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血便は重大な病気のサイン!?原因を突き止めて適切な対処を 2018.09.30

この記事の監修ドクター:
春名 令子 医師(はるなクリニック副院長)

 血便の原因


血便は体内での異常を知らせてくれる貴重な情報源であり、血の色や混ざり方などの状態によっては重大な病気の存在を教えてくれます。
体内で出血が起こっていることを示す血便を見た時には慌ててしまう方も少なくないと思いますが、まずは冷静になって血の様子を把握するよう心がけましょう。
血便には、すぐに重篤な症状につながるものではないケースから緊急の対応が必要なものまで様々なケースがあります。
「血の出方がどういう状態か」ということが事の重大性の判断基準になりますので、しっかりと観察しましょう。
主な血便の原因には、痔・内臓の病気・ストレスの3つがあります。これら3つの原因が起こす血便がどういう状態で出てくるのかを以下にご紹介します。

 痔の鮮血

排便時に鮮やかな赤い血が出ている場合は、痔による出血が考えられます。
痔にはいくつか種類がありますが、便秘などにより硬くなった便が肛門の皮膚を傷つけて起こる「切れ痔」や、肛門と腸の境界付近の血管(静脈)がうっ血して膨らむ「痔核」ができると、排便時に出血を伴うことがあります。
切れ痔の場合は排便時に激しい痛みがあり、硬い便の表面に血が付着します。
一方痔核の場合は、うっ血して腫れあがった静脈が排便時にはじけてしまい、便の直前に出血します。一度痔核がはじけると再び腫れあがるまで出血が見られなくなります。
痔核は切れ痔とは違って痛みを感じることがほとんどありません。この点が後述する大腸がんの出血と似ているため注意が必要です。
痔による出血の特徴は、患部が肛門付近であるため血が新鮮で赤みが強く、短時間の断続的な出血になるため便の一部だけに血が混じることが多いことなどがあります。

 大腸がん・腸炎など消化器官の病気

血便は腸などの内臓からの出血によって起こることもあります。痔による出血は体外に近い場所で起こるため血便には鮮やかな赤色が付きます。直腸のように肛門に近い臓器からの出血でも鮮血が出ます。
一方、十二指腸などの体の上部にある臓器からの出血は体外に出てくるまでに時間がかかり、腸管内の硫化水素のはたらきによって便の色が赤黒くなります。こうした体の上部から出血する赤黒い便のことは厳密には血便と呼ばず、「下血」と言います。
これらの臓器での出血はじわじわと起こることが多く、便の全体に血が付着していたり、便の表面だけではなく内部まで血が混じっていたりします。
便がしっかりと固形の状態を保っていても見た目で明らかに黒く見える場合、100ml以上出血している可能性があります。このような状態の便が3日以上続いている場合は1,000ml以上もの出血が疑われ、いつ出血性ショックになってもおかしくない状態だと言えますので、すぐに病院へ行きましょう。
このように臓器からの出血による血便や下血は痔とは違う特徴があります。そして、こうした症状が見られた場合は重い病気の可能性も疑わなければなりません。
そこで、具体的にどういった病気が血便や下血を引き起こすのかを以下にご紹介します。

 胃潰瘍

ピロリ菌・非ステロイド系の鎮痛薬・ステロイド系の薬は胃の粘膜を傷つけてしまい、さらにそこへ多量の胃酸がかかると胃潰瘍が生じます。この胃潰瘍による出血が血便となって排泄されることがあります。
胃潰瘍が原因の血便は十二指腸から大腸まで長い時間をかけて移動してきますので、血の色に鮮やかさはなく、コールタールのような黒色の便となります。

 十二指腸潰瘍

胃と小腸の間にある十二指腸においても、胃潰瘍と同様にピロリ菌や鎮痛薬と胃酸などの消化酵素の相乗効果で粘膜が傷つけられると、血便が出ることがあります。血便の状態も胃潰瘍と似ており、黒色の強い便となります。

 大腸ポリープ

大腸の粘膜が腫れあがっていぼのようになったものを「大腸ポリープ」といいます。
この大腸ポリープは大腸の中でも下の方でできることが多く、大きさは1mm程度から数㎝まで様々です。小さいポリープでは自覚症状がほとんどありませんが、大きく成長してくると腸を通る排せつ物に刺激されて痛みを感じたり、出血して血便を生じたりします。
大腸の下部に生じたポリープが原因の血便は、出血から排泄までの時間が胃潰瘍などと比べて短く、血の色がやや鮮やかな赤色になります。
大腸ポリープは大きくなるとガン化することが多いので、見つかったポリープは切除することをおすすめします。

 大腸炎

直腸をはじめとする大腸の粘膜に炎症が起きる「大腸炎」でも、血便を生じることがあります。大腸炎のうち、「潰瘍性大腸炎」と「出血性大腸炎」について、以下にご紹介します。

 潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が起こって潰瘍ができることで発症します。体の免疫が関係していると言われており、何年もの間よくなったり悪くなったりを繰り返すことがありますので、治療にはとても根気が必要です。
潰瘍性大腸炎による血便では血液と粘液が混ざり合い、下痢のような便になります。

 出血性大腸炎

こちらは感染症などへの対策として抗生物質を摂取した際に症状が現れます。出血性大腸炎に罹ると、痛みの強い腹痛と何十回と頻発する下痢に悩まされます。

 大腸がん

大腸がんでも血便がでますが、排便後に出血するなど痔による血便と似ている部分があるため勘違いしてしまい、発見が遅れてしまうケースが多くあります。痔と大腸がんの血便との違いとしては、大腸がんの場合には便に血とともに粘液が混ざることなどがあります。
大腸がんは発症する場所によって自覚症状が異なります。結腸で起こるがんは初期のうちは自覚症状が出にくく、出血していても肉眼では判断が付きにくい場合がほとんどです。がんが進行してくると、体にしこりを感じる・便秘や下痢などの便通異常が出る・便が細くなるなどの症状が出ます。
大腸がんによる血便の場合、気付いたときにはある程度がんが進行している可能性がありますので、早めに病院を受診してください。

 ストレス

ストレスは実に様々な病気のファクターであることは多くの方に知られていることですが、血便についても例外ではありません。ストレス自体が血便を引き起こすわけではありませんが、血便の原因となる病気を悪化させることで間接的に出血を助長します。
たとえば「ストレスで胃に穴が開く」とはよく聞く言葉ですが、過剰なストレスによって自律神経系が乱れると胃酸が出すぎてしまい、胃潰瘍の原因になります。また、潰瘍性大腸炎をはじめとする上述してきた血便の原因となる病気がストレスで悪化することも指摘されています。
このようにストレスは血便のトリガーではありませんが様々な病気の症状を悪化させますので、ストレスフリーの生活を心がけることは健康のためにとても大切なことです。

 血便を伴う病気による体の症状

血便は重大な病気のサインである可能性があることをご説明しました。
しかし実際には、直腸がんと痔の血便は状態や症状がよく似ているため見逃されるケースが多いように、血便のみから病気を断定することは難しいものです。
血便に気づいた時点ですぐに病院へ行くことができればよいのですが、患部がデリケートな部分であるだけに通院をためらってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで次に、血便と併発しやすい腹痛・下痢・吐き気・血便が止まらないといった、ほかの症状から推定される病気についてご紹介します。

 腹痛

胃潰瘍・十二指腸潰瘍・大腸炎は、腹痛と血便(下血)の症状が現れます。
みぞおちがしくしくと痛む場合は胃潰瘍が、空腹時に持続的に痛む場合は十二指腸潰瘍が疑われます。先にも述べたように体の上部で起こるこれらの出血は正確には下血と呼ばれ、血便は黒色になります。
一方で大腸炎による出血では下血と比べて赤みの強い血便となります。潰瘍性大腸炎は病状が進行すると発熱も伴われます。

 下痢

下痢と血便を伴う病気としては、大腸炎と大腸がんが挙げられます。
大腸炎の血便は血液と粘液が混じりあい、しばしば膿も含まれます。出血性大腸炎では下痢が頻発します。
下痢と便秘が繰り返されたり便が細くなったりする場合は、大腸がんを疑ってください。大腸がんは初期症状の現れにくい病気ですので、血便と下痢が併発した場合は痛みやそのほかの体の異常がなくても病院へ行くようにしてください。

 吐き気

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は吐き気を伴うことの多い病気です。吐血することもしばしばあります。
また、大腸がんにおいてもまれに吐き気の症状が出る方がいらっしゃいます。

 止まらない

潰瘍性・出血性大腸炎では下痢状の血便が頻繁に起こります。特に出血性大腸炎の場合は、1週間以上もの間下痢が出続けることもあります。
また、初期の大腸がんは自覚症状が出ないことが多いですが、進行した大腸がんや直腸のがんでは出血の量が多く、続けて起こることもあります。

 気になる症状が出た時は病院で早めに治療を!

排泄物である血便については、たとえ身近な人であっても相談することは勇気のいることでしょう。しかしこれまでご説明してきたように、血便は大腸がんなどといった重病の可能性も示唆されるものですので、一刻も早く専門家に診てもらうことをおすすめします。
病院での検査や治療について事前にある程度知っておくことで通院のハードルは下がるものですので、これらについて以下にご紹介します。

 検査と診断の方法


一言に血便といってもそこから推定される病気は様々ですので、ひとつの検査方法ですべてがわかるわけではありません。血便がなにによってもたらされているのかを知るためには、血便の状態や患者さんの症状をもとに以下のような検査や診断が行われます。

 赤黒い便(下血)の場合

便がタールのような濃い色をしているときには胃や十二指腸からの出血が疑われますので、胃内視鏡検査が行われます。赤黒い便が数日間出ている場合は出血量が多くなっていることが考えられますので、内視鏡を挿入する前に出血性ショックの治療も行われます。

 より鮮やかな赤色の便(血便)の場合

便の色が鮮やかで腸内からの出血が疑わしい場合は、医師が肛門に指を入れて触診する「直腸指診」が行われます。大腸がんの中でも肛門に近い位置で起こる直腸がんのうち半数以上は、肛門から指が届く範囲に生じます。そのため直腸指診は大腸がんの可能性の一つを確かめるための簡便で確実な方法と言えるでしょう。

直腸指診で肛門付近の直腸がんの有無を確かめたあと、より詳細な検査が行われます。大腸の検査には以下のような方法があります。
【大腸内視鏡検査】
肛門から内視鏡を挿入して大腸全体を観察し、発見されたポリープを切除します。1㎝以下の小さなポリープでも切除可能ですので、将来のがんのリスクを減らすこともできます。
2年ごとを目処に大腸内視鏡検査を受けることで、様々な腸の病変を早期発見・早期治療することが可能です。
【大腸レントゲン検査】
肛門から造影剤を注入してレントゲン撮影を行い、大腸内に病変があるかどうかを観察します。内視鏡検査では見ることができない腸の屈曲部の内側や、がんによる腸壁の変形を観察することができます。
【便潜血検査】
便の中に血が含まれているかどうかを診る検査であり、簡単な方法でできる上に費用も抑えられるため、広く普及しています。
便潜血検査の大腸がんの発見率は80%程度と、絶対的な信頼性は期待できません。また将来がんになる可能性があるポリープへの感度は低く、この検査で陰性と診断されても内視鏡検査でがんやポリープが見つかることがあります。
病変の発見の面では内視鏡検査に劣りますが、簡易なこちらの検査で陽性反応が出た場合はなんらかの異常がある確率がとても高いと言えます。

 薬による治療

血便や下血を引き起こす病気のうちの胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃酸の分泌を抑える薬によって治療することができます。
潰瘍性大腸炎については、根治させることはできませんが症状を緩和させることのできる薬があります。潰瘍性大腸炎は長期間付き合い続けなければならない病気ですので、下記の薬をうまく使い、痛みの激しい時期を乗り切りましょう。
【5-アミノサリチル酸製剤(サラゾピリン・ペンタサ・アサコールなど)】
潰瘍性大腸炎の炎症を抑える薬で、治療の基本薬となります。
【副腎皮質ステロイド薬】
5-アミノサリチルサン製剤の効果が認められない場合には、ステロイド薬が使われます。炎症を沈めて免疫機能を抑えるはたらきがあります。
【免疫調整剤(ロイケリン・イムラン・サンディミン・プログラフなど)】
過剰な免疫反応を抑制します。ステロイド薬が効きにくい方に処方されます。
【抗TNFα受容体拮抗薬(レミケード・ヒュムラなど)】
炎症を起こすたんぱく質を阻害する効果があります。上記で挙げた治療法の効果が得られない方を対象に処方されます。
大腸がんの場合は、がん化した患部を切除できない時に抗がん剤が使用されます。抗がん剤治療を続けることで、取り除くことができなかったがんが切除可能になることもあります。
基本的な抗がん剤治療には3つの段階があり、患者さんの様子やがんの特徴によって治療方法を調整することになります。

 まとめ

便にみられる出血についてご説明しました。排せつ物に見られる異常は他人に相談することが恥ずかしく感じられ、病院へ行くことにも戸惑ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
しかしながら、血便は重大な病気のサインである可能性があります。便に血が混ざっていることに気付いたらすぐに病院へ行くようにしてください。
病院での検査の方法などがわからないと不安な気持ちが募ってしまいます。そんな時にこの記事でご紹介した情報をお役立ていただければ幸いです。

春名 令子 医師 はるなクリニック 副院長監修ドクターのコメント
血便に限らず便の色は大事です。ご自身の健康チェックにもなるので排便は毎回必ず確認していただきたいものです。
そのチェックをした時、簡単に血便と分かる程度なら病院へ行くと思いますが、実は目で見てもわからない「気がつかない血便」があることに注意をされるとよいと思います。
その目安となるのが「貧血」です。貧血を軽く見る方も多いのですが、少しずつ悪化している貧血に注目し、検便や大腸カメラの検査をしたところ、中には大腸ガンが見つかったケースもあります。
女性だと生理が原因で貧血になる場合もありますが、少しずつでも進行している方、閉経後の女性や男性で貧血の症状がある方は何故貧血になっているかに注意をしていただきたいと思いますし、血便と貧血はセットで見て大きな病気がないと思っても検診での血液検査もぜひ参考になさってみてください。
また痔と診断された方は、血便があっても痔が原因と簡単に考えて放置してしまいがちです。同じ出血なので+αの出血に気付かないこともありますが、全てが痔が原因の出血とは限りません。最初は痔と診断されても、いつポリープ、ガンに発展するかわかりませんので血便が続くときは勝手な判断はせず、定期的に診察を受けていただければ、隠れている出血の原因を早くに発見できる可能性があります。
 
監修ドクター:春名 令子 医師 はるなクリニック 副院長


 この記事の監修ドクター

春名 令子 医師 はるなクリニック 副院長

出典:https://www.haruna-clinic.com/
春名 令子 医師
はるなクリニック 副院長

PROFILE

1987年、関西医科大学卒業。
大阪府立病院小児科、大阪府門真保健所、神戸市北保健所、大阪市・神戸市非常勤医師を経て、2000年1月より現職。
子供のアトピーをきっかけに東洋医学を勉強し、日本東洋医学会漢方専門医を取得。