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あなたは大丈夫? 歯周病のセルフチェック

こんにちは。日本歯周病学会認定医の武内崇博と申します。みなさん、歯磨きをすると血が出る、歯がぐらぐらする、お口の臭いが気になる、そんなことはありませんか? 心当たりがある方、もしかすると歯周病の兆候が現れているのかもしれません。歯周病は歯を抜く原因の第1位である大変恐ろしい病気です。痛みなどの自覚症状が出にくく、気付いたら重症化しているケースもあり、我々は現場でショックを受けている患者さんをたくさん拝見します。歯周病は早期発見・早期治療・定期的メインテナンスが必要不可欠です。みなさんのお口の健康を守るため、今回は自分でできる歯周病のセルフチェックと題してお話ししようと思います。

執筆歯科医師
武内 崇博(日本歯周病学会認定医)

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歯科医師、歯学博士。東京歯科大学歯周病学講座講師(非常勤)。日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本顕微鏡歯科学会の各会所属。


 

 歯周病とは

そもそも歯周病とはどんな病気でしょうか。歯は歯周組織とよばれる4つの組織(歯肉=歯ぐき、歯槽骨=顎の骨、セメント質=歯の根を覆う硬い組織、歯根膜=歯と骨をつなぐ靭帯)に支えられています。歯周病はその4つの組織に起こる感染性の炎症性疾患のことをいいます。歯肉だけに起こるものを歯肉炎、その他3つの組織まで炎症が広がると歯周炎と定義され、総じて歯周病とよばれています。
歯周病の原因は細菌です。お口のなかには様々な細菌が存在しますが、特に歯周病の原因となる特定の細菌を歯周病原細菌と呼びます。炎症は体の防御反応であり、歯周病原細菌が歯肉に炎症を生じさせ、防御反応の結果、深い組織へと炎症が拡大していくことで進行していきます。
また歯周病は全身疾患と関与することが数多く報告されており、単にお口の中に限局した疾患というよりは、生活習慣病の一部で全身の様々な病気と関連する恐ろしい病気であると捉えられています。

 

 歯周病の症状

それでは歯周病になるとどのような症状がでるのでしょうか? 健康な歯肉は、一般的に薄いピンク色をしています。歯間乳頭とよばれる歯と歯の間の歯肉はかたく引き締まっていて、形状は三角形に近く、歯の際の部分である辺縁歯肉も鋭い扇状となり、歯面から滑らかに移行しています。
歯肉炎・歯周炎に躍患すると、歯周組織には炎症の徴候である、発赤、腫脹、熱感、疼痛のほかにも特有の臨床症状が現れます。
歯肉炎では、歯肉の腫脹と歯肉からの出血が認められるようになります。
炎症が拡がり歯周炎になると、歯と歯肉との付着が破壊され、結果として歯と歯肉との溝(歯肉溝)が深くなり、歯周ポケットとよばれる3 mm以上の深い溝が形成されます。歯周ポケットの検査には、プローブと呼ばれる目盛りのついた細い器具を歯周ポケット内に挿入し、深さを測ります。みなさんも一度は経験があるかもしれません。
さらに炎症が進むと歯槽骨の吸収がエックス線画像上でも認められるようになり、歯の動揺、歯の病的移動が起きます。歯周ポケットでは細菌が増殖し、歯肉縁下プラーク(バイオフィルム)を形成し、細菌の代謝産物により特有な口臭を生じます。また、歯周ポケットから膿が出たり、歯周膿瘍(膿のかたまりのようなもの)が認められるようになります。
極限まで炎症が進行すると歯を支える組織がなくなり、自然に歯が抜け落ちたりします。

 

 セルフチェック項目

歯周病は痛みなど激しい症状が出にくいのが特徴の一つであるため、発見が遅れることが多々あります。歯がぐらぐら揺れていることを自覚したときにはすでに遅く、抜歯の適応になってしまうことも少なくありません。そこでご自身でできるチェック項目を以下にまとめてみます。
 歯ぐきが赤く変色している
 歯ぐきが腫れている感じがする
 歯磨きをすると歯ぐきから血が出る
 歯磨きをするとチクチク痛い
 歯がぐらぐら揺れる
 歯が伸びてきた気がする
 歯並びが変わってきた
 お口のなかがネバネバする
 歯と歯の間に隙間ができてものがつまる
 お口の臭いが気になる、人から口臭を指摘されたことがある
さきほど述べた歯周病の症状は自覚症状として、このチェック項目のように現れます。気になる項目が一つでもあれば歯周病の可能性があるため歯科を受診し、一度検査を受けてみることをオススメします。

 

 歯周病と間違えやすい病気

歯周病と似た症状がでる病気がいくつかあり、さきほどのチェック項目に当てはまるような症状がでることがあります。例えば歯根破折といって歯の根が割れてしまったりすると、その亀裂に沿って細菌が内部に侵入するため歯ぐきが赤く腫れたり膿がでたりと歯周病と似たような症状がでます。ただ残念ながら歯根破折が起こった場合、割れた角度にもよりますが抜歯の適応になることがほとんどです。しかしそのまま放置すると骨の吸収が広がり、健康な隣の歯まで抜かなくてはいけなくなることもあり、歯周病と同じく、早期の発見が必要です。
また、広い意味では歯周病の一つですが智歯周囲炎といい、親知らずの生え方が悪く、一番奥に生えているため歯ブラシが届きにくく汚れがたまりやすくなることで炎症が生じます。親知らず周囲の歯肉が腫れたり膿が出たりと同様の症状が現れます。
いずれにしても歯科を受診し、歯科医師による診断を受けてみてください。

 

 まとめ

いかがでしたか? 歯周病は症状がわかりにくく、自分でも発見しにくい病気です。長い年月放置していると重篤になることが多く、多数の歯を抜歯しなければならなくなることも少なくありません。重症化すればするほど通院回数は増え、時間的にも経済的にも負担になってしまいます。逆に、軽度のうちに発見できれば日々のブラッシングを頑張るだけで回復することもあるため、チェック項目に一つでも心当たりのある方は歯科医院で歯周病の検査を受けてみませんか?

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