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虫歯がないのに総入れ歯になる!? 歯を失う原因1位は歯周病だった【村上知先生】

予防医療普及協会とは

成人の約80%が罹患しているといわれるほど蔓延している歯周病。
ちゅうりっぷ歯科の村上 知先生は、『歯周病による慢性炎症が続けば、糖尿病を悪化させ、動脈硬化から心疾患や脳血管疾患を引き起こし、全身の疾病につながってしまう』と警鐘を鳴らす。また、『将来的に多くの歯を失って入れ歯になるだけでなく、口臭の原因となるなど、QOL(Quality of Life=生活の質)を低下させることを知ってもらい、歯周病予防の重要性を訴えたい』という。そのあたりを詳しく伺った。


監修ドクタープロフィール:
村上 知(むらかみ・とも)

朝日大学歯学部卒業。その後、岡山大学歯学部附属病院小児歯科学講座入局、総合病院歯科勤務、分院長勤務を経て、「お子様からご高齢の方まで理想的な治療を提供したい」との思いから、平成23年、岡山市にちゅうりっぷ歯科開業。“歯周病予防から全身を守る”を主軸に、小児期からの矯正治療での咬合育成、最小限の生体への侵襲での治療を目指し、マイクロスコープを用いた精密診療を軸とした診察にあたっている。

平成24年~インターナショナル岡山歯科衛生専門学校小児歯科学講師
平成27年~歯科医師臨床研修指導医
平成29年~岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野所属
~医療法人ちゅうりっぷ理事長就任
平成30年~一般社団法人予防医療普及協会理事就任

『虫歯が無いから歯医者行かない』人ほど歯周病リスクが高い


村上先生みんな虫歯で歯がなくなると思っているけど、実は総入れ歯の人はほぼ全員、歯周病が原因なんです。
編集部えっ?むし歯が原因で歯がなくなって入れ歯になると思っていました・・・

村上先生昔はたしかに虫歯が原因で抜歯になる人が多かったのですが、今はマイクロスコープをはじめとする拡大下で精密治療が可能な診療機器や、治療技術の向上もあって再治療の繰り返しによって抜歯になるケースというのは以前より少なくなりました。
また、小児期のむし歯に関しては、減少傾向にあり、虫歯のせいで頻繁に歯科医院にかかることが少なくなったのはいいのですが、実は虫歯がないからといって『歯医者に行かなくていいや』と安心している人ほど、歯周病のリスクが高く危険です。
なぜなら、虫歯は歯に穴があいたり痛みが出たりすることによって気づくので、たいていの人は慌てて歯科医院を訪れますが、歯周病ははっきりとした自覚症状がないからです。
虫歯が原因の場合は1本ずつ歯がなくなるイメージですが、総入れ歯になる人の場合、歯周病で奥歯が同時に一気にやられて、そのあと前歯が一気になくなったケースが多いですね。
歯周病は症状が特にないうちに少しずつ歯の周りの骨が溶けて、ある日突然グラっと来ますが、そのときにはもう手遅れなんです。

編集部たしかに、どこか痛くなったり歯が欠けたりした時にしか歯医者に行かないです・・・

村上先生歯周病も生活習慣病といわれるものの一つですが、慢性炎症は痛くならないから余計にそうなりがちですね。同じ生活習慣病の高血圧って痛くないですよね。血糖値が高くても痛くない。でも、少しずつ血管がダメージを受けて、である日、突然血管が破裂しちゃう。
それに、高血圧も糖尿病も治療していくと「数値が安定してきましたね」とは言っても、「治った」とは言いませんよね。歯周病もそれと同じで、治療した後も歯周ポケットや歯肉の出血状態、プラークの付着状態を常に低い状態に安定して維持していくことのほうが大事になってきます。

歯周病菌は万病のもと。脳卒中や心筋梗塞になった例も

編集部怖いですね! 詳しく教えていただけますか?

村上先生歯肉って赤いですよね。それは歯肉には血液が流れている毛細血管がたくさん集まっているからです。すべての歯に深さ5mmの歯周ポケットがあるとして、それを全部合わせると手のひらと同じくらいの広さのところが炎症を起こしていることになります。
汚れている口の中には1兆もの菌がいるといわれていますから、その傷口から悪性度の高い歯周病菌が血液中に何億と流れ込んでいきます。
歯周病菌が血管の内部を傷つけると血栓ができやすくなります。実際に歯周病があると心筋梗塞は3~4倍多いというデータもあります。
また、糖尿病の場合は歯周病からの炎症細胞が血糖値を下げるインスリンを壊してしまいますし、細胞の中の糖を取り込む作用を阻害するといわれています。
糖尿病専門医の先生方からも、歯周病を治療しないとなかなか血糖のコントロールがよくならないという声を聞きます。

歯周病予防の正解はコレ!プロの定期クリーニングとデンタルフロスのセルフケア

編集部この歯科疾患実態調査の図について説明していただけますか?

村上先生厚生労働省の「歯科疾患実態調査」平成28年のグラフですが、85歳を過ぎて自分の歯が20本以上ある人の割合は約25%です。残りの75%は入れ歯がないと満足に食事ができていません。みんな歯を磨いているにもかかわらずですよ。
つまり、歯ブラシだけでは予防には全然足りないということです。歯を失う主な原因となる歯周病の予防にクリーニングがいかに大切かということが正しく知られていないためともいえます。


編集部私は年に1回、歯医者さんでチェックしてもらっているのですが、それなら大丈夫ですか?

村上先生3か月に一度の頻度で歯科医院でのクリーニングを受けるのが理想といわれていますね。そうすれば病気になる前に原因除去に努め、病気の発生を防ぐ予防措置、つまり「一次予防」が可能です。
口の中の病気はまさにこの一次予防の対象で、そのほとんどは予防方法が確立されています。ですから、最低でも半年に一度は定期クリーニングを行いたいですね。

歯ブラシだけでなく、デンタルフロス、歯間ブラシもうまく使わないと歯周病は絶対に予防できない

編集部確かに1年に一度だと虫歯が出来たり、歯茎が腫れたりしていますね・・・(汗)

村上先生3ヶ月に一度クリーニングしていても、私たちがきれいにできるのは年に4回だけです。365日のうち361日はご自身でのプラークコントロールがカギになります。
皆さん歯ブラシで毎日磨いているのですが、肝心の歯と歯の間のプラークが取れていないという悲しい現実があります。ですから、歯と歯の間のプラーク除去は、デンタルフロス、歯間ブラシを使用しないとほぼ無理だと思ってください。

人生100年時代。歯周病予防と犬歯のかみ合わせが自分の歯の一生を決める


編集部歯並びが悪いと歯周病にもなりやすいと思うのですが、その関係について詳しく教えていただけますか?

村上先生かみ合わせの中でも特に犬歯は重要で、奥歯と奥歯が直接かみ合うのを防ぐ重要な役割をしています。八重歯などで犬歯がうまくかみ合っていないと、奥歯同士が直接ぶつかり合ってかみ合わせをするようになり、大きな負担がかかります。
そこへ歯周病を併発すると、あっという間に周囲の歯槽骨が溶けて進行してしまうケースがよくみられます。つまり、そのくらい理想的なかみ合わせは重要だということです。

最近発見された現代病?「噛みつづけクセ」に要注意

編集部初めて聞きました。「噛みつづけクセ」・・・ですか?

村上先生本来、唇を閉じて安静にしている上下の歯の間には、安静空隙(あんせいくうげき)と呼ばれる1-2mmの隙間があるのが正常な状態ですが、最近、唇を閉じていても歯を噛み続けるクセがあることがわかりました。これをTCH(Tooth Contacting Habit)といいます。
このクセがある人は、先ほどの犬歯のかみ合わせがしっかりしていないと歯周病の進行助長、歯や顎の痛みの原因になることはもちろん、側頭筋の緊張による片頭痛、首や肩のコリ、原因不明の耳鳴り、めまいなどを起こす可能性があるともいわれています。

編集部長時間パソコンやスマートフォンを使用すると首元が緊張してきますね

村上先生一種の現代病ともいえますね。うつむいて作業することで上下の歯が自然に当たってくることもこれらの症状を助長します。これらは歯を噛み続けることで急速に増えてきています。緩い力でもずっと歯を噛み続けて緊張状態にあることがよくないのです。
「噛みつづけクセ」への対策方法が大変ユニークで、「歯を離せ!」と書いた紙を家中に10か所以上に貼っておくことです(笑)。これは冗談のようですが本当の話で、こまめに意識して歯を離すことにつきます。
あまり知られていませんが簡単で大事な治療法の一つです。

大人になってからの矯正は大変。小児矯正のススメ

編集部正しいかみ合わせが大切といっても、大人になってからの歯の矯正はなかなかハードルが高いですよね

村上先生私もそう思います。だから小児期に治療しておいたほうが絶対に楽ですよね。
虫歯予防でお子さんを歯科医院に通わせるときに一緒に歯並びも矯正しておけば、健康に対する投資として費用対効果は抜群に高いと思います。今は光学スキャンといって、口の中を撮影したデータから3Dプリンターで模型を作って矯正装置を作ることもできるので、歯型を取るために材料を口の中に入れて気持ち悪い思いをする必要もありません。インビザラインといって透明なマウスピースタイプの全く目立たない装置もありますし、子どもたちはみんな楽に、きれいになると前向きに取り組んでいますよ。

編集部そういえば海外では子どものうちから歯を矯正していることが多いような気がします。それに「日本人は口が臭い」という話も聞いたこともありますが、欧米に比べると日本は遅れているんでしょうか。

村上先生口臭は「便秘」や「胃の病気」などの全身の病気で口臭がすると思っている人がいますが、そういうケースは実は少なく、一番の原因はやはり口の中にあるといわれています。
臭いの原因はニンニクなどの臭いのある飲食物を摂取したときなどは一過性のもので、常に臭いをだしているのは口腔内細菌が出す揮発性硫黄化合物で、卵が腐った臭いや野菜が腐った臭いがします。
またこれらの臭いを打ち消してくれる大きな役割をするのが唾液ですが、加齢とともに唾液が減少してきますので、きれいにしている方でも、油断すると出てくるのが口臭の難しいところといえます。
口臭の主な原因は歯周病であることは間違いのないところで、歯周病予防には、小児期からの定期メンテナンスとデンタルフロスと矯正治療が大切です。これからの日本人の意識と口の中を変えていきたいですね。

編集部まとめ

いかがでしたか?口臭の主な原因となるだけでなく、全身のさまざまな病気と関係があり、放置すれば多くの歯を失ってしまう歯周病。こうした事実はまだまだ知られていないのではないでしょうか。
しかも、「自分はちゃんと歯を磨いているから大丈夫」と思って安心していてはいけないようです。歯科医院でのプロフェッショナルによる定期的なクリーニング、そしてデンタルフロスや歯間ブラシを使った日常のセルフケア。この2つのどちらが欠けても歯周病は予防できません。
もうひとつ、小さなお子さんがいる親御さんにぜひ考えていただきたいのが小児期からの矯正治療の重要性です。歯周病予防と歯並びが「歯の一生」を決めるとのこと。
大人から子どもまで、これからは「歯医者さんは歯が痛くなったら行くところ」という考えを変えていく必要がありそうですよ!

予防医療普及協会とは

2016年3月、経営者、医師、クリエイター、社会起業家などの有志を中心として発足。予防医療に関する正しい知見を集め、啓発や病気予防のためのアクションをさまざまな企業や団体と連携し、推進している。
これまでに胃がんの主な原因である「ピロリ菌」の検査・除菌啓発を目的とした“「ピ」プロジェクト”や、大腸がん予防のための検査の重要性を伝える“「プ」プロジェクト”を実施したほか、病気予防のための自己管理サービス「YOBO(ヨボウ)」をリリース。各診療科の専門医、歯科医など診療科や研究の専門領域を横断した医師団が集い、活動をサポートしている。
今後、「ピ」、「プ」プロジェクトに引き続き、子宮頸がん検査、HPVワクチンに関する正しい情報の発信、普及啓発を目的とした「パ」プロジェクトを実施予定。
一般社団法人 予防医療普及協会
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-33 プリンス通りビル2階
TEL:03-5226-1086 (10:00~17:00)
http://yobolife.jp/
お問い合わせ:office@yobolife.jp

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