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歯周病で歯を失った場合どうなるの??

こんにちは、埼玉県浦和区の日本歯周病学会認定歯周病専門医が在籍する歯医者「ナカニシデンタルクリニック」院長の中西伸介と申します。
患者さんの歯を何とか残そうとして日々診療しておりますが、残念ながら歯をどうしても抜歯しなくてはいけない、もしくは何本か歯がすでに失われている、もう全ての歯がない状態といったケースに遭遇することがあります。
歯を失う原因も様々な原因がありますが、同様に治療法や考慮しなければいけないこともたくさんあります。
今回は歯周病で歯を失ってしまった場合にどのような治療を進めていくのかお話をしたいと思います。


 

 歯が失われる原因は?

厚生労働省の調査結果によると歯が失われる原因で最も多いのが歯周病です。
年代別に見ると40歳代から最も多い喪失原因となっています。次にむし歯、その他、破折、矯正の順です。このうちのその他は大半が智歯(親知らず)の抜歯で、比較的若い時期に抜歯されます。また破折の多くは、外傷など大きな力が作用したものではなく、神経をとった歯に起こったものと考えられますので原因はむし歯由来と言ってもいいかもしれません。
また割合でいうと歯周病と虫歯で抜歯の原因の4分の3近くを占めています。

 

 歯を失ったままにしておくと

歯がないところをそのままにしておくと短期的には大きな問題にはなりませんが結果的に残っている歯全体に悪影響を及ぼします。

  • 歯のない隙間の部分に隣の歯が傾斜してきてしまう、結果として歯並びが変わってしまい、噛み合わせのバランスも変化してしまう
  • 本来であれば噛み合う相手の歯が伸びてきてしまう
  • 歯並びが変わったことで義歯やブリッジ、インプラントを治療するためのスペースが失われてしまう
  • 歯ブラシが当たりづらくなった場所や噛み合わせとなる歯がない場所はプラークが停滞しやすくなり虫歯や歯周病の原因になりやすくなる

など長期的に見てみると様々な口腔内への悪影響があります。例外的に第二大臼歯など一番後方の歯がない場合にはそのままにするケースもあります。

 

 どの歯が失われやすい?

歯は奥歯から失われる傾向にあり、上顎より下顎でその傾向は強くなります。たとえば下顎の第一大臼歯(6歳臼歯)に注目すると、50歳前後で既に4人に1人は失われています。奥歯を失ってしまうと噛み合わせのバランスが変わってしまうので残った歯の負担が大きくなり、歯周病が進行してしまう原因にもなることがあります。歯周病で奥歯を失ってしまうとその分の負担が前歯にかかり、結果として前歯の病的な移動が起こってしまい、いわゆる出っ歯になるケースが多いです。

 

 治療法は?

歯がない部分(欠損部)への治療はブリッジや義歯、インプラント治療、歯の再植、矯正治療などが考えられます。
それぞれにメリット、デメリットがありますが、歯周病によって失われた口腔内の機能を回復させるためには適切な咬み合わせや見た目を回復させるだけではなく長期的に歯周組織を安定させて機能を維持することが大切です。

 

 治療法選択の考慮すべきポイント

歯周病が進行してしまった場合は歯を支える顎骨など周囲の歯周組織の支持が少なくなっているため安定した状態を維持することを考えなくてはいけません。細菌感染と力のコントロールを行うことが非常に重要になってきます。具体的にいうと歯周組織の炎症や咬合性外傷の検査を重視しなくてはいけません。歯周ポケットの深さや出血の有無、歯の揺れの大きさやレントゲン写真で歯を支える骨の量や歯根の長さなどを評価して治療法を選択していきます。また歯を失った理由を知ることも良好な予後を得るためには重要になってきます。歯周病が原因で歯を失ったとすれば咬み合わせや咬合性外傷の関与があったのかを調べる必要があります。

 

ブリッジ

ブリッジによる治療は支える歯のみで咬み合わせる力が負担されるために欠損の範囲や残っている歯の分布、削る歯の歯周組織の状態を考慮する必要があります。周囲の歯槽骨の支持が少ない場合には連結する範囲を増やすことによって固定していきますが、設計が不適切であったり清掃性が低いものだと新たな歯周病の誘発や進行の原因となります。

 

義歯

入れ歯の場合だと支える部分が歯だけでなく歯肉など粘膜にも負担が分散されますが金具で入れ歯を固定するため欠損している範囲が大きいと支える歯への負担も大きくなります。

 

インプラント

インプラントは支持力が大きいため残っている歯の負担を軽減できる場合もあります。またブリッジと比べて欠損している隣の歯を削ることも回避できますが支持力が強い分咬み合う相手の歯に外傷力として働くことがあり、噛み合わせには注意が必要です。また隣の歯から歯周病原因菌の感染のリスクもありますので歯周病治療は非常に重要になってきます。

 

歯の再植

条件が合えば良好な結果を得られますが、再植する歯の存在や行う場所、歯の根の形や傷つけないように抜歯を行わなければならないなど術者の技量、咬合性外傷の有無など色々な要素が関係してきます。

 

矯正治療

歯を失ってから治療までの期間が長い場合や、歯の傾斜などが認められる場合矯正治療で歯並びを治したりできてしまった隙間を埋めることがあります。また歯周治療後に適切な矯正力を加えることで骨欠損の改善が認められることもあるなどたんに歯の移動手段としてではなく歯周組織の環境改善の手法として用いられることがあります。装置をつける必要がありますので歯ブラシが難しくなり、きちんとプラークコントロールができない場合や歯周治療が適切に行われていない場合には逆に歯周病が進んでしまうケースがあります。

 

 まとめ

いかがでしたでしょうか?もちろん歯を失わないように歯周病治療をしっかり行うことが一番重要ですが、歯を失った場合でも治療を行うこと、個々のケースに合わせたしっかりとした治療計画を立ててから欠損部への治療を行わないと良好な結果が得られないということがお分かりいただけたと思います。そのためにも、専門知識のある歯周病学会専門医や認定医がいる歯科医院の受診をおすすめします。

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