度大腸内視鏡検査をやっておくことは大切です。
腸の中がきれいだということがわかると、それだけで腸がリラックスして過敏性腸症候群の症状が良くなる方もいますよ。

編集部大腸内視鏡検査は大腸がんのためだけではないんですね。他には大腸がんに気をつけなければいけない体質などはありますか?

石川先生石川先生遺伝性の大腸がんはいくつかありますが、その中でもリンチ症候群の人は日本におよそ30万人いると言われています。リンチ症候群というのは、両親のどちらからか、がんの原因となる遺伝子の傷を修復する能力が弱い遺伝子を受け継ぐので、その体質を持っていると胃がん、大腸がん、子宮体がんになりやすいことがわかっています。
ですから、もし身内に30〜40代の若い時にこれらのがんになった人が2、3人いれば注意したほうがいいですね。

検査の不安を解消!恥ずかしくない・痛くない・苦しくない


編集部大腸内視鏡検査を受ける前には下剤を何リットルも飲んで腸の中を空っぽにする必要があると聞きました。検査そのものよりもそれがつらかったという人もいて、なんだか不安なのですが・・・

石川先生石川先生最近の下剤は飲みやすくなって、量も少なくて済むようになっています。普段お通じのいい人なら、コップ2杯程度の下剤と水分摂取で済むこともありますよ。きれいになったかどうかは看護師さんに見てもらわなくても、用意してある写真と見比べて自分で判断することもできます。

編集部それを聞いて安心しました。でも、検査を受けるときにお尻を見られるのは恥ずかしいという人も多いのでは?

石川先生石川先生そんなことはありませんよ。今はほとんどの医院でおしりにスリットの入った専用の検査着が採用されていますので、そのまま内視鏡を入れることができます。
検査自体も胃カメラほど苦しいものではありませんが、麻酔で鎮静をかければ寝ている間に検査が終わってしまいます。
昔は医師も内視鏡を一人前に扱えるようになるまでひと苦労でしたが、今は検査機器も格段に進歩しているので、安全に安心して受けられると言っていいでしょう。

大腸がんのリスクを減らすたったひとつの方法は「運動」

編集部検査以外に日常の生活で何か気をつけたほうがいいことはありますか?

石川先生石川先生たばこはもちろんダメですが、お酒も飲めば飲むほど良くないです。食べ物では魚や鶏肉はいいのですが、牛肉、マトンなどは食べ過ぎると良くないとされています。特に大量摂取を避けたほうがいいのはハム・ソーセージなどの加工肉です。
食物繊維はいいとされていますが、たくさん摂れば摂るほどがんにならないという魔法の食べ物ではありません。

編集部いま挙げていただいた良くないものを一切とらないというのはなかなか厳しいですね・・・何かいい方法はありませんか?

石川先生石川先生そうですよね。お酒もほどほどは飲みたいし、たまには牛肉も食べたい。幸いなことにそれをチャラにすることができる救いの道があります。

編集部えっ!それはぜひ知りたいです。どうすればいいんですか?

石川先生石川先生その答えが「運動」なんです。
日本人で一般的な食生活をしている人が食事でさらに健康になろうというのは無理です。足りないのは何かというと運動なんですね。具体的には毎日30分程度は早足で歩いて、週に1〜2回はテニスや水泳くらいの運動強度で汗を流すことが必要です。

編集部やっぱり健康のためには運動が一番なんですね。石川先生、ありがとうございました。

編集部まとめ

いかがでしたか?
『大腸がんで死なないため』には3つのポイントが重要なことがわかりました。
①健康診断やがん検診の便潜血検査で陽性だった場合は、すぐに大腸内視鏡検査を受けましょう。そのほうが、保険適用で受けられるのでおトクです。
50歳になったら一度、大腸内視鏡検査を受けましょう。そこで腸がきれいなら、向こう10年は大腸がんの心配はありません。ポリープ(腺腫)があればその場でとってもらい、がんになるのを防げます。
③そして日頃の生活では、食生活にあれこれ悩むよりも運動が一番!
この3つを覚えておけば、もう大腸がんは怖くありませんね!一番よくないのは便潜血検査が陽性なのに、「次も陽性だったら受けよう」などと先延ばしにしてしまうこと。これは絶対にやめましょう。
大腸内視鏡検査を受けられる医療機関も増え、検査を受ける私たちも楽になってグッとハードルが下がっています。
予防のためにまずは大腸内視鏡検査、そして日頃の生活では運動も忘れずに!

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予防医療普及協会とは

2016年3月、経営者、医師、クリエイター、社会起業家などの有志を中心として発足。予防医療に関する正しい知見を集め、啓発や病気予防のためのアクションをさまざまな企業や団体と連携し、推進している。
これまでに胃がんの主な原因である「ピロリ菌」の検査・除菌啓発を目的とした“「ピ」プロジェクト”や、大腸がん予防のための検査の重要性を伝える“「プ」プロジェクト”を実施したほか、病気予防のための自己管理サービス「YOBO(ヨボウ)」をリリース。各診療科の専門医、歯科医など診療科や研究の専門領域を横断した医師団が集い、活動をサポートしている。
今後、「ピ」、「プ」プロジェクトに引き続き、子宮頸がん検査、HPVワクチンに関する正しい情報の発信、普及啓発を目的とした「パ」プロジェクトを実施予定。
一般社団法人 予防医療普及協会
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-33 プリンス通りビル2階
TEL:03-5226-1086 (10:00~17:00)
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